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【イベント】ドラクエ5小説原作者がドラクエ映画を刑事告訴。作者の声明全文を公開!

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2019年8月に公開された映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」。

その「映画ドラクエ」を相手方として、「小説ドラゴンクエストⅤ」の著者である久美沙織さんが刑事告訴をしたそうです。

久美さんご本人に許可をいただき、刑事告訴に至った経緯を記したドキュメントを公開いたします。

 

 

過去の提訴理由はこちらから。 

www.dq-free.com

 

久美さんの声明は以下の通りです。

※映画ドラクエのネタバレを一部含みますので、ご注意ください。

ーーー

 ドラクエファンのみなさま、報道関係のみなさま

 「小説ドラゴンクエストV」の著者である私、久美沙織は、令和元年12月5日付、同6日配達で、詐欺または背任または業務上横領、不正競争防止法違反、著作権法違反の告訴状を東京地方検察庁(検事正)および警視庁(捜査二課)に提出いたしました。詐欺または背任または業務上横領、不正競争防止法違反については、焦点となる表現物の著作物性が認められなくても該当すると考えております。
 相手方は、映画「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会構成員および関係する複数の法人および個人ですが、現時点では詳細は控えさせていただきます。

 

 お知らせできるほどの大きな節目はないのですが、民事訴訟も少しずつ進んではおり、相手方さまはわたくしの主張の全体を把握されたはずです。
 仮に焦点となる表現物の著作物性が認められなくても、「リュカ」および「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」がわたくしの創作した「成果物」であることは動きません。映画DVDは未発売なのでノベライズを参考に数えると、「リュカ」利用箇所は487あり、そのうち,本件映画においても利用されている可能性が高いセリフにおける利用は53、ありました。映画の宣伝でも「主人公の名前は小説版のリュカ」ということは盛んに使われました。
 前回、可能な限り早くと考え、公開当日に民事提訴についてお知らせしましたが、「主人公が『リュカ』なので小説版が下敷きと混同して実際に見に行った」旨、発信してらっしゃるかたも、少なくとも4人おられ、お知らせが間に合わなかったことをたいへん申し訳なく思っているところです。わたくしの報道発表で初めて誤解に気づいた旨を発信なさったファンのかたは大勢おられ、「自分も誤解していたから景品表示法違反で通報した」と書いてくださったかたもおられます。
 小説をお買い上げくださったかただけでなく、図書館や学校の図書室、ご友人から借りて(特に最初の四六判はお小遣いで買うのは難しいお値段でしたから)読んでくださったかたも大勢おられ、読者の総数(実人数)は、おそらく100万人に達します。ありがたいことに、愛してくださったかたも大勢おられます。
 映画の制作・製作に携わったかたがたが「小説ドラゴンクエストV」愛読者のみなさまに対してほんの少しでも申し訳なくお感じであればご謝罪あって然るべきですが、ありません。悲しいことに、ファン、読者のみなさまを蔑ろにしてもかまわないとお考えなのだ、と受け止めざるを得ません。
 また、わたくしに対するご説明や和解のお申し出等も一切、ありません。
 
 もはや、連絡ミスや行き違い等の過失ではなく、ファンのみなさまを混同させて集客しようとする明確な【故意】が当初からあって、「リュカ」および「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」を【故意】をもって無断で利用・使用なさったのだ、それがいけないことだとはお考えでないのだ、と判断せざるを得なくなりました。
 また、こうした利用・使用のやりかたが罰せられず、許されることとなってしまったら、クリエイター軽視だけでなく、ファンのみなさまを混同させる宣伝がまかり通ることになってしまいます。今後の同様の利用・使用に歯止めがかからなくなれば、次の被害も生じるでしょう。

 

 政府の知的財産戦略本部、クールジャパン戦略推進会議の基本的な考え方は、クリエイターに適切に報いつつ、「チェイン・オブ・タイトル」に沿って権利整理してマルチユースを容易にすることでコンテンツ産業を発展させようというものですが、今回の利用・使用はこうした考えにまったく逆行するものです。
 東宝株式会社はクールジャパン官民連携プラットフォームの一員であられ、アメリカでの映画事業や訴訟のご経験もご豊富で、「チェイン・オブ・タイトル」については当然にご存じであられます。
 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスの和田社長(当時)は、平成21年に知的財産戦略本部会合で「コンテンツ産業の現状と問題点」と題して話しておられますが、その配布資料には「大切なのは『ものづくり』の力 『ものづくり』VS『流通』」との文言があります。株式会社スクウェア・エニックス法務・知財部の樽見俊明氏はすでに平成21年と25年にCEDECにおいて権利関係の講演等をしておられ、著作物として台詞を例示され、「どういうレベルでオリジナルでなくてはならないのか」との問題提起をなさっておられます。
 なぜ、今回、これらのお考えを実行なさらなかったのか、不思議でなりません。
 また、山崎貴総監督は7月30日配信のインタビュー記事で、「稼がないと、やりがい搾取になってしまう」と述べておられます。映画制作スタッフのやりがい搾取はだめなのに、なぜ、小説家の成果物の搾取は差し支えないとお考えなのか、理解に苦しむところです。
 
 告訴時効もあることから、告訴を決断した次第です。

 

令和元年12月13日
久美沙織

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なお、この文章はオンラインでも公開されています。

オンライン版を読みたいかたはこちらをどうぞ。

 

 

(文・DQフリ編集部)

 

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