当記事は『ドラゴンクエストダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王』8巻までのネタバレをがっつり含みます。
どうも、ダイ大はバーン様推し、獄炎はガンガディア推し、どうにもこうにも魔王軍側が好きな筆者です。
獄炎8巻読みました?
読んでますよね。発売されたのだいぶ前ですもんね。私はこの間読みました。
ところで私はガンガディアが好きなのですが、どうして好きなのかは以下の記事に書いています。
ガンガディアがマトリフに抱く憧れという感情。これが本当にたまらないのです。力と知能を身に着けた自分に絶対の自信を持つガンガディア。しかし、ちっぽけな老人にしか見えないマトリフは、その知能と機転によりいつもいつもガンガディアに一泡吹かせてきました。力で圧倒すれば絶対に勝てるはずなのに、それがかなわない!その知性を感じる戦い方にどうしようもなく憧れ、マトリフに勝つためにさらなる上を目指すガンガディア。獄炎はガンガディアの成長の物語でもあります。
で、8巻でとうとう決着がつくんですよ。ついちゃったんですよ。
ガンガディアとマトリフ因縁の戦いに。
ハドラーを倒すため地底魔城に突入するアバンたち。そこに待ち受けるガンガディア。勇者を魔王の元へ届けるためにも、不要な戦いを避けたい一行はマトリフだけを残してその場を切り抜けます。しかしそれはガンガディアにとって願ったりかなったり。幾度となく辛酸を舐めさせられた因縁の相手と決着をつけられるのですから!
ガンガディアはもう嬉しくなりすぎちゃって、マトリフ相手に饒舌にしゃべりかけます。かわいい。
先の戦いでマトリフが見せた火炎系と氷系の合体呪文。ガンガディアはハドラーが氷漬けにされていた1年間の間、ハドラーを探しつつもその呪文の再現を試みていました。しかし、何百回試しても再現できず……。相手の技を見て、それを模倣して身につけようとするそのハングリー精神!ほんとにガンガディアはマトリフに憧れているなぁ~!
そんな素直な気持ちを彼は本人に伝えます。それを光栄に思うマトリフ。このお互い敵なんだけど、戦いの中で芽生えた敬いの気持ちを伝えるシーンっていうのは、いつの時代もいいものですねぇ!!アバンの使徒とハドラー親衛騎団の戦いを思い出します。
そしていよいよ始まる二人の最後の戦い。
ガンガディアはマトリフとは正々堂々自分の能力だけで戦いたかったようですが、どうあがいても自分の魔力では勝てないこともわかっています。力に頼ろうとも、生半可な力ではこれまで同様マトリフの機転で押し切られてしまうでしょう。
なのでガンガディアは、古代図書館から一冊だけ持ち帰った魔導書を頼ることにしたのです。大魔道士マトリフが生み出した最強の呪文メドローア、それは一瞬では放つことはできないだろう。そう読んだ彼は、自身の力をさらに上回る圧倒的体力とパワーで押し続けることが勝利への道だと考えました。この力のみに頼った戦い方は、自身の理想とはかけ離れています。しかし、ハドラーのため、必ず勝利をつかむため!理想を捨てて、戦わねばいけない時もある!
そしてそれを叶えるための禁断の呪文、それが!
ドラゴラム!!!
キャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ガンガディアーーーーー!!!!!
ガンガディアーーーーーーーー!!!!!
これにはマトリフも驚きを隠せない!
私も驚きを隠せない!!
ダイ大においてドラゴラムが出てきたのはたった一回だけです。物語の最初、勇者の家庭教師アバンが、ダイに海波斬を習得させるために使った、あの一回だけです。そう、ダイ大ではアバン先生だけが使えました(他にもいたのかもしれないけど)。
それを、ガンガディアが!
さらにガンガディアはメガネをかけているため、見た目もアバンドラゴンと酷似しています。彼の姿にアバン先生を重ねざるを得ない!
だからガンガディアのこと好きなんだよ!
ドラゴンに変身したガンガディアのその力、そしてスピードはマトリフの機転をもってしてもどうにもなりません。手出しができないマトリフにとどめが刺される!
が!そこで倒れたままのマトリフじゃねぇぜ!
なんとかピンチを脱したマトリフは、やはりガンガディアに勝つには自分の一番の武器、頭脳を使うしかないと意を決します。しかしそれを許すガンガディアではありません。猛攻に次ぐ猛攻、徐々に追いやられるマトリフ。
そしてとうとう攻撃を防ぐすべをなくし、絶体絶命!だが、マトリフは手の平から小さなヒャドを作り出す。一体何をするのかと思えば、なんとガンガディアの足元にはこれまた小さなメラの残り火が!
そう!マトリフはその天才的な魔法センスで、足元に残したメラと全く同等の威力のヒャドを生み出し、小さなメドローアを発生させたのです!
ガンガディアが、1年余りを使っても習得できなかったメドローア!それを、マトリフはさらに応用させた使い方で!これが!これがマトリフとガンガディアの差!ガンガディアが決して追いつけない、この圧倒的距離!決して登れない圧倒的壁!
さらに動揺したガンガディアに、渾身のメドローラを打ち込む!
フィニーーーーーッシュ!!!!
あちぃ~。こぶしがあちぃ~。
圧倒的アドバンテージのある力に全振りした戦い方をしたのに、さらにそれを上回る頭脳、そして諦めない心に負けたガンガディア。でも私は、現代においてすでに限られた術者しかないドラゴラムを習得したあなたのその魔法への真摯な態度も評価したい!しかもドラゴラムを使うには、魔力だけではなく多くの体力が必要です。並の魔法使いでは使うことができません。トロルの劣等感を抱き、身体を鍛え続けたガンガディアだからこそ習得できたのです。それを誇りに思って欲しい!あなたもすごく素晴らしいよ!魔法と力、両方を持つあなただからだよ!
命尽きようとするガンガディアは、ドラゴラムが記された魔導書をマトリフに託します。しかし先に書いたようにドラゴラムには体力がいります。マトリフには到底使えません。それならば、勇者に渡せとガンガディアはいます。敵に塩を送るような行為ですが、ガンガディアは自然とそうしました。
古代図書館から唯一持ってきたのが、この魔導書です。あの図書館はガンガディアにとってお気に入りの場所であり、力だけではなく知能も身につけたい彼はあそこで多くの時間を勉学に費やし数多の呪文を覚えたことでしょう。そんな大切な場所を、彼は自らの手で沈めたのでした。本が好きなのに全てを沈めてしまい、それが彼にとって大きな心残りだったのです。
だから、せめてその本だけでも後世に残したい。相応しい人に持って欲しい。それはきっとあの勇者であると……。あの勇者であれば、その魔法センスと力をもって、この魔導書を活用するだろうと。彼がハドラーの部下であることはたしかです。しかしそれと同時に、知を追い求め貪欲に強くなっていった彼だから、同じ志があるものがこの魔導書を使ってくれれば、図書館を沈めてしまったその心残りも少しは軽くなるのだろうと思ったのでしょう。
そして最後、マトリフはガンガディアに言います。若いころから張り合う相手がいなかった自分にとって、お前は初めて出会った、素晴らしいライバルだったと。
ガンガディアはそれを聞き、穏やかな顔で逝きます。
そちらもすでに知っていることかと思うが……あなたに評価されると
最高に嬉しい…………
ガンガディアーーーーーーー!!!!!
ありがとうーーーーーー!!
思い出をありがとうーーーーーーーー!!!!!
私、あなたのこと絶対忘れないーーーーーー!!!!!
トロルのイメージを覆そうと、貪欲に紳士に自らを鍛え続けたガンガディア。格上を相手にして、憧れの念を抱き、そこに追いつこうと努力を続けたガンガディア。
最高に憧れます。
あなたが託したその魔導書は、のちにアバン先生の手に渡り、次の勇者を育てることに役立ちました。
果たしてそれが魔王軍であったあなたにとって嬉しいことなのかどうか……。
でもきっと、魔法を愛し力を高め続けたあなたなら、ドラゴラムがその後も使われ続けていることは喜ばしいことなのでしょう。
アバン先生の使うドラゴラムは、ガンガディアとマトリフの一つの因縁によるものなのです。
それが私には、最高に嬉しい。
(文・やなぎアキ)
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