『葬送のフリーレン』は、アニメは見ていませんが漫画は読んでいます。
南の勇者という超強い勇者がいるのですが、ダイ大には北の勇者がいましたね。
第一印象最悪
初登場は物語の中盤。魔王軍と戦うために世界中の国から兵を募っていた際に、港町サババがハドラー親衛騎団に襲撃され、それを一人で助けに行くと無茶なことを言い出したのがノヴァです。
「ボクが行けば済むことだ……」とか言うんですよ。
もうここでダメですね。
多くの国が手を取り合って協力して魔王軍に対抗しよう！というフェーズに入っているのに、一人で戦うと言って聞かないのは心象最悪です。人間が魔王軍に勝っているものの一つに絆の力があるというのに、何を言っているんだと。
しかもやたら喧嘩腰。ダイたちのことを自称勇者一行とか言うし、わざわざ背伸びして戦いに加わった連中とか言うし。自分は「人呼んで北の勇者」って自己紹介していますが、ダイだっていろんな人から勇者って言われてますぅ～～！
対してダイは、自分の方が年下なのに大人の対応です。みんなで戦った方が確実だと。でも聞く耳を持たないノヴァ。もうだめです。
自己中な勇者なんていらないんだよぉ！引っ込んでろ！
足手まとい過ぎ
当然そんなノヴァなので親衛騎団に勝てるわけもありません。親衛騎団にというか、ヒムしか戦ってないですけど。一応オーラブレードという技も披露してくれて、ふーんやるじゃんって感じはしますが、どうあがいても噛ませですからね。
彼の必殺技ノーザングランブレードを喰らってもヒムは無傷でした。ちなみにここでノヴァはヒムを倒したと勘違いして、「人間の痛みで言うと"柱のカドに頭をぶつけた"ってところかな……」と決めます。何を言っているんだ、君は。
ここまでの実力差を見せられてもまだ諦めないノヴァ。ダイにまずケガをした人々の救助が先だと言われても、聞く耳持ちません。勇者としての格の違いを見せつけられていくノヴァ～～。さらには無理やり放った彼のマヒャドのせいでダイたちまでピンチになる始末。ノヴァ～～～、お前もう引っ込んでろ～～～！！（でもこのマヒャドがなかったらポップのメドローアがシャハルの鏡に跳ね返されて、取り返しのつかないことになっていたと思うから結果良しではある）
結局ダイたちが頑張ってサババから親衛騎団を追い払ったわけですが、ひと段落してからもなんかうじうじぐちぐちしていてめんどくさかったです。北の勇者さんよぉ！
やっぱりまだ浅い
はい、そんなこんなでダイたちは一回バーンに負け、拠点をカールに移します。ここでのノヴァは初登場時に比べると随分と聞き分けが良くなっており、ダイとの出会いを通して成長したんだなぁとしみじみ思います。
ダイの修行の相手もしており、最初にダイと握手するふりをして天井ぶっ壊したあのノヴァと同じとは思えません。まぁ「特訓の手伝いに来てやってる」とか言っちゃったりしますけど。まぁいいでしょう。許しましょう。
しかし、ここで武器を渡すために合流したロン・ベルクさんに対してノヴァはまたしても敵対心むき出し！そりゃロン・ベルクさんは魔族ですし、言い方もきついし、あまりいい印象は持てないかもしれませんが、強力な助っ人であることには違いないのにむかつくぜ～という態度を取るとはあまりにも浅慮！ロン・ベルクさんが、そんなんじゃ無理だと言うときも、そのわけは基本納得できるものなわけですが、ノヴァは根性論で乗り切ろうとしちゃうんだからだめです！
基本ノヴァは浅慮！考えなし！そんなんで北の勇者を名乗るな！
ヒュンケルが暗黒闘気に飲まれたと思われたときも、一人で飛び出そうとしていたし！
ちょっとは成長したかと思っていましたが、まだまだですねぇ～。
勇者の在り方
物語も終盤、ダイたちのミナカトール発動のためにモンスターの大群と戦い続けるノヴァたち。ダイたちがバーンパレスに突入したあとも地上で戦い続けます。そして現れるザボエラの超魔ゾンビ！
これを倒すためにノヴァは自らの生命を武器に戦うことを決意します！それでも勝てはしないだろうとロン・ベルクは止めますが、それでもノヴァは止まらない！
ノヴァは勇者とは一体なんのかをダイとの会話において見出しました。勇者とは、みんなに勇気を湧き起こさせてくれる者だと。だから自分がたとえ倒れても、みんなに後を続くだけの勇気を残せたらそれでいいんだと、ノヴァは考えたのです。自分でも勇者の代わりはできると。
ノっっっっっヴァっっっっっっ！！！
最初は、オレ一人で十分だ他のやつらは引っ込んでろオレが勇者だぁー！！的ワンマンプレイが目立つめちゃくちゃいけすかねぇ野郎だったのに！こいつ嫌いだわ～としか思わなかったのに！
お、お前が勇者だ……。お前こそが勇者だ……。世界中の人々がお前のことを勇者として称えるし、そうならなくても私がお前のことを勇者として称えるよ……。
そんな気持ちばかりが湧いて出ます。腕を犠牲に超魔ゾンビを倒したロン・ベルクのために涙を流し、ロン・ベルクに教えを乞うノヴァの姿を見て、彼を好きにならない人がいるのでしょうか。
ダイ大は初登場時と印象が変わるキャラがたくさんいます。それだけ、ストーリの中でみんな成長しているということです。
ダイたちも旅を通して精神的に大きな成長と遂げてきましたが、ノヴァもまた彼らに負けないほど成長しました。第一印象最悪でしたが、最後には大好きになっちゃう。それが北の勇者ノヴァです。
（文・やなぎアキ）
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