ドラクエスピンオフの主人公はナンバリング作品で登場した仲間キャラクターであることが多い。さらにそのキャラクターの幼少期の話を描いている。
少年ヤンガスと不思議なダンジョンもそうだ。
この作品の主人公はタイトルにもある通り少年時代のヤンガス。
ヤンガスはドラクエ8の仲間キャラクターで、ずんぐりまんまるな体型がかなり特徴的な主人公を大変慕うおじさんだ。
正直ドラクエ8の中で彼がそんなに人気だったとも思えないが、8の仲間キャラで過去が不透明なのは確かにヤンガスだけ。直近のナンバリング作品から幼少期を描くなら彼しかいないだろう。山賊だったという過去と、女盗賊ゲルダとは旧知の仲であることしか分からない。
そんなヤンガスは一体どんな少年だったのだろうか。そしてどうやってあのヤンガスになったのだろうか。
鼻がほぼない
なんと少年時代のヤンガスには鼻がほぼないのだ！穴くらいしか見えない！いや角度によってはあるのだが……なんならイラストには鼻が描いていない！！
大人のヤンガスにはあんなに立派なまぁるい鼻があるというのに、子供の頃にはそれがなかったという……。そのため一見すると彼があのヤンガスであるということにはなかなか気づきにくい。特徴的な帽子をかぶっているためなんとかなるが、それがなければ人相が悪い子供だなぁと思うばかりである。やっぱり匂いとかはわからないのだろうか。イラストでは鼻がないし。
あの顔であの鼻が生えていると確かに一気におっさん臭くなるので、キャラデザとしてはなくなってくなって正解だったと思う。
一体どの時点でその鼻は生えてきたのだろう……。というか鼻って生えてくるんだ。ドラゴンボールのクリリンは大人になっても鼻が生えてくることはなかったのに。
あの日生えた鼻の名前をヤンガスはまだ知らない……。
体型全然違う
少年のヤンガスを見てまず思うことは、お前子供の頃はやせていたんだな、である。
おっさんヤンガスは子供の頃アニマルヤンちゃんと呼ばれていたらしいが、それはお前が動物みたいな見た目してるからだろ、と正直思ったことがあるが、どうやらそういうわけではなかったらしい。スリムである。あの体型からは想像もできないほどのスリムさである。どうしてこうなった。
とはいえおっさんヤンガスが太っているかと言われると、それは解釈の問題である。私はあれは、筋肉だと考えている。お相撲さんが太っているかと言われればそれは違うだろう。筋肉なのである。つまりヤンガスも同じである。
ヤンガスはあえてあの体型なのだ。ひょろがりだった子供時代から決別し、がっつり飯を食い体を鍛え、そして良く休み……。そうしたたゆまぬ努力によって作り上げたのがあの肉体である。不思議なダンジョンでの冒険を終え、本格的に山賊としての道を歩み始めたヤンガスの、血のにじむような努力あってこそだ。えらいなぁヤンガス。
髪がオレンジ
ヤンガスは常にとげとげの帽子をかぶっている。少年であろうが大人であろうが、常にかぶっている。それゆえに髪型があまり見えない。
おっさんヤンガスは毛の一筋ほども見えず、そもそも髪が生えているのかどうか疑問というレベルだ。しかし一応帽子を取った姿がスケッチとして残っておりそれによると頭部だけちょこんと髪を残してあとは剃っている模様。蒸れないように剃る、でも全剃りだとかえって蒸れる、ということであの髪型なのだと思われるが、少年ヤンガスはどうなっているのかというと。
しっかり生えている！ぱっと見帽子の装飾品のようにも見えるが、これ多分髪！！
まさかのオレンジ！！
ヤンガス、実はオレンジ髪だったのだ。ゼシカと同じじゃん……。
帽子と額に巻いているバンダナがあるにもかかわらずビョーンと勢い良く飛び出てきているあたり、毛量も硬度も申し分なさそうだ。髪型がどうなっているかはわからないが、前髪の形状からなんとなくクロノトリガーの主人公クロノと同じような髪型ではないかと思われる。想像してみたが、けっこういいじゃんと思った。活発な男の子という感じだ。それがなんであんな帽子をかぶっているのかは謎だが。
オレンジの髪色の少年、なかなか主人公チックでよい。勢いのある髪型もいかにも鳥山イラストという感じだ。
しかしおっさんになったヤンガスは、より快適で手入れも楽なあの髪型にしたんだなと思うと、大人ってそういうとこあるわよね、となんだか悲しくなってしまう。あと髪染めたの？大人になったら色が落ち着いちゃったの？
そうか、ゼシカと同じ髪色なのかぁ。
～でげす、～でがす
ドラクエは基本的に主人公は喋らないという法則があるため定かではないのだが、ヤンガスと言えばな特長で一つ気になることがある。
この頃からゲスガス口調で喋っているのか！？ゲスガス口調、一歩間違えるとゲロカス口調に見えてしまう。
このゲスガス口調、一応敬語である。さらにヤンガスだけが使っている言葉ではなく実在する言葉である。そのため、ドラクエ8本編では兄貴と慕う主人公と話すときにこのゲスガス口調になっている。他のキャラクターと話すときは大体普通の口調だ。
このヤンガスの特長ともいえるゲスガス口調だが、子供の頃はどうだったのだろう。
一応イベント時に少年ヤンガスが喋っているっぽい字幕がついたりするが、その際にはゲスもガスもつけていないため、この頃はまだそういう言葉遣いではなかった様子。あれは大人になってから身に着けたものなのだろう。たしかに、山賊たちに囲まれて育った子供が、10歳そこらで敬語を使うかと言われたら使わない方が自然かもしれない。たとえ相手がトルネコやモリーのような明らかな目上だったとしても、そもそもあの二人はなりがあまり良いとも言えずどのあたりを敬えばいいのか不明なので、ゲスガス言わないのも納得。大人になったヤンガスも基本は主人公以外に敬語使わないし。
そう考えると、実はヤンガスがゲスガス口調を使っているのは今までもこれからも主人公ただ一人なのでは？という気がしてくる。なんだかエモそうなのに全然エモくないのがヤンガスのいいところだ。
こうして丁寧に追っていくと、一人の男の成長を垣間見たような気がする。いや気のせいか。
ヤンガスを主人公にしてくれたおかげで、彼のことが色々わかった。
そうか、ゼシカと同じ髪色かぁ……。
（文・やなぎアキ）
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