モンスター図鑑に書いてある説明は、作品によって違ったりするのでけっこう面白い。
面白いのだが、なかなか読む機会はない。
ここらでちょっと読んでみよう。
今回はドラクエ3に登場するボス格のモンスターたちだ。
カンダタ
さまざまな悪事をはたらく盗賊のおかしら。面倒見がよく、こぶんからも慕われている。
面倒見がいいのか……。たしかに常に子分を引き連れているし、慕われているのは間違いなさそうだ。DQウォークの世界では、何かイベントがあると率先して参加してきて場を盛り上げてくれる。そんな世話焼きの面もあり、そのときには子分たちもノリノリだったりするので、彼らの職場は居心地がいいのだろう。彼ら盗賊団の結成理由が気になってくる。
カンダタこぶん
大盗賊カンダタのこぶん。ほとんどハダカ同然のカンダタとは違って、全身をヨロイで固めている。
なんだろう、「ほとんどハダカ同然のカンダタとは違って」の部分に嫌味を感じてしまう。この姿はカンダタに「お前らはちゃんと鎧着とけ!」と言われているからなのか、それとも「オレたちは鎧着たいっすよ~」と本人たちが抵抗しているからなのか。その鎧の中は一体どうなっているのかが気になる。カンダタは一応人間っぽいので、彼らも中身は人間なのだろうか。
やまたのおろち
5つの首をもつ魔竜。東方の国ジパングでいけにえを食らい、人びとを苦しめていた。
これと言って可もなく不可もない説明。
同じ系統で雑魚モンスターであるヒドラの説明には「気性が荒く、5つの首同士でケンカになることも多い」と書かれていた。ということはやまたのおろちの5つの首は仲がいいのだろうか。
バラモス
地上の世界を支配しようとたくらむ魔王。大魔王ゾーマの配下で、強い魔力を持つ。
なるほど確かにその通り。先日のReWalkのドラクエ3イベントでは、パワーアップした魔王バラモスが登場したが、その際の説明は「逆らうものは誰であろうとハラワタを食らい尽くす!」と書いてあった。なんだろう、パワーアップを経て気持ちが大きくなったのだろうか。バラモスと言えばハラワタなので、こちらの元々の説明にないのは少々寂しいのはある。魔王バラモスの方にハラワタの文言があるのは喜ばしいことだ。
バラモスブロス
魔王バラモスの弟でゾーマの城を守る悪魔。兄とは同じハラワタを食らった仲らしい。
長らく彼がバラモスの兄なのか弟なのかそもそも本当に兄弟なのか謎だったが、ドラクエ10にてバラモスの弟であることが確定したっぽい。
いや言及すべきはそこではない。
お前がハラワタの話するんかい!
たしかにバラモスといえばハラワタだが、まさか弟がその話をしてくるとは思わなかった。ここに至るまで割と真面目な説明文だったため、こんな「らしい」という情報をいきなり入れてくるとは。これだよこれ。モンスター図鑑にはこういった「らしい」みたいな不確定な情報をもっと入れてもらいたい。この「同じハラワタを食らった仲」なんて図鑑を作った人の願望だろ。「同じ釜の飯」みたいなノリで言いたかっただけだろ。というかこれが本当のことなら、ちょっとバラモス兄弟かわいいな。兄が弟に「この部分の方がうまいぞ」とか言って「ありがとう兄ちゃん」とか言っていたら面白すぎるだろ。幼少期バラモス兄弟、普通に見たい。
バラモスゾンビ
魔王バラモスのしかばねが、おぞましい闇のチカラで動き出した。自分を倒した勇者への復讐を誓っている。
初めてドラクエ3をプレイしたときは、このバラモスゾンビもさきほどのバラモスブロスも、バラモスの名前を冠しているだけで直接関係のあるモンスターだとは思っていなかったな、というのをこの説明を見て思い出した。
ちなみに、彼は他のメンツとは違うイベントに登場したモンスターである。バラモスゾンビってウォークにはいないんだっけ???と探すのにやや苦労した。
にしても、やはりバラモスブロスだけちょっとふざけているんだよな……。
ゾーマ
闇の世界を支配する大魔王。絶望をすすり、憎しみを食らい、悲しみの涙でノドをうるおす。
この貫禄である。ゾーマの説明といえばこれだ。
この絶望をすすり、憎しみを食らい、悲しみの涙でノドをうるおすという文言、まじで天才である。ゾーマの説明はこれで十分。むしろこれじゃなかったら怒っていたかもしれない。
ドラクエウォークのドラクエ3のモンスターたちは、比較的真面目な説明文ばかりだった。その中でもバラモスブロスの「同じハラワタを食った仲らしい」という不確定すぎる説明。ここいらでちょっと息抜きさせてくれぇという図鑑編集者の気持ちが現れている(実際はどうなのかは知らないが)。
モンスター図鑑、暇つぶしにはちょうどいい読み物なので、たまったジェムをもらいがてらたまには確認してみるといいかもしれない。
(文・やなぎアキ)
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