できない。
～完～
という当たり前のことを書いて終わってもしょうがないので、もう少し続ける。
ドラクエと言えばスライムであり、スライムと聞けばあの愛らしい姿を思い浮かべる人が大多数だろう。それだけスライムという存在はドラクエにとって欠かせないキャラクターであり、長きにわたり愛されてきた。
そんなスライムだが、本来のスライムというモンスターはもっと不定形でドロドロしたモンスターだった。不定形ゆえに物理攻撃が効かず、そのドロドロした体を生かして冒険者たちを窒息させる、そんな恐ろしいモンスターだったのだ。
ドラクエが開発された時期にはすでに弱いモンスターとして扱っているゲームもあったが、ドロドロしたモンスターであることには変わりなかった。
そこにきて！ドラクエ爆誕！
そして満を持してフィールドに現れるスライム！
どう！どうあがいてもドロドロはしていない！めちゃくちゃ形保っている！これが、これがスライムかと！
誰なんだ！！この！従来のイメージをひっくり返すような素晴らしいスライムのデザインを考え出したのは！
鳥山明先生です～～～～～！！！
鳥山明先生と言えば、ドクタースランプアラレちゃん、ドラゴンボールなどの名作を生みだした素晴らしい漫画家であり、そのイラストの腕はすさまじいものがある。ドラクエ1の頃からキャラクター及びモンスターのデザインをしており、現在のドラクエの人気を作り上げた立役者の一人だ、間違いなく。
そんな鳥山先生が生み出した、天才と呼ばざるを得ないモンスターがスライム！
堀井雄二さんのイメージ図を基にキャラクターとモンスターのイラストを書き上げていった鳥山先生。もちろんスライムも堀井さんのイメージ図があったわけだが、そこに書かれたものは従来の不定形でドロドロしたモンスターのイラストだった。もちろん目や口などはない。
しかしそれを鳥山先生はガン無視！ドロドロしたものデザインしにくいからという理由で、あのしずく型のモンスターにしたのだ！しかも固形！しかもあろうことか目と口をつけて！そういえば鳥山先生は、あのスーパーサイヤ人にしても、髪のベタ塗りに割く時間の節約のために金髪にしたという人だ。デザインしにくいから変えます、というのはさすがと言ったところ。
元々不定形だったものをプルプルしているとはいえ固形にしたのはなかなか常人にはできない発想である。今でこそスライムはプルプルしているものという認識が生まれているが、当時はなかったのだ。当時なかったものを生み出す。それがどれだけすごいことかわかるだろうか？わからないけどわかる。だって私はそういうものを生み出したことがないから。生み出したことがないということは、難しいということではなかろうか。
今思えば、小学生の頃の自由研究だって自由に研究していいというのに固定観念にとらわれていたような気がする。ときたまSNSなどでとんでもない自由研究をしている子を紹介している親がいるが、自慢したくなるのもわかる。私は凡人の発想でしか自由研究をできていなかった。まぁどれも楽しかったし今でも覚えているくらいには思い出になっているから全然問題ないけど。恐竜の絵とかめっちゃ描いたし。
そんな私なので、スライムをあのような形にするということはどうひっくり返ったって無理である。
しかも、鳥山先生はさらに目と口をつけている！正気の沙汰ではない。スライムに目と口！？なぜ！？
スライムがそのドロドロとした体で相手を捕食するという意味では口はたしかにあってもいいのかもしれない。でも目も必要！？
だが現に、あのような形になり顔までついたことにより、スライムのキャラクター性は増した。恐るべし鳥山明。恐らくはこれもデザインの話だろう。顔がついている方がデザインしやすい。言われてみると、ドラクエのモンスターたちはしっかりと顔があり、皆個性豊かな表情を見せてくれる。近年のドラクエはグラフィックの向上により、それこそ多くの姿をモンスターたちは見せてくれるようになったが、皆どこかコミカルで愛らしい。それもまた鳥山先生のデザインによるところだろう。
あの顔を見て人々が思い浮かべるのは、ミスターポポかスライムかというところだ。いやいくらドラゴンボールが世界的に人気だとしても、ミスターポポを思い浮かべるよりスライムを思い浮かべる人の方が圧倒的に多いだろう。ポポ、スライムのこと、好き。
顔がついているからこそ、キャラクターとして動かしやすくもなる。4コマ漫画やその他スピンオフ漫画でもその形及び顔のおかげでたくさん活躍してきた。
そこまで果たして鳥山先生は見越していたのだろうか。それはわからない。なんせ桃白白のことをすっぽり忘れてしまうような人だ。サイボーグ化までしたのに。
しかし間違いなく、スライムがここまで人気になったのは鳥山先生の力が大部分を占める。
すげぇよ鳥山先生！
ドラクエ12のキャラデザも楽しみにしています！
（文・やなぎアキ）
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