ドラクエのキャラクターについて、いくつかの観点から読み解いていく!
筆者の超個人的主観によるキャラクター辞典!
第四十七回目はソルディ/トム!
※全て筆者の主観であり、筆者のプレイスタイルによるものであることをご了承ください。
※ソルディとトムの共通事項について書くときはめんどうなのでソルディの名前で統一します。
見た目
兵士長の汎用グラフィックのため、これがソルディ兵士長だ!という特徴っぽい特徴はない。それでも説明するならば、金髪の中年男性。SFC版の公式ガイドブックではやや強面な男性として描かれている。SFC版のグラフィックではいまいちよくわからなかったが、DS版ではヒゲが生えだした。さきほどのSFC版公式ガイドブックではヒゲは生えていないが、どうやらソルディはヒゲを標準装備したものが主流の模様。
ドラクエウォークなどで見られる彼のイラストでも立派な口ひげを生やしている。また、強面ではなくなりどちらかというとライアンに似た顔立ちとなった。襟足もかなり伸ばしている。いかにも王宮の兵士。前髪はちなみにポンパドールにしている。これはSFC版のグラフィックからもうかがえる。でも公式ガイドブックだとそういう髪型ではないんだよなぁ……。
性格
レイドック王家に忠実な兵士長。王家のために尽くし戦う兵士長の中の兵士長。
トムは王子に扮した主人公のことを信じ切って突っ走ってしまうあたり、けっこう周囲が見えなくなっちゃうタイプと思われる。王家に忠実なのはいいが、猜疑心があまりになさすぎる。
そんなトムの憧れの姿であるソルディ。同一人物のため性格の違いは大してないように思えるが、なんとなくソルディの方が部下に厳しく己にも厳しく、トムに比べると随分ときびきびしているように思える。ソルディなら王子に扮した見知らぬ青年を城に入れることはしないはず。
そもそもなんで二人は同一人物なのに名前が違うかというと、子供の頃のトムが自分の名前がダサくていやだから、ソルディと名乗っていたことが起因。それゆえに、トムよりもソルディの方が毅然として凛々しい雰囲気があるのだろう。いやなんでや!トムかっこいいだろ!トム・クルーズとかトム・ハンクスとかトム・ホランドとかいるだろ!と今なら思うが、当時は私も「たしかにトムよりソルディの方がかっこいいなぁ」と思っていた。
ソルディの存在は単純に名前が気に入らないからという理由だけではないだろう。レイドック王家のことが好きすぎるあまりうっかりをやらかしちゃう、そんな自分をなんとかしたいという気持ちもソルディには現われているように思う。
ストーリー
レイドック王家に仕える兵士長ソルディ。若き兵たちを教育・統率しながら今日も魔王ムドーを目指す王の手助けをする。
そんなある日、新兵が持ち帰ったラーの鏡を覗いた王が、見知らぬ王妃の姿になってしまった。いやしかし、この人こそ自分が仕える人物に思える。こんなことを思う自分は一体……?
同じくレイドック王家に仕える兵士長トム。目覚めぬ王と王妃、そして行方不明になった王子。レイドックを、世界を不安が覆う。そんな折、王子によく似た少年がやってきた。いや王子に違いない。これでレイドックの民も少しは安心する。しかしその喜びは無残にも打ち砕かれた。兵士長の座を追われ、辺境の地に追いやられたトム。彼は絶望に打ちひしがれた。
そしてソルディは見知らぬ土地へ来ていた。どうも自分がいた世界とは明らかに違う。そこには奴隷にように扱われ、いつ死んでしまうのか、ただそれだけを考えて働くばかりの人間たちがいた。
彼らを解放しなくては。兵士長としての責任感が彼をそうさせる。反乱軍のリーダートンヌラと共に計画を立てるソルディ。そこで再会したのは、鏡を持ってきたあの新兵たちだった。そう、ソルディにとって彼は仕えるべき王子ではない。大事な可愛い部下である。そんな立場の違いがソルディのソルディたるゆえんである。
ところでトムの行方はどうなったのかというと、ゲーム中では飛ばされた辺境の地で魔物と戦って死んだことになっている。どうにも噂レベルなので本当に死んでいるかは定かではないが、トムと再会することは叶わない。ソルディは生きているため、トムも生きていると信じたいものだが、現実では死んでいるけど夢の世界では生きている例が他にある(イリアとジーナなど)ので、彼の生死はプレイヤーにゆだねるといったところか……。
性能
レイドックというなかなかの大国の兵士長を務めているため、実力はなかなかのものと思われる。アークボルトの兵団長ブラストもとんでもなく強かったわけだが、トムとどちらの方が強いのか気になるところ。ただしブラストの強さは(ストーリ―進行の都合のせいだが)ムドーをも上回る。ムドー討伐がかなわなかったレイドック国なので、兵士長とはいえ微妙な可能性もある。
兵士とのことなので前衛向きなステータスだろう。牢獄の町での様子を見るに魔法などは使えないと思われる。
さきほど、微妙な強さかもしれないと書いたが、反乱の際には警備の魔物と戦ってしっかり生き残っているためソルディは間違いなく強いだろう。ドラクエ6はNPCがやたらと強い。
牢獄の町であんなに戦えているため、辺境の地の魔物ごときにトムがやられたとも考えにくい。やっぱり生きているのではなかろうか。それとも夢の世界だからこそ、ソルディの方が圧倒的に強い可能性もある……。謎は尽きない。
その他の活躍
序盤及び終盤にけっこうな存在感を放っているとはいえ、結局はNPCのため他作品への露出はほぼない。
漫画版では狭間の世界にいるのはソルディではなくトムになっている。このようにメディア化されている作品は総じてトム生存ルートを描いている。そのため、プレイヤーの中でもトムは生きている派の方が多そうだ。
ちなみに英語版ではトムはRusty(錆びついた)、ソルディはBlade(刃)という名前になっている。こっちの方がたしかにわかりやすい。でもソルディって名前、子供がなんとなくかっこいい響き!として付ける名前としては丁度良いと思う。
総評
ドラクエ6はエンディングをはじめとして、どこかやりきれないようなもやっとしたエピソードが多いが、彼もその一つだろう。
主人公たちのせいでトムは辺境の地に追いやられ絶望し(もしかしたらそのまま死に)、ソルディは狭間の世界に連れてこられ……。ソルディはそんなこと露知らずなので主人公に変わらず接してくれるが、それがまたなんともビターである。
トムとは最後まで再会させないあたりが、ドラクエ6らしさだなと思う。
(文・やなぎアキ)
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