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【ドラクエ11】今更無印の11はやらないけど、あれはあれでよかった。

ドラクエ11が発売されたのは2017年。その二年後にはSwitchで11Sが発売された。

その他のプラットフォームでも続々と11Sが発売され、今ドラクエ11をプレイするのであれば恐らく問答無用で11Sを選ぶだろう。

 

11Sには追加要素が多い。ドラクエ11の完全版である。追加要素が豊富だ。

追加要素の一部をあげると

 

キャラボイスの追加

キャラの個別ストーリー追加

バトルスピード変更可能

フィールド上でどこでも馬を呼べる

ダッシュができる

ボウガンアドベンチャーの廃止

 

などなどなど。ボイスやストーリー追加などの冒険に新たな彩を加えるだけではなく、冒険をより快適にするための機能が多く追加された。快適にするための機能追加と言えば、ふしぎな鍛冶で不足している材料をその場で買うことができる、というのも挙げられる。

今から、バトルスピードも調整できないし馬も一定の場所でしか呼べないしダッシュもできないし鍛冶のために素材を集めないといけないし、という状態で11をプレイしなければいけないとなると、かなりめんどくさい。

絶対に11Sをやった方がいい。絶対だ。

もちろん追加されたキャラボイスとストーリーが全くないというのも物足りないだろう。筆者はボイスのありなしにはこだわりがないのでいいが、ストーリーがなくなるのはさすがにかなり大きい。

やっぱり11Sをやる以外に選択肢はない。

 

が、無印の11は、あれはあれでよかった。

システム面では11Sを知った今もうやりたくはないが、追加ストーリーがないというのはそれはそれで味わい深い。

 

追加ストーリーは、カミュ、シルビア、マルティナ、ロウ、グレイグの5人分あり、グレイグ以外は命の大樹が崩壊し離れ離れになった際にそれぞれが何をしていたかが描かれる。

カミュは魔物の巣窟からの脱出、シルビアは世直しパレードの結成、マルティナはブギーに囚われるまで、ロウはニマ大師との修行の様子をそれぞれ描いた。命の大樹が崩壊し、勇者が一人イシの村へ向かう、その間にこれらのストーリは挟まれる。

彼らが勇者に出会うまでの冒険の軌跡。彼らがいかに前を向き、世界のために戦ったかの記録。それらを知ることで、仲間たちへの解像度がぐっと深まる。

 

これが、無印の11ではマルっとなかった。

大樹が崩壊し、勇者は一人ぼっちになり、イシの村へ向かう。デルカダール城を取り戻し、そして仲間探しの旅が始まる。

仲間たちは今どこにいるのか。何をしているのか。無事でいるのか。いつ出会えるのか。それがまったくわからないまま、勇者はまずイシの村で戦うことになった。

この暗中模索感。勇者は決して諦めず、前を向いていなければならない。それがわかっていても、不安でたまらない。

このイシの村でさいなまれる不安は、11でしか味わえないものだろう。世界が崩壊し、人々を絶望に叩き落し、そんな空気の中で仲間の安否が一切わからない。それまでの旅路での彼らとの楽しい思い出を思い起こしながら、ただ無事を祈ることしかできない。あの状況は11Sでは味わえない。

 

追加ストーリーがあると、皆は無事で一人でも戦っているんだ!という希望がある。マルティナとカミュのことは心配だが、少なくともロウとシルビアは元気そうだし、自分も頑張ろうと思える。ただ、セーニャとベロニカのストーリーがないことは一抹の不安があるが。その後の展開を考えると仕方ないのだが。そういえば、11Sが初見プレイだった人は、二人のストーリーだけないことに関して何を思っただろうか。

とにかく、セーニャとベロニカ以外の仲間はみんな無事で戦っているということはわかる。それだけでも随分と精神に余裕ができる。

 

これが一切合切ない。それが良いのか悪いのかは一概に言えないが、初見プレイの私は絶望のどん底に叩き落され、ひたすらに寂しくなり、早くみんなと再会しなければ、私は一人では何もできないんだ、と心をかき乱された。その経験が、その後の冒険に深みを持たせたように思う。

そして、皆が何をしていたかを知らなかったからこその、再会が11にはある。

シルビア、ロウと再会し、みんな一人になっても希望を捨てず頑張っていたんだ!と知り涙した。私が一人で心細い思いをしていた間も、人知れず世界のために戦っていたと。私が落ち込んでいた時も、ずっと戦い続けていた、なんて強い人なんだと。

マルティナと戦った時には、一体気高い彼女に何があったのだろうと驚いた。彼女のような強い武闘家が魔物に洗脳されている。やはりこの世界は一筋縄ではいかないと恐れたりもした。

そして記憶喪失になったカミュ。一体どうしてそうなったのか。しかし大樹が崩壊する場にいたのだ。それ相応のダメージを負っているものがいたっておかしくない。全員が完璧に無事であることは難しいんだと現実を思い知らされる。

これらは11Sの追加ストーリーを見ると印象が変わる。が、11の時点では自分で色々と考え、自分の中で補完していった。それもまたよい。

 

追加ストーリーを見ることで、勇者としての私が励まされた部分もある。だから追加ストーリー自体は素晴らしいものだ。あれがあったから、勇者もまた自身のすべきことを見失わないでいられた。

が、それがなかった無印の11も、それはそれでよかった。何も分からないからこそ、一人が心細く、仲間の無事を案じ、早く早く再会したいと急いたあの気持ち。あれは初めてプレイしたのが11だったからこそ。

もちろん今やるなら11Sだ。追加ストーリーも好きだし、システム面も楽だし。

でもだからこそ、全てがそろった11Sがありながらも、11をプレイしたときのあの気持ちをずっと忘れないでいたい。

 

(文・やなぎアキ)

 

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