ドラクエ4のラスボス・デスピサロは魔族の王であり、人間を滅ぼすためにあれやこれやと活動している。
進化の秘法を完成させようとしたり、地獄の帝王を探したり。
そのさなか、恋人であるロザリーが人間に殺されてしまい、その怒りで自らに進化の秘法を使い、彼は何もかも忘れてしまった。
愛する人のことも忘れただ破壊のみを求めるだけの怪物と化し、最終的には勇者に倒されてしまう。何のために誰のために生きていたのかも忘れたまま、彼は死んでいく。
ピサロの人生というのは、ロザリーの死によって加速的に終わりに向かってしまった。
ロザリーが死ななければ、一体どうなっていただろうか。
ロザリーは人間に誘拐され、その後の暴行によって死んでしまう。この誘拐が彼に知らされるのは、勇者が地獄の帝王エスタークを倒したとき。
そのとき、もしもロザリーが誘拐されていなければ。もしくはその後死ななければ。
もっと違う未来があったのではないだろうか。
その1 あの場で勇者と戦っていた
ピサロがロザリーの誘拐を知らされたのは、先に述べたように勇者がエスタークを倒したとき。このときピサロもまた、同じ場所にいた。ほぼ目の前に勇者がいたのだが、ロザリー誘拐の報告によって勇者は事なきを得る。
もしもロザリーが誘拐されていなければ、ピサロは帰宅する理由がないためその場にとどまっている勇者と戦っていた可能性はある。
ドラクエ4本編では人間形態のピサロと戦う機会がないため、どれほどの強さかは分からない。もしもあの時点で勇者たちがピサロと戦っていたらどうなっていただろう。一つ言えるのは、勇者たちはエスタークと戦った直後で万全の状態ではないということ。いくら進化の秘法を使ったあのデスピサロよりも数段弱かったとしても、勇者たちが苦戦を強いられるのは間違いない。勇者はまだ天空装備を揃えていないのもある。
とはいえ、リメイク版で仲間になったピサロの強さを加味すると、案外倒せるかもしれない。だいぶ早い段階でエンディングを迎えられることとなる。
その2 進化の秘法を完成させていた(リメイク版)
リメイク版ではデスピサロが使った進化の秘法は未完成であり、それゆえに使用者であるピサロは自我を失った化け物になってしまった。リメイク版のエビルプリーストは進化の秘法を完成させ、自我を保ったまま究極の進化を遂げている。
これが、もしもロザリーの身に何も起きなければ、エスタークは倒されても進化の秘法の研究は続行することができる。つまりエスターク神殿で勇者を見つけても、そのまま戦わず一旦帰ったパターンだ。
エビルプリーストの件を考えると完成間近まではいっていただろうし、勇者が天空の城に行ったりしている間にしっかり完成させることだろう。
それを自らに使い、勇者を迎え撃つ。なんなら襲撃するかもしれない。本編よりもよほど勝率は高そうだ。エビルプリーストは裏ボスのため、こちら側をかなり強化しないといけないわけだが、その強さをデスピサロが手に入れてしまうとなれば勇者の勝ち目は薄い。進化の秘法を自分だけではなく部下たちに使うことだってできる。そうなれば人間の勝ちは絶望的。愚かな人間は滅亡してしまう。バッドエンド。
その3 意外と改心するかも
ロザリーが人間に誘拐されたのは、部下のエビルプリーストが裏で糸を引いていたからだ。その理由はFC版とリメイク版では異なるが、どちらにせよ部下のせいで愛する人が危険にさらされたのは間違いない。しかしピサロはそれに気づくことなく我を忘れて進化の秘法を使うことになる。
が、もしもロザリーが誘拐されなければ。もしくは誘拐されても死ななければ。
ピサロはとりあえず我を忘れてしまうことはない。
となれば、部下の不審な動きに気づく可能性が出てくる。ピサロが気づかなくても、ロザリーやロザリーヒルの住人、勇者が何か勘づくかも。ピサロは人間憎しで周りが見えなくなっている節があるので、その方が可能性としては高いか。
仮に勇者が気づいてピサロに行ってもやつは聞く耳を持たないだろう。が、それをロザリーが伝えればさすがのピサロも多少は気に留めてくれるのでは?
人間が醜悪であることには変わりないが、魔族もまた同じではないかと気づくきっかけにはなるはず。
そこからいきなり改心するのは難しいかもしれないが、少なくとも人間を根絶やしにするその手は止めてくれるかもしれない。エビルプリーストを処分し、そしてロザリーと二人幸せに……。ある意味リメイク版6章と同じ結末ではある。
ロザリーが死んだことでピサロは暴走し、そして勇者に倒される。それならばロザリーが死ななければ、ピサロは目的を達成できるのではないかと思ったが、案外そうもいかないらしい。
3つパターンを考えてみたが結局ピサロが負ける、ピサロ大勝利、まさかの和解と様々な可能性が出てきた。未来は不確定であることがよくわかる。
それがロザリーの死によって、一本に集約してしまう。ピサロにとってロザリーの存在がいかに強いかがわかる。
パターンとしてはその1かその2が一番あり得そうだ。
最後にもう少しだけどうなっていたかの可能性を考えてみる。
仮にその1だった場合、ピサロを倒せば人間は魔族の脅威から逃れられるわけだが、それはつまり愚かな人間も生き続けることになる。エルフは長命であることが常であり、人間が全てよき人になることはあり得ない。そしてピサロ亡きあといつまでも塔にこもってはいられない。遅かれ早かれ再びロザリーは人間に襲われ、命を落とすのだろう。
ロザリーが死ぬのが早いか遅いかだけである。これはこれで、結局バッドエンドみがある。
(文・やなぎアキ)
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