親子三代の冒険が描かれたドラクエ5。
「ドラクエ5といえば結婚イベントでしょ!」という人も多いだろう。
その結婚イベントでも異彩を放つ存在(?)が、アンディである。
今回はそのアンディにスポットを当てて、結婚イベントを考えてみよう。
さて、アンディと言われてピンと来ない方のためにご説明すると、ドラクエ5・結婚イベントの際にフローラに熱い片想いをしている青年が彼である。フローラ争奪戦でルドマンが出したお題に付き従い、単身で死の火山に乗り込むという無謀さを併せ持つ青年。人によっては「大して強くもないのにちょこまかと……」と思うかもしれないが、そこが彼の良さでもあり、強さでもある。
そのアンディの人生は、主人公の気分によって完全に左右される。
主人公がビアンカやデボラと結婚した場合はフローラと結ばれるし、主人公がフローラと結婚した場合はぼっと出の新キャラ・スーザンと結婚する。
フローラと結婚したのを見て「良かったねえ」と思ったり、スーザンとの暮らしを見て「意外と幸せそうじゃないか!」と思ったりするわけだが……果たしてアンディは、どのような人生を歩むのが幸せなのだろうか?
主人公がそもそも現れなかった場合
これは結構幸せなのかもしれないと思う。
フローラと問題なく結婚できるだろうという点が大きい。
「ルドマンの課題がクリアできないじゃん!」と思うかもしれないが、正直いって、死の火山攻略は相当な手練れでないと無理である。そしてフローラ争奪戦の人材にはそのレベルに達している人がいない(はず)。
いる場合はかなりの地獄ルートだから無視するとして、実際アンディはルドマンの課題とどう向き合うのか?
正攻法かは微妙なところだが、熱血っぷりを見せるのが良いだろう。
つまりは、主人公が現れた時と同様に、単身乗り込んで大けがして戻ってくる。
この姿勢を見せれば、主人公がビアンカ(デボラ)と結婚したときと同じく、ルドマンが許してくれるはずだ。
……となれば、フローラは「選ばれなかった」という事実もなく結婚が出来る。
強者のおこぼれにあずかったというイメージがない分、原作パターンよりも良い状況と言えるだろう。おそらく原作同様に、ルドマンの別荘で婿養子的な生活が待っている。
お金にも困らないだろうし、最愛の人と結ばれるというのは、かなりオイシイ状況だ。
ひとつ難点をあげるとすれば、ブオーンが復活した場合になすすべなく全滅するだろうという点。
主人公が現れないのであれば死の火山すら攻略できないアンディが対峙しなくてはならず、ブオーンの進撃も止められないはず。もしそこで生き延びたとしても、結局は色々な悪党が世界を捻じ曲げようとしているわけだが……。
ビアンカと主人公が結婚した場合
主人公が結婚イベントでビアンカを選んだ場合、ご存知の通りアンディはフローラと結婚できる。
結婚後は大富豪の婿養子的なポジションとして生活することになる。
「結局フローラと結婚するなら勝ったも同然!」と言いたいところだが、客観的に見るとどうだろうか?
これを論じるのであれば、結果を重視するか、過程を重視するかというのが大きなポイントになるだろう。
過程だけを見れば、割と悲惨な結婚だ。
長年想い続けてきた女性(フローラ)の結婚争奪戦が開かれるが、その女性はそれをイヤだと思っている。しかしいきなり現れた男性(主人公)に一目惚れして、ちょっと結婚に前向きになる。ただ、最終的に公衆の面前でフラれてしまう。そのフラれた女性に後から声をかけ、ある意味「おこぼれ」で結婚……。
言い方が非常に偏っていることを考慮しても、これはちょっとツラいところかもしれない。
むしろ自分の愛する女性が愛する男と結ばれた方が清々しいのではないだろうか。
アンディの性格次第だが、もしかすると、死の火山の一件が解決したあとに「潔く負けを認めて次の恋にいこう!」と感じていても不思議ではない。未練を断ち切ろうとしたところで突然訪れる「おこぼれ」はどうだろう。
フローラがフラれたあとにスーザンと結婚することはないが、それはフローラへの恋心なのか、それとも同情心なのか……。
フローラではないが、結婚する際に思わず「…本当に? 本当に私でいいの?」と問いただしたくなるのではないだろうか。
ただ、もちろん彼には情熱があったからこそルドマンに結婚が認められたのだというのはわかるし、さらにはルドマンの莫大な財産も手に入る。たとえ嫁が一目惚れしたことのある男がその後世界を救って一国の王になったとしても、アンディはアンディで豊かで穏やかな日常を手に入れるわけで、それを幸せと感じるかどうかはアンディ自身の捉え方次第になるだろう。
過去のことを引きずってグチグチとネガティブな負い目を感じ続けるか、それとも前向きになって今この瞬間の幸せを享受するか──。
これはどの世界でもいえる、幸せを掴めるかどうかのキーポイントではないかと思う。
デボラと主人公が結婚した場合
主人公がデボラと結婚した場合、同じくアンディはフローラとは結婚できるわけだが、若干居心地の悪さが変わってくる。
それは、主人公が親戚になるかどうか、だ。
ルドマンと親族になることで手に入るであろう遺産が半分になる可能性はある。
さらに言えば、義理の兄が自分の嫁を捨てて義理の姉と結婚していて、その夫婦が勇者を産んで世界を救ったとなると、肩身の狭さはすごいことになるかもしれない。
主人公は言葉通り「一国一城の主」になるわけで、ルドマンの別荘に借り住まい(?)をしているアンディは世間からなんと言われるか、考えると心苦しい。
家族のパーティーがあったとして、久々に顔を合わせると「世界を股にかける大富豪」と「世界を救ったグランバニア王」の日常会話に入り込んでいけるだろうか。世界情勢の話をすごいレベル感で話している中で「家でのんびりしています」みたいな話をしやすいかどうか……。
まあ「メラができるぞ!」で自慢できるような鋼のメンタルを持っているので、なんとかなるかもしれないが。
一方で、ポジティブに捉えると、大富豪との血縁関係だけでなく、グランバニア王とも深いコネクションを得られたということになる。野心を持てばもの凄い可能性を持っているコネクションである。
結局のところ、これもアンディの考え方次第で、この関係を煩わしくデメリットを大きく捉えるか、チャンスやメリットを見出していくかで、アンディの感じる幸せ度合いは変わってくるかもしれない。
ルドマンと主人公が結婚した場合
「なんとこの私が好きと申すか!? そ それはいかん! もう1度考えてみなさい」
フローラと主人公が結婚した場合
この観点を検証する大きな前提として、フローラはルドマンの引き起こした結婚騒動にあまり乗り気でなかったという点がある。
元々フローラは、主人公に出会うまで結婚に前向きではなかったということである。
アンディと出会っていても、さらにはアンディがフローラに想いを寄せていても、結婚に前向きではなかったフローラが、主人公と出会ったことで気持ちが変わり結婚する──これがフローラの結婚だ。
愛する女性が、自分と違うとはいえ愛する人と結ばれるのだ、それを祝わずにぐちぐち言えば、男がすたるというもの。
もちろん、フローラが選ばれなかった場合は、アンディと結婚して結構幸せそうにすることになるのだが、この世界線ではそんなこと知る由もない。
その前提がない以上、尚更アンディには「愛する女性が傷つくところを見たくない!」と思っていて欲しい。フローラが主人公に選ばれても、そこに幸せを見出して欲しい。そして次の恋を見つけてほしい。
これは、作中のアンディの動きに沿っているようにも思える。
アンディは前向きに、幸せを手にしている。
逆に、考え方次第では「いきなり現れた男に憧れの女性を奪われた」なんてネガティブにひたることも十分にあり得ること。
原作のアンディがスーザンと結婚して幸せにしているということは、結構カッコいいことだと思う。
心の傷から外界との交わりを絶っていたとしたら、スーザンと出会うことも、魅力に気が付くこともなかっただろう。
スーザンとの結婚は、アンディの前向きな行動そのものだと思う。
「心変わり、早いな!」と感じる方もいるだろうが、それでも、前向きなことには変わりなく、幸せそうなことにも変わりはない。
やっぱり、考え方次第になるんじゃないかな、という結論に至る。
人生は考え方次第で大きく変わる!!!
フローラと主人公が結婚した場合は、アンディがどう考え、どう行動したかがわかりやすいが、結局どの場合もアンディの捉え方ひとつで幸せ/不幸せがかなり極端に分かれると思う。
実はこれは、アンディだけじゃなく我々にも言えることかもしれない。
主人公の判断・行動により大きく人生を左右されるアンディではあるが、その実、幸せを感じて日々を過ごせるかどうかは、やはりアンディ本人の考えにかかってくる。
我々も、現状をポジティブに見つめて生きていきたいものである。
(文・深々シン)
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