ドラクエ世界の娯楽といえばカジノ。プレイヤーによってはここに使う時間の方が旅の時間より多いんじゃないか、くらいに充実している施設、それがカジノです。
ドラクエ11では、まんまパチスロじゃねぇか!と方々から声が上がったマジスロの導入もあり、ますますカジノにのめり込む人が増えたでしょう。
実際の生活ではカジノのような賭け事に興じることがない人も、ドラクエのカジノならばついついゴールドをつぎ込んでしまっているかもしれません。
もちろんお目当てはコインで交換できる、店や宝箱からは手に入らない豪華景品!これがあるからカジノをやる人がほとんどでしょう。
しかし中には、ただ純粋にカジノを楽しみたいから、コインをただ増やしたいから遊ぶ人だっているはず。
コインを増やすとなると、リセットをしながら稼ぐのが定石。コインの枚数が一定のラインを超えたらすかさずセーブ。コインの枚数が一定より減ってしまったら、もしくはゼロになってしまったらリセット。こうして確実に増やしていくことがほとんどだと思います。
しかし中には、リセットなんぞしねぇ!という猛者もいるかもしれませんね……。
そうしたとき一体どうなるのか。
滅びるんですよ、身が。
わかります。
やったことあるので。
冒険を進めていくと、案外お金って余るじゃないですか。最初はあんなにもお金がないと思っていたのが、終盤になるとゴールド銀行に何万ゴールドもあるんですよ。
別に今後お金を使うこともないしな~、このままでは使われることのないゴールドが永遠に銀行に預けられたままだな~と思いまして。
それで一念発起、全てのゴールドを引き出し、ついでにいらない装備も売ってみて、およそ99000Gものお金を全てコインに変えてカジノに全部突っ込むことにしたのです。
ちなみに作品はドラクエ5(SFC版)です。
99000Gをコイン(1枚20G)に変えると4950枚、ほぼ5000枚です。これだけでも十分な枚数。種銭として申し分ないです。
とはいえ、これを100コインスロットにつぎ込めばすぐさまなくなりそうなそんな気がする……そう感じた私はまずは堅実にモンスター格闘場でコインを稼ぐことにしました。
モンスター格闘場はどのモンスターが勝つかをを予想し、賭けたモンスターが勝てばそのモンスターの倍率分コインがもらえるという、スロットよりはこちらが考える余地があるため最初にやるにはうってつけのゲームです。
一度に賭けられる枚数は50枚のため負けてもそんなにダメージがありませんし、勝てば獲得分のコインをそのまま次のバトルで賭けられるため一気に枚数を稼ぐことも可能です。
この作戦は当たりです。
割とコンスタントに4桁レベルの当たりを引くことが出来ました。
しかしこのままコインを増やすことができたとしても、それはなんだか逃げな気がする……。
この「逃げ」という謎の発想がよくありませんでした。何と戦っているのだ。
でもきっと、身を滅ぼす第一歩はここなのです。
格闘場は一旦やめて、スライムレースに手を出してみました。
これは普通にすぐやめました。
勝つのも難しい、勝っても戻りが少ない、そもそも時間がかかりすぎる、いまいち楽しくない、というのが原因です。これがPS2版であれば自分のスライムを出場させることが出来るのでまた違った楽しさがあったでしょうが。
となれば、やはりスロット!
しかし1枚スロットや10枚スロットではたとえ勝っても大して枚数が増えません。
ここはやはり、100枚スロット!!
ちなみにSFC版の100枚スロットは1度に賭けられるのは300枚まで。この時点で手元にあるコインはたしか8000枚とかだった気がする。どうせなら、1万枚はとりあえず達成したい!
そして溶けていくコイン、コイン、コイン。
やはり100枚スロットは魔窟。どんどん吸い込まれていくコイン。決して戻っては来ないコイン。
一応たまに当たりはあるのですが、数百枚程度しか勝てないのです。たま~に4つ(ドラクエ5のスロットは5列)揃いそうになるも、チェリーに阻まれること多数でした。恋しちゃったんだ多分とか言ってる場合じゃねぇぞ!と怒ったりしました。怒る時点でもうやばいです。行くところまで行くのにあと一歩です。
最初に購入した5000枚を割ってしまった時、このままではまずい!と思いました。
そしてモンスター格闘場へ戻る私。
モンスター格闘場の心得なら知ってる……!また堅実に増やしていけばいい……!と。
しかし、一度100枚スロットでコインを溶かした私の精神状態はもうおかしくなっていたのです。そう、滅びの始まりです。
4桁の勝ちでなければ意味がない!と思うようになった私は、2倍程度のモンスターには賭けずに5倍くらいのモンスターばかり狙うようになり、勝ったとしても4桁に届かないのであればそのまま勝ちコインを賭け続け……いつのころからか「堅実とは?」という状態になっていました。
極めつけは、最初の5000枚にも届いていないのにいつの間にか100枚スロットの前に座っていたことです。
意味が分からない。
状況は一切好転していないのに、なぜまた勝ち目のないスロットに挑むのか。
こうしてコインは全てなくなりました。
ここで終わればまだよかったのです。
しょせん使われないお金で遊んだだけですから。ドラクエのカジノの鉄則、「余ったゴールドで楽しむ」をやっただけです。
その後がよくなかったです。
なぜか私はオラクルベリーの目の前の武器屋に入店し、売ることが出来る武器防具、身に着けている武器防具まで売り始めました。
これはさすがに狂っていたと思います。でもきっとギャンブルで身を滅ぼす人ってこうなんですよね。
次は勝てそうな気がする(気のせい)。
今が乗りに乗っている(乗ってない)。
言うてスタメンキャラの装備品は伝説の武具とかだから売ることは出来ないから(嫁の装備は売る)。
圧倒的クズ!「あなたやめて!それは子供の養育費よ!」というビアンカの声が聞こえてきそうです。大丈夫、グランバニアの国庫から捻出すればいいから……と王あるまじきセリフが脳裏をよぎる……。
こうして始まった延長戦。
当然最初の頃の「堅実に稼ごう」という精神はなく、いきなり100枚スロットにぶっこむ始末。
そして当然勝てるわけもなく……。今思えば、一回5列揃いそうになったというのがよくなかったなと思います。大勝ちに届きそうになると人はもう元には戻れない。
ということで、第二ラウンドは速攻で終了してしまいました。
多分1時間半以上はやっていたと思います。リセットなしでこれはすごいと思います。が、手元に残ったものは何もなく、むしろマイナスという現実を突きつけられました。
ミルドラースもこれにはドン引き。
こうやって人って身を滅ぼすんだなと思いました。最初は堅実に稼いでいくぞと思っていたはずなのに、ずっとコインを賭けているとどこかで心が壊れていくんですよ。うるせー!俺は100枚スロットで夢を見るんだよぉー!ってなっちゃうんですよ。怖いですね。これがゲームでよかったなと心底思いました。
皆さんも身を滅ぼすのはゲームの中だけにしましょう。
最後になりますが、さすがにすべてを失った後でリセットはしました。
これで私は、持ち物を全て売り払うやばいお父さんという未来をなくすことに成功しました。ふぅ~。
(文・やなぎアキ)
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