ダイの大冒険にはオリジナルの呪文や特技が多く登場します。
作中初めてのオリジナル呪文はマホカトール。
魔王ハドラーの復活によりデルムリン島の魔物たちがダイを襲うようになってしまいます。
そこに現れたのが勇者の家庭教師を名乗るアバン先生とポップ。
アバン先生は島に着くとたちまち島を一周して魔法陣を描き、邪を退く呪文マホカトールを使います。すると魔物たちは正気に戻り、さらに外からの魔物の侵入も防ぐように。
かくしてデルムリン島は結界に守られた島になったのです。
マホカトールは魔法陣を用いた浄化の呪文。陣の中にいればその魔法の恩恵を受けることができます。魔物の侵入を阻む結界は、魔王が復活し再び戦乱の世となった世界において非常に重宝するでしょう。
さすがにハドラーなどのあまりにも強い魔物には意味を成しませんが、それでも十分すぎる効力です。
それだけに、習得は非常に難しく、破邪の洞窟地下15階まで行かなくてはなりません。もちろん魔法の素質も必要です。作中でこの呪文を使ったのはアバン先生とポップのみ。しかしポップは（当時まだ未熟だったとはいえ）ブラスただ一人を囲む魔法陣を描くので精一杯でした。しかも自身の力だけでは足りないので、彼の武器であるマジカルブースターについている魔法石の力を借りて、何とかギリギリ……というところでした。さらに使用後は立ち上がることもできないほど。それだけ難しい呪文なのです。
素質でいったらミナカトールを習得したレオナも恐らく正式な手順を踏めば使えるようになるとは思うのですが、それでもデルムリン島をまるっと覆うほどの結界は難しいのではないでしょうか。
島に魔法陣を描くシーンはちょっとギャグテイストなのですが、アバン先生ことがわかるにつれてこの魔法のすごさが際立ってきます。
しかもこの魔法、何がすごいって、持続性がえぐいんですよ。
アバン先生がハドラーにメガンテを使ったあとも、デルムリン島の魔物たちは正気を保ったままだからです。アバン先生は結果的には死んでいなかったので、術者の死が関係するかどうかはわからないところですが、少なくともメガンテで致命傷を負ったにもかかわらず解けていないので、術者がどんな状態になろうと長期間解かれることがないんですよね。地面に描いた魔法陣が崩されたらさすがに解けるとは思うのですが、外部から魔法陣を同化することは恐らくできないので、ほぼ無敵ですね。
これすごくないですか？
ダイの大冒険の作中の時間は3ヵ月です。その間一回も解けていません。最低でも3ヵ月は持つということです。4半期ですよ4半期。これを長いと取るか短いと取るかは人それぞれではありますが、マホカンタは数ターンで解けることを考えると、この異常な長さがよくわかると思います。
もうチートですよ。チート魔法です。そりゃ作中でアバン先生しか使いませんよ。
こんなんみんな使えたら、各地で使いまくって安全地帯増やしまくって、とりあえず雑魚敵をせん滅しますよ。幹部や魔王（多分バーンパレスにいる魔物たちも）どうにもできませんが、雑魚敵がいなくなるだけでも楽なはず。
というか、そんな使い方をしなくても随所随所で効果的な使い方が出来ますよね。
野営とかもう怖くないですからね。冒険していれば、今日は町には着きそうもないから野営をするか～ってときあると思うんですよ。でも魔物が襲い掛かってくるかもしれないから、安心して休むことはできない。そんなときにマホカトールがあれば、ほぼほぼ安全ですからね。やりたい放題ですよ。
しかも持続性があるんで、一回張れば再利用ができます。アバン先生、野営し放題じゃないですか。さらに、別にアバン先生じゃなくても利用できます。術者に関係なく結界は利用できるのです。
というかこれ、何かに似てるな……。
あ！ドラクエ11のキャンプだ！
フィールドの各地や時にはダンジョン内にある、なぜか魔物が絶対に入ってこないキャンプ地だ！いや、なぜかっていうのは、そこにある女神像の加護らしいんですけど。ということは、それならもう女神像持って歩けば最強では！？とか思っちゃったりして。誰かがここに女神像を設置したなら、持って歩くのもありだろ！とか思っちゃったりして。
でもそれが実はマホカトールによるものだとしたらなんだか納得。持ち運べないですし、それこそ旅の先駆者が結界を張っていったのならフィールトやダンジョンのあちこちにあるのも納得。そうしていつしか、目印にように女神像が置かれた、とかそれっぽくないですか？むしろ女神像、教会の役割だけだと思います。
だからドラクエ11に出てくるキャンプ、あれ全部マホカトールです。はい。
なんなら、FF4とかで見るダンジョン内のセーブポイントもマホカトールですよあれ。魔法陣というか、結界みたいなのがあって、そこにいれば安全だからテントやコテージが使えて回復ができる、っていう設定じゃないですか。あの結界がもうマホカトールですよ。かつてそのダンジョンを探索したアバン先生が、休憩したいな～ってタイミングで張った結界です。だから都合よくダンジョン内のいい感じの場所にセーブポイントがあるんですよ。
そうかぁあれはアバン先生がマホカトールをしたあとだったんだなぁ。
これをプレイヤーが覚えてしまったら、いたるところで使えてしまいますね。
だから習得条件が厳しいんですね。
勉強になりました。
（文・やなぎアキ）
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