スーパーファミコン以前のゲームというのはセーブデータの消失のリスクに常に悩まされていた。
特にドラクエはセーブデータ消失時に呪いの音楽を流してくれるという親切設計のおかげで、よりいっそうデータが消えるのが恐ろしくなった。
これは10年以上前にドラクエ6のデータが消えてしまったときの話。
あれは、ドラクエ6のDS版がもう少しで発売されるというときだった。
ドラクエ好きな私は当然購入予定だった。天空シリーズの中でも唯一リメイクされていなかった不遇な作品が、ようやくリメイクされるのだから、これ以上の喜びはない。
しかしここで黙ってDS版の発売を待つわけではない。
ここは、SFC版のドラクエ6をプレイするべきだろう!
そんなこんなで、DS版の発売前にSFC版ドラクエ6を裏ボス含めてクリアすることにした。一回しかちゃんとプレイしていなかったのでいい機会だ。
レッツプレイ!
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一回しかクリアしていないとはいえ、さすがにスムーズにデスタムーアを倒すところまで終わった。
たしか、
主人公→バトルマスター、勇者
ハッサン→パラディン、ドラゴン
チャモロ→賢者
ドランゴ→ドラゴン
ミレーユ→魔法戦士
バーバラ→スーパースター
テリー→バトルマスター
アモス→レンジャー
とかだったと思う。スタメン以外(バーバラやアモス)は僧侶マスターさせて馬車から回復できるようにしたりしてたようなしてないような。
そして、クリア後ははぐれの悟りを使ってドランゴをはぐれメタルの職につかせた。
これですべての上級職&二つのモンスター職を一定の熟練度まであげられる。
SFC版のドラクエ6では裏ダンジョンを開くためには、全ての職業の熟練度を5まで上げなければならないのだ(DS版はクリアすれば開く)。
その辺はそつなくこなし、さっさと裏ダンジョンへ。
そして迎える!ダークドレアム戦!!!
デュランの色違いの見た目をしたダークドレアムを倒して、真エンディングを見るのだ!なんとしても見る!
なぜならこの時点では、実はまだ真エンディングを見たことがなかったから!
だって、ダークドレアム、強いんだもん!強い上に、20ターン以内に倒す縛り付きなんだもん!
ということで多少無茶な戦い方が要求される。
が、全く歯が立たない。
粘れば勝てるが、粘り勝ちに価値はない。
もっと強くならねば。もっとだ。
幸い、ドラクエ6の転職システムは、一度職業で覚えた呪文・特技は転職しても引き継ぐことができる。
ならば、不測の事態に備えてあらゆるキャラに最高の呪文・特技を覚えさせる!
キャラクターを強化だ!!
こうして私のそこそこ長い修行の旅が始まる。
スタメンはもちろんのこと、馬車メンバーも妥協はしない。アモスやバーバラに賢者になってもらい、ミレーユにも賢者になってもらいテリーにも賢者になってもらい。まぁ要は体制が崩れたときにそつなく立て直しができるように全員にザオリクを覚えてもらう。
ドランゴ先輩にははぐれメタルとしてにおうだちをしてもらおう。パラディンだ。
チャモロもいっそ格闘派になったらどうだ。ハッサンはとりあえずバトルマスターもマスターしろ。
などなど、「そこまでやる必要ある?」というほど仲間たちの強化にとりかかった。次の一回に全てをかける。次の一回で最高のパフォーマンスを発揮して、20ターン?余裕ですが?と涼しい顔をしながらダークドレアムを倒せるまでになってから、挑んでやる。
そう意気込んでいた。
当時のドラクエ人生の中で、恐らく一番時間をかけた。職業が絡むと、ただレベルを上げればいいわけではなくなるため、時間がかかる。さらにドラクエ7で神さまを倒すときよりも時間をかけた。クレージュでスライムを狩っていればいいドラクエ7とは違う。スライム系を狩れるエリアもないため、レベル上げもかねて結局敵が強いエリアで戦わされる。
時間を、かけたんだよ。
そして、そろそろ機は熟してきたかというある日、私はスーファミの電源を入れる。初めての真エンドを、この手につかむんだ!
デロデロデロデロデンデデデン
………………
…………オレはもう…
闘わん…………
私の中のベジータがそう呟いた。そして黙ってDS版の発売を待った。
(文・やなぎアキ)
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