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【ネタ】配慮がすごくなったドラクエを想像してみる

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詩人ユウェナリスが古代ローマ帝国の状況を「パンとサーカス」と揶揄したことは有名ですが、実際のところ、剣闘士による試合のエキサイティングさは古代ローマ人を魅了したのでしょう。

エンターテイメントは時に、過激さで人を惹きつけます。しかし時代は変わり、現代の社会では「エンタメ」に対して求めるものが増えてきました。人を夢中にさせるだけが、エンタメではなくなったのです。安直で過度な過激さは「人に害をなすもの」として否定され、今や制限される対象です。そして一度作られた制限は、その定義の曖昧さ故にありとあらゆる表現へと触手を伸ばし、その領域を広げています。

今回はそんな「過度な制限」が続いたことで、配慮がすごくなり過ぎたドラクエを想像してみようと思います。今は「こんなこと」と笑っていても、もしかすると段階的に実現していき、いつかはこうしたドラクエしか作れない時代がくるかもしれません。

 

1.死の概念が変わる

モンスターたちは死んでいない

過激なことの筆頭にあげられるのは、暴力・死ではないでしょうか。

グラディエーターたちが血みどろの戦いを繰り広げているのを見て興奮した古代ローマ人たちを、現代人は「野蛮だ」と驚くかもしれませんが、未来の人間は我々を「フィクションだとしても、命を奪う事で経験値を得るような仕様は死を冒涜しているのでは……」と思うかもしれません。

だから戦闘は全て、修練となります。ただの手合わせです。

「スライム?もちろん死んでませんよ、HPがなくなったので互いに一礼して解散しました」

こんな感じです。

フィールドにいる敵はそれでもギリギリ納得できますが、ストーリーに関わってくるボス戦は結構キツそうです。

 

「ゲマ?もちろん死んでませんよ、主人公との手合わせが終わったのであとはスーパー銭湯でゆっくりしています。先に退場したパパスが待ちくたびれています」

 

うーん、これはさすがに無理がありますね。

ケンガンアシュラみたいな設定にするのは良いかもしれません。パパスはゲマとの拳願試合に敗れ、グランバニア奥に着工予定のダム建設権を失ってしまう。さらには息子(主人公)が、その現場で働くことになる(年間休日120日、年休20日支給)ものの、そこで実力を蓄え最後にはパパスのかわりにゲマとの拳願試合に勝利して無事利益を取り戻す。ゲマは社内で失脚をする……というとパワハラになってしまうかもしれないので、その年度のボーナスの成果報酬が低めの評価になってしまったことにしておきましょうか。

 

うーん、配慮がすごいです。

 

死体への配慮は必須

ドラクエ有数の知名度を誇るセリフ「へんじがない。ただの しかばね のようだ。」も、配慮の対象になる可能性はあるでしょう。

明らかに骸骨のグラフィックに対して「話しかけるってどういうこと!?!?」というツッコミがあるかもしれません。さらには「屍(しかばね)に対して”ただの”って、死体への人権を無視していませんか?」というツッコミもありそうです。

あの世界では「くさったしたい」「しのどれい」「がいこつ」「がいこつ兵士」など様々なアンデットが存在するわけで、転がっている死体をとりあえず調べてみることはそれほどおかしなことではないと思うのですが、それを汲み取れない人たちへの配慮が必要になるわけです。

ただ例のセリフも、存在そのものを消すのではなく、注釈をつけることでカバーすることが可能かもしれません。写真はイメージですとパッケージに書いてあるのと同じ要領です。

 

「へんじがない(※1)。ただの しかばね(※2)のようだ。」

 

うーん、配慮がすごいです。

 

2.職業がいくつか消える

職業選択の自由が当たり前になった現代ですが、ドラクエにある「職業」のうち、いくつかは槍玉に上がる可能性があります。全ての職業は安心安全であり、平等であり、尊敬されるべきものだからです。それ以外のものは、もしかすると職業として認められなくなるかもしれません。

 

盗賊・海賊が消える

これはまず最初の犠牲になる職業でしょう。

「賊」ですから。その頃にはONE PIECEも差し替えになっていて、ルフィは冒険王を目指すことになっているかもしれません。

そもそも賊という漢字を調べただけでも、仲間として登場させ続けるのに無理がありそうなパワーワードです。

1.《名・造》他人の財物をぬすみとる。ぬすみ。また、ぬす人。わる者。

2.人を武器できずつける。そこなう。やぶる。

3.国家を乱す者。不忠不孝の者。謀反人。

 「配慮ある社会」は、きっと、こんな人に世界を救わせようとしてくれないでしょう。

 公明正大な人間に、世界を救わせようとするはずです。生まれてこのかた一度も罪を犯したことのない主人公が、敵に石を投げつけるのです。

 

遊び人が消える

遊び人もなかなか厳しいかもしれません。

遊び人の意味を調べると、こんな感じです。

1.一定の職業をもたず、ぶらぶらと世渡りしている人。特に、ばくちうち。
2.酒色の楽しみにふける者。

「このゲームをやった子供達が、一定の職業をもたずにぶらぶらするようになったらどうするんですか!」という勢力が出てくるかもしれません。一方で「ぶらぶらと世渡りをしているだけで何の罪も犯していない人間を悪くいうのはやめていただきたい!」という遊び人擁護の勢力が出てくるかもしれません。この勝敗によっては「遊び人」という職業が「より誤解のない職業」に変えられる可能性はあるでしょう。

 

スーパースターが消える

「生きている人みんながスーパースターだよ!」という人の声が大きくなると大変です。ポジティブな方の職業まで、侵食されていきます。

「戦士だって魔法使いだって、みんな頑張っていてみんなスーパースター!」の精神です。

 

勇者

単語として「勇者」の意味を調べてみました。 

勇気にあふれる(勇気ある行いをした)人。

はいはいはいはい、そうですね、ここまで読んできたら当たり前の発想でしょうけど、ボスを倒した主人公パーティ全員が勇気に溢れる行動してますし、何なら村とか城とかで頑張っていた村人や兵士たちもみんながみんな勇気に溢れる行動をしていましたね!!!

みんなで手を繋いでみんなで頑張りました!!!

みんなが勇者です!!!

ついでに全ての人がその人自身の物語の主人公なので、主人公という表現でもダメでしょう。じゃあ主人公のことは何と表現すれば良いでしょうか?「この世界のあなた」でしょうか、いや、それだと自己とゲームの境界線を錯綜させてしまう子供がいるかもしれません。

まあ、頑張って「イシにいた戦士」 でしょうか。戦っている人たち全員が戦士ですし、モンスターと戦うことだけが「戦う」ではないのですけどね!!!!!

 

うーん、配慮がすごいです。

 

3.主人公の行動が制限される

配慮がすごすぎるドラクエは、もちろん行動だって制限されます。 

ツボは割れない

いやまあ……これはもしかすると当たり前なのかもしれません。

器物損壊罪ですからね。

 

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そもそも民家に入れない

いやまあ……これはもしかすると当たり前なのかもしれません。 

住居侵入(不法侵入)罪ですからね。 

装備を外さないと街に入れない

いやまあ……これはもしかすると当たり前なのかもしれません。

銃砲刀剣類所持等取締法違反ですからね。 

宝箱にあるものはネコババできない

いやまあ……これはもしかすると当たり前なのかもしれません。

遺失物等横領罪ですからね。 

 

うーん、配慮がすごいです。

 

4.主人公の設定が変わる

そもそもキャラクターのデザイン・設定にも配慮が必要になりそうです。

過去の作品に飛び火しないことを願うばかりです。

 

身分に配慮が必要

奴隷に身を落とした人というのはかなり配慮が必要です。

上述しましたが、そんな身分が存在する世界観そのものにNGをくらいそうです。

 

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あとは逆に「どうして王族や選ばれし血筋みたいなキャラが多いんですか!?」という点も槍玉にあがりそうです。

「やあ!私はどこにでもいる人間!(ただしレベルをあげると世界を救えるポテンシャルの持ち主)」

みたいなオープニングにすれば非難もかわせそうです。

ちなみに選ばれし血筋ではないので、レベルをあげると世界を救えるポテンシャルの持ち主は世界中の人間全てということにしておいてください。 

 

年齢にも配慮が必要

「人はいつだって勇者になれるし世界を救えるんですぅ!!!」という人たちへのフォローです。ライアンやメルビンのポジションで我慢してほしいところです。 

性別にも配慮が必要

これは正解や理想の設定が難しく、配慮の方向性で結構モメる可能性がありそうです。

男性主人公ばかりではなく女性主人公を活躍させてほしいという勢力。

そもそも過去作含めて全ての主人公を男女選べるようにするべきだという勢力。

Googleアカウント作るときみたいに「男性/女性/指定しない/カスタム」ができるようにすべきだという勢力。

Google アカウントの [性別] にはいくつかのオプションがあり、次のことが可能です。

性別を指定する
性別を指定しないことを選択する
カスタムの性別を追加し、Google 上での性別として指定する

七武海・四皇・三大将を感じさせますね。

 

美しさへの配慮が必要

目がキリッとした人じゃないと世界は救えないんですか!?

そもそも美しさって色々あると思うんですけど〜〜〜!?

という方々への配慮が必要です。その人たちに似せたキャラを作るまで怒られ続けます。 

 

強さと弱さへの配慮が必要

そもそも「強さ」とは何か……

なぜ「強い者たち」ひいては「特別な者たち」だけが世界を救えるというのだろうか……

自己実現をして、自分が幸せであればいいじゃない……

そうすればみんな「英雄」だよ……

という方々への配慮です。 

 

つまり、配慮がすごくなったドラクエの主人公パーティーはこんな感じになるはずです。 

 

人間ですらない、超越した存在の主人公。ひょんな事から世界を救うことに。

先天的な美しさは不明だが、後天的な努力によって自分を飾り個性を出しているヒロイン(ただし人間ではない)。

個性のない仲間たち。元盗賊なんていませんし、呑んだくれの踊り子もいません。

全ての冒険者が、鍛えれば世界を救えるだけの実力者になります。その中から無作為にチョイスしただけのビジネスライクな関係。

彼らが、世界を滅ぼそうとする魔王から世界を救う物語です。

 

 ……あれ!?

これってDSで出た、すれ違い通信で話題になったあの作品に似てませんか?

え?言っちゃダメ?タイトルをここで書いちゃいけない?

 

うーん、配慮がすごいです。

 

メンバー構成はともかく、フィクションはフィクションとして、憧れをもって楽しめる「ドラクエ」であり続けてほしいものですね。多くの場合、私たちが「ドラクエ」を直接作ることはできませんが、これからの「ドラクエ」が楽しくチャレンジングな作品であり続けることを許容できる社会づくりには貢献できます。

そう思うと、なんかちょっと楽しくなります!

 

(文・深々シン)

 

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