物語の中盤まで、魔王軍の本拠地として活躍する鬼岩城。
これはただの城ではなく、ロボットのように動かすこともできる。
その姿はまさに鬼。
ちなみに出来上がってからまだ1年も経っていないらしい。
この鬼岩城、実は大魔王バーンの究極の姿、鬼眼王を模しているのだ。
鬼眼王とは、バーン様の第三の目である鬼眼の力を解放した、バーン様の最強にして最凶の形態。
巨大な岩のような体を持ち、竜魔人の力を手に入れたダイをも圧倒した、まさに大魔王の名にふさわしい強さを誇っている。
が、これは禁断の姿。自身の魔力を、自身の体に注ぎこむことで起こるこの進化は、ひとたび発動させれば二度と元の姿に戻ることはないだろうと、バーン様は理解していた。
そのため、自分はこの姿になることは生涯ないだろうと。それならばと作らせたのが、自分の究極の姿を模した鬼岩城。
鬼岩城は、まさにバーン様にとっての見果てぬ夢。
つまり、「オレが考えた世界で一番つえー姿をした城」なのである。
なんてかわいらしいんだ大魔王バーン様は。
己の力を誇示するという支配者的な考えによるものなのはわかっているのだが、どうにもこうにもかわいさが勝ってしまう。
大体あの人は自分の城にも「バーンパレス」なんて名前を付けているし、世界中に打ち込んだ黒の核にも「ピラァ・オブ・バーン」という名前を付けている。とにかく自分!自分自分自分!自分大好き!鬼岩城だって、一見これだけは自分の名前を付けていないように見えるが、鬼眼王はそもそもバーン様のことを指しているので、ほぼ自分の名前をつけているのと同義である。持ち物に自分の名前をつけていてえらい。ここまでくると、技名に自分の名前を付けていないのはなぜなのか問いたくなる。
鬼岩城は完成から1年も経っていないとのことなので、寿命の長いバーン様からしてみればついさっき作ったみたいなものだ。そこで「余が考えた最強の自分の姿を摸すか」と思い至っているのはなんなんだ。長年温めてきた、地上から太陽を奪う計画を実行するからには、やっぱり一番かっこいい城を構えるべきだと思ったのだろうか。そんな一番かっこいいお城を、完成後まもなく壊されて、ぶっちゃけ心中穏やかではなかったのではないか。最強のオレを模した城が壊されるってめちゃくちゃ不吉だし。バーン様のことだから「余と同じ姿をしていても所詮入れ物でしかない」とかわり切ったのかもしれないけども。
でも絶対に完成したときには「これこそ余が思い描いた夢の姿、ドリームフォームである!」とか思っただろうし、長く使えるなら使いたかったはず。太陽を支配したあかつきには鬼岩城をふさわしい場所に安置して「大魔王バーン様の一番強い姿」とか立札にして観光スポットにしたかったはず。そしてそれの前で魔界の歌姫に、自分の武勇伝を歌わせたかったはず。そして夜な夜な鬼岩城を眺めながら「う~ん、余の最強の姿、かっこよすぎ」とかって悦に浸りながらワインを飲みたかったはずだ!わざわざ自身にはなしえない夢の姿を模させたんだから、それくらいのことはしたかったはずだ!キルバーンも、あれのことをバーン様お気に入りのおもちゃと言っていたし!
バーン様、本当に自分のことが好きすぎる!
鬼岩城よりも鬼眼王のほうが当然かっこいいので、バーン様が思い描いた理想の姿は施工業者には完全に伝えきれていなかったところもよい。脳内で作った最強の存在、周りに伝えるのは難しいよね。
関連記事