ドラクエ6の世界は上と下があります。
上の世界からスタートし、上と下を行き来しながら世界の真実、そして悪に迫っていきます。
上は夢の世界、そして下は現実世界です。めちゃくちゃ簡単に言うと夢の世界は、現実世界の人々が夢見た世界が具現化した存在です。
そのため、この人は現実世界のあの人の夢だとわかるものもたびたびあります。そして、現実世界にある町で夢の世界にも存在する町もあります。
今回はそちらを紹介したいと思います。
ライフコッド
主人公の故郷であり、旅のスタート地点です。険しい山の上にあり、おだやかな雰囲気が村全体を包み込む平和な村です。
村の人たちは皆優しく、戦いとは無縁そうです。
が、これは上の世界のライフコッドの話で、下の世界のライフコッドは少々雰囲気が違います。よそ者にはどこか冷たく、魔物に襲われた際の村人たちの強さと言ったら主人公たちも舌を巻くほど。下の世界のライフコッドは、上と比べて周りも強いモンスターがいますし、そのくせ崖まで出向いたりするので日常的に鍛えているのかもしれません。店に置いているものも強いし。
他に、夢と現実の違いでわかりやすいのは、武器屋に置いてある精霊のよろい。上では立派な鎧が飾られていますが、下にはボロボロの鎧が飾られているのみ。それを磨き上げて立派な鎧にするのが店主の夢のようです。また、酒場の壁に書かれている落書きが、上では「ランドのバカ」。下では「（主人公）のバカ」となっています。誰の夢だ……？
そういえば上では精霊の冠をシエーナ（マルシェ）に取りに行きますが、下にはシエーナはないのでどうしているのでしょうか。
レイドック
レイドックは主人公の本来の故郷です。上の世界では眠らずの若い王が国を治めています。が、下の世界では王も王妃も眠ったままです。若い王は実はずっと眠ったままの王妃であり、夢と現実の関係性をうまく表していました。
他には、下ではトムという名前を嫌っていた兵士長が、上でソルディという名前になっています。理想を具現化した世界でもあることが、物語の割と最初の方から示されていました。
ムドーを倒した後だと、上の世界の若い王の中身が、下の世界の王になっており割と好き放題しています。いいのかそれで、王よ。
細かいところだと現実では年老いている夫婦が、夢の世界では若返ったりもしています。
主人公の故郷だけあって、細部まで夢と現実の対比がなされているように思います。
アモール
夢と現実を強烈に意識させてくるのがアモール初訪問時のイベントです。
このイベントははやてのイリアと疾風のジーナという盗賊が主軸になっています。ジーナは老婆となっており、過去の宝探しの際に相棒のイリアを殺してしまった自責の念からその夢を延々と見ています。
その夢が上の世界のアモールに現れていたのです。
イベントが終わるとジーナは、実は生きていたイリアと仲良く暮らすことになります。しかししばらくして二人は息を引き取ることに。
その後旅を進め上の世界のアモールを再び訪れると、子供のイリアとジーナが楽しそうに遊んでいる姿を見ることができます。これは果たして彼らの夢なのか、それとも町の人たちの願いなのか。どちらにせよイベント時のトラウマ感からは考えられないほど穏やかな夢ですね。
他には、村の北側に住む博識な子供が、現実世界では大人だったりします。基本的に若返りを夢見ている人が多い気がします。
ダーマ神殿
上の世界では最初大穴があるばかりで、ムドーを倒すことで復活します。
下の世界では魔王軍の手によってとっくに滅びているダーマ神殿ですが、人々の夢がそれを許さず上の世界にも生まれます。しかし勇者の出現を恐れたデスタムーアが、夢の世界のダーマ神殿すら封じ込めてしまったのです。
そういった経緯があるためか、神殿の人々の中には自分が夢の存在であることを理解している人もいます。彼らは元々は現実世界のダーマ神殿で働いていた神官たちなのでしょうか。
クリアベール
クリアベールは、夢の世界では空飛ぶベッドが有名な町です。そして現実世界のクリアベールには息子を病気で亡くした夫婦がいます。
この亡くなった子供は病気で寝たきりで、家から出てお出かけすることもかないませんでした。しかし彼は夢の世界で空飛ぶベッドに乗って、思うがままに外を満喫していたのです。そのため、彼が亡くなってから夢の世界では、ぱったりと空飛ぶベッドを見かけなくなったのです。夢では自分のしたいことが叶う、それを表した切なくも心温まるイベントです。
上にも下にもある町ということで、この町にもふんだんに人々の夢が具現化されています。中には、現実では好きな女性に見向きもされていなかった男性が、夢では子供となって彼女の養子になっているという、ちょっと（いやかなり）ぞっとするものも……。
以上が、上にも下にもある町・村です。
思ったより少ない！そしてほとんど前半に固まっている（下のライフコッドに行くのは後半ですが）！
これはストーリー序盤の、世界の理をまだなにもわかっていない時期に「え！？幻の大地にも同じ名前の町が！？」と驚かせるためでしょうか。
他に上と下の関わりがあるのは、フォーン城と魔術師の塔くらいで、あとは本当に上と下は独立しています。
それでも上の世界の各所のほこらなどから、薄々夢と気づいている人がいたりするので世界観を十分楽しみことができます。
私は特にクリアベールが好きです。
（文・やなぎアキ）
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