ドラクエ4の第一章で、ライアンの相棒として登場したホイミン。
ドラクエ界の仲間モンスター第一号である。
人間になることを夢見て善行を積むためにライアンに同行するホイミン。人懐こい性格で、傷ついたものをホイミで癒す心優しきモンスター。
中年戦士であるライアンと、愛らしい見た目のホイミンというギャップのあるコンビは現在に至るまで人気だ。他作品にライアンが登場するときは、必ずと言っていいほどホイミン(もしくは他のホイミスライム)がセットである。
その後もホイミンという名前は受け継がれていく。人間に友好的なホイミスライムは基本的にホイミンだ。そうじゃないやつも最近は多いが、そいつらもホイミンあってこその存在といえる。
これほどまでに人気で、不動の地位を築いているホイミン。仲間モンスターというくくりで言えば、誰もが首を垂れる存在のホイミン。おじぎをするのだと言い出してもおかしくはない。
しかし、彼は結構謎に包まれている存在である。
一章の終わり、見事子供たちの行方不明事件を解決したライアンとホイミンは、バドランドの城に戻る。
そこでライアンは王様に、魔物たちに狙われている幼き勇者を見つけ出し守るために、旅に出たいと申し出る。それを王様は快諾し、ライアンは再び旅に出る。
もちろんホイミンもそれについていくのであった。
こうしてライアンとホイミンの旅は継続していく。物理攻撃一辺倒のライアンにとって、回復をしてくれるホイミんの存在は心底ありがたかったことだろう。人間になるために人間の役に立とうとするホイミンも、喜んでライアンを手伝っていたはず。良いコンビだ。
そして五章、ライアンはとうとう勇者を見つける。場所はキングレオ城。人間を実験台として、進化の秘法の研究を進める極悪非道な王がいる城だ。
勇者は仲間たちと力を合わせてキングレオを倒す、もちろんライアンの助力もあってこそだ。そしてライアンも勇者のパーティーに加わる。
バドランドから始まった長い長い旅は、ここで一つ実を結んだ。そしてここからさらなる冒険が始まる。
このとき、ホイミンはいない。
ライアンと共にバドランドを出たホイミンの姿はない。
一体どうしたのか?彼はどこにいったのか?彼の身に何かあったのか?
彼はどうなったのだろうか?
その答えはすぐにわかる。
キングレオ城の外でたたずむ吟遊詩人風の男。キングレオ城に入るために助言をくれる彼は、キングレオ撃破のあとにこう言う。
どうかライアン様に無事で旅を続けられるようにお伝えください。
そしてホイミンがとても感謝していたと……
そう。ホイミンは人間になったのだ。夢だった人間に。
その後キングレオ城を出ると、ホイミンに会うことは二度とできない。
何があったのよ!!!!
いや
何があったのよ!!!!!!!!!!
まず、なんで君ら別れ別れになるの!?
ここまでの旅路で、絶対お互いにとって唯一無二の相棒になってるでしょ!それをなんで別れ別れに!?せめてキングレオ城で別れの挨拶くらいしたら????
それが衝撃的すぎる。
そして第二に、第二にと言うがむしろこっちの方が重大だが、
なんで人間になってるの!?!?
ホイミンの「人間になりた~い」という夢は、小さな子供が言う「ぼくウルトラマンになりた~い」みたいなものでしょ!?
それに対して、否定することは決してしないけど、「はっはっは、そうかそうかぁ」と微笑ましく見るような、そういう類の夢でしょ!?
それが何ほんとに人間になっちゃってるの!?
本当に、二人の旅路に一体何があったの!?
あんなに仲良さげに旅をしていたのに、なぜ別れ別れになっているのか。そしてなぜホイミンはライアン本人に別れを言わないのか。ライアンもなぜホイミンに対して何も言及しないのか。
そしてなぜホイミンは人間になっているのか……!!
教えて欲しい!教えて欲しいんだ!
別に私も、旅路全部描けって言ってるわけじゃないのよ。それを言い出したらライアンだけじゃなくって、他のメンバーだって気になるのよ。だからそうは言わないのよ。
でも、ただただ、ホイミンがどのような手法で人間になったのか!それをライアンが知っているのか!そしてどうやって彼らは別れたのか!それが知りたい!
書籍『知られざる伝説』や、小説だと彼が人間になった経緯が書かれているようだが、私がほしいのはそれじゃない。まじのがちの回答がほしい!
ご想像にお任せするというのは割と好きなのだが、ことライアンとホイミンに関しては非常に気になってしまうのだ。あとライアンが勇者を見つけるまでにどれくらいの月日が流れたのかとか。
そもそも本当に人間になれるだなんて思っていなかったよ!!
しかし私はここで思った。
キングレオ周辺のストーリーは、進化の秘法を使って人間が魔物になるという神をも恐れぬ所業の話だ。
だからこそ、その神の手で人間になった魔物を登場させたのかもしれない。本来そういった生物を変えるという行いは、神の手によるものでしか行ってはいけないのだと。それに背けば成敗されると。
そして正しい行いを心がければ、あのような危険な秘法を使わずとも望む姿になれるのだという教訓のようなものかもしれない。
いやだからといって、ライアンとホイミンの旅の終わりを描かなくていい理由にはならないが!?
まったくならないが!?
仕方がないので、私好みのライアン&ホイミンの旅路とその結末でも妄想することにする。
良い別れであってほしいので、そういう妄想をする。
(文・やなぎアキ)
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