ドラクエ本編において、1にしか登場しない幻の呪文レミーラ。
暗闇の洞窟で使うと周囲を照らすことができる呪文だ。
ドラクエ1の洞窟はその後の作品にはない最大の特徴がある。
まっっっっっくら闇なのである。
完全なる闇。漆黒の画面に己しか見えない状態。どこか道でどこが壁か、どこに階段があるのか、その階段は降りる階段なのか上る階段なのか。
闇に包まれ完全に途方に暮れてしまうのがドラクエ1の洞窟である。
なので、勇者はたいまつに火をともさなければいけないのだ。
たいまつに火をともすことで洞窟は照らされ、かろうじて自分の周囲だけは確認することができる。
ドラクエ1のダンジョンなど、その後の作品に出てくるダンジョンに比べれば狭いし階層もそこまで深くない。
それでも迷ってしまうのは、暗闇の中自分の周囲ごく狭い範囲しか見えないからだ。ダンジョンの構造を暗記してしまえば問題ないとはいえ、周回プレイでもしない限りはまぁ無理だろう。
ならば洞窟に行くときは常にたいまつを持っていかなければいけないのか!
否!
勇者はレベル上げによって便利な呪文を覚える!
それこそがレミーラ!
消費MPは3、リメイクでは2!
効果は!
洞窟の中をたいまつのように照らすことができる!!
しかも!
たいまつよりも範囲が広い!
これはでかい!これはでかい!これのおかげで、たいまつを使うよりも早く行き止まりに気づいたり、隣の通路の存在に気づいたりすることができるのだ。
これさえあればたいまつなんてもういらない!
アイテム欄が一個あく!
なんでレミーラは歩数制限ついてるの???
その必要あった?
あった?
一定歩数歩くと光が狭まっていき、最終的には消えてしまうというのがレミーラの背負った業。
それ、必要?
魔法だから?たいまつよりいっぱい照らせるから?だからハンディキャップ?
いやMP消費というハンディキャップを背負っているんだから、いらなくない?
いえね?竜王の城ほどに階層が深めで迷いやすいダンジョンでもない限り、ドラクエ1の狭くて浅いダンジョンならばレミーラでたしかに事足りるでしょう。明かりが消える前に目的を達成することもできるでしょうし、そもそも明かりが消えたらまたレミーラを使えばいいでしょうし。
でも違うんだよ!!
徐々に明かりが狭くなっていって、いずれ消えてしまうというそのプレッシャーが半端ないんだよ!
いつか闇の囚われてしまうというその恐怖があるんだよ!
なんせドラクエ1の洞窟の音楽は怖い!階層を下に降りるとどんどん怖くなっていく!不気味になっていく!さらにレミーラを使おうと見通しは結局悪い!
恐怖に恐怖の重ね掛け!
そんな状態でさらに、この光はどんどん小さくなるしそのうち消えるよ、なんて言われたら、いやそんな恐ろしいもの使ってられるかよ!!!!と思ってしまう。
たいまつより照らすことができる安心感 < いずれ消える恐怖感
である。
それなら照らす範囲が狭くても、どれだけ迷っても決して消えることのないたいまつを使った方が精神衛生上よい。
たとえ、あまりにも範囲が狭くて、結局じわじわと怖くなっていったとしてもだ。
それにしても、今後ドラクエ本編でレミーラがその呪文の通り、表舞台の光を浴びることができる日はくるのであろうか。
(文・やなぎアキ)
関連記事