世界中に散らばる小さなメダルを集めているというメダルの王様、メダル王。
初登場はドラクエ4で、基本的な設定はどの作品も同じである。
作品によってはメダル王ではなく、メダルおじさんや、キャプテン・メダルという人物がいる。
このメダル王の生活がうらやましい。
なりたい。
王様という立場ともなれば、自分の領地を持ちそこに住む国民がいて、それらを管理しなければならない。領地を正しく管理して、国民に不満がたまらないよう目を配る必要がある。臣下にしても、大体大臣というのは裏切る生き物なのでうかつに信用してはならない。もちろん自分自身が魔物に狙われて、成り代わられる可能性もあるためある程度鍛えておく必要もある。
王様って、楽じゃない……。
しかしその点メダル王はどうだ。
まず領地らしい領地というものを持っていない。
所有するのは小さな城だけ。城下町なんてものは持っていない。メダル王は小さな島にある場合が多い。その島は恐らく王のものだろう。しかし管理するほどの広さはない。普通に王様業をするよりもよっぽど楽だろう。
当然国民も大していない。城にいるごく少数の人々だけである。彼らは大抵宿屋であったりゴールド銀行であったりと手に職をつけている。手に職をつけて堅実に暮らしていける分、他の国に比べれば圧倒的に不満はないだろう。
大臣もいないため裏切りの心配だってない。たまに封印されたり(ドラクエ6)もするが、大抵の場合は世界にどれだけ異変が起きようが我関せずなスタンスを貫いているためモンスターにも狙われない。
メダル王はただ座しているだけでいい。
うらやましすぎる。
しかも彼の主たる仕事(?)であるメダル集めも、別に本人は何もしなくて良い。ただ冒険者が持ってくるのを待っているだけだ。
メダルを集めるのが趣味だとか言っている割に、本当に座っているだけ。もしかしたら若い頃は自分の足で集めていたのかもしれない。それはそれでうらやましい生活である。自分の好きなものを集める生活。そういうものに憧れる。
お城が小さいという点もいい。管理が楽そうだ。たとえ自分で掃除をしなければいけないとしても、まぁ何とかなる広さだと思う。
一番理想なのはPS2版ドラクエ5のメダル王の城。堀のようになった小川に、夜になればスライム灯篭が流れる。風情。金持ちの風情。南の島であるため、年がら年中夜はいい気候だろう。ハンモックに揺られて寝たい。そして冒険者が訪れたときだけ、王様らしく振舞ってメダルをもらう。
この世の極楽みたいな生活だ。
一体前世でどんな徳を積んだらああいった生活ができるのだろうか。
でももしかしたら彼は彼なりの苦労があるかもしれない。
冒険者がメダルを持ってきたら、豪華な褒美をあげなければいけない。その褒美を集めるためにとてつもない苦労をしているのではないか?
人知れず褒美を求めて過酷な旅をしているのでは?
あのうらやましい生活の裏では、血のにじむような努力が行われていたのかもしれない。あの豪奢な服の下にはものすごい筋肉と幾多の戦いでできた傷があるのかもしれない。
でもそうなると、ドラクエ8のあの可憐なメダル王女も同じような苦労をしているのか?という疑問が出てくる。あの世間知らずそうな女性がそういったことをしている感じはしない。
だからきっと、あの褒美は褒美でどこかしらからの献上品なのではないかと考えてしまう。仮にも王だし。
そうやって考えることで、メダル王の生活をうらやんでいたい。
でもよく考えたら、一日中ただ座っているだけなのって相当苦痛だな。
(文・リモート侍)
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