ドラクエ7は他作品に比べてNPCがとても多い。
戦闘に参加してくれるものから参加してくれないものまで様々だ。その土地で出会う人々と行動を共にすることで、イベントに厚みが出る。
特にダーマ神殿のイベントでは入れ替わり立ち代わりでNPCが仲間になる。
それぞれ何か成し遂げたいことがあり、少しの間の旅とは言え他のNPCたちよりも印象に残りやすい。
今一度彼らのことを振り返ってみよう。
フーラル
閉鎖空間であるふきだまりの町で、金さえ払えば何でも調達してくるなんでも屋として生計を立てている盗賊。
盗賊としてのその日暮らしの生活が嫌になり、ダーマの親衛隊という安定した職に就きたがっている。そのためカシムから、フォズ大神官の安否を確認するように依頼され、それを達成するために主人公たちを囮として利用した。特技も呪文も失い、あらくれ集う町に落とされ途方に暮れる主人公たちを、さらに人間不信にさせるとんでもない男である。
仲間になっている期間は非常に短いが、その行いが印象に残りすぎているせいで恐らくかなりプレイヤーに嫌われているだろう。温厚なガボですら、泣いて謝るまで許してやらないとジョナサンみたいなことを言い出す始末。当然マリベルもなかなかひどいことを言うので、なんかもう許してやろっかな……と思ったり思わなかったり。
結局ダーマが元通りになったあとは親衛隊に入らず気ままに生きることに決めたらしい。
あんまり強くないしすぐパーティーから抜けるので、能力的に覚えていることはあまりない。
カシム
ダーマ神殿の親衛隊の一人。多くの親衛隊が魔物から神殿を守ろうとし死んでいく中で、命からがら逃げ出した一人。そのため臆病者のレッテルを貼られている。
が、命さえあればフォズ大神官を助け出すことが出来る、死んではそれもできない、と判断し逃げたわけなので、普通に有能。
キザったらしい性格でフーラル以上に鼻につくのだが、フォズを慕う気持ちは本物のようでそこは好感が持てる。
でもネリスとのやりとりが本当に何を見せられているんだろうという気持ちになるのでいただけない。ザジのようにたとえシスコンじゃなかったとしても、あの男はやめておけとネリスに言いたくなる。
フォズを助けるための道中で仲間になる。そこそこ強いが様子を見たりするのでヘイトをためがち。イノップ&ゴンズ戦で弾除けになってくれるだけマシか。
ザジ
ネリスの弟。
魂砕きの犠牲者だが、魂が完全に砕かれなかったためか意識を取り戻し、ネリスを正気に戻すため主人公と共に闘技場を勝ち抜いていく。
フーラルもカシムもいけ好かないやつだったわけだが、じゃあザジはまともかというとやっぱりそうでもない。ダーマイベントのNPC、総じて嫌な奴が多すぎでは?
姉を取り戻したいという気持ちが強すぎて、若干空回りしている感じがある。主人公たちと意思の疎通ができていない。そもそも6回も勝ち進まないといけない戦いの中で、自分勝手に行動をするのはいかがなものか。NPCなので当然なのだが、ザジの場合はチームワークという言葉を知らないからだろうなという気持ちになってしまう。カシムやフーラルはたくさん修羅場も潜り抜けてきているだろうから、自身で判断して勝手に行動をするのは構わない。が、お前は大して戦いの経験もないだろう、こっちに従えこっちに、と思う。
ただ、普通に魔法を結構使えるので助かる。
こいつも最終的には姉を置いてダーマを去る。姉を守ることが人生の目的だった彼は、その後守るべきものを見つけられたのだろうか。
フォズ
曲者ぞろいのダーマNPCたちの中の一筋の光。
アントリア戦で活躍してくれる頼もしいダーマの大神官である。幼い少女であるというのに、全ての発言がさすが大神官ともいうべきもの。多くの大人たちから慕われるのもわかる。イノップとゴンズの力を封じるその姿に、そりゃあんな厳重な牢獄に囚われるわと納得してしまう。
ドラクエ7のNPCの中で一番好き、という人も多いのではないだろうか。
やはりここに至るまでのNPCが、裏切りの盗賊、キザな様子見男、周りが見えていないシスコンという顔ぶれだったのも影響として大きいだろう。
いっそ仲間になってくれよと思わなくもないが、当然仲間にはならない。それどころか、ダーマイベントが終わってしまえば、淡々と業務をこなす人になってしまうので辛すぎる。
小説版だと目が見えない設定だが、その代わりガボがオオカミの姿で見えるらしくけっこういい演出になっていた。
並べてみるとフォズ以外ろくでもないやつばかりだった。
キーファがいなくなった直後というのもあり、NPCが入ってくれるだけでも十分嬉しいのだが……。
出会いと別れを繰り返すドラクエ7において、それを顕著に表したイベントがダーマだと思うので、その分NPCも多いのだろう。
これだけ多いのならいっそスイフーとも共闘してみたかった。案外彼が男性陣では一番マシなのかもしれない。
(文・やなぎアキ)
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