ダイの大冒険のマスコット的キャラクター、チウ。
おおねずみである彼は、戦力としてはあんまり期待はできませんがここぞというときには勇気を発揮しちゃっかり活躍してくれます。
小さな体で果敢に敵に立ち向かっていこうとするその姿に、獣王クロコダインも彼に一目置いています。
クロコダインはチウに、獣王の笛を授けます。
それを使えばモンスターを呼ぶことができ、そのモンスターを倒せば自身に従わせることができます。この笛を使ってクロコダインはあの忠実なガルーダを仲間にしたのでしょう。
獣王として名をはせたクロコダインにはぴったりのアイテムです。クロコダインにかかればその辺の魔物などイチコロでしょうし。
しかしチウはというとおおねずみです。モンスターを呼び寄せられたとしても、相手を倒すことができるかどうかは正直微妙なところ。
現に最初に使ったときに現れたバピラスには辛勝でした。それでも勝ってちゃんと従えているんですからすごいです。しかも一匹目に空飛ぶ魔物を仲間にしたのはなかなかの戦略家ですね。
チウ自身には空を飛ぶ能力はありません。なので移動手段にもなるモンスターを仲間にしたのは賢い選択。アバンの使徒でも空を飛べるのはダイとポップだけなので、素晴らしいですね。クロコダインもガルーダを重宝していました。この二人は実はどこか似ているのかもしれません。
そんなこんなでバピラスのパピィを仲間にしたチウ。名前をちゃんとつけてあげるところがまたいいですね。主従関係でありながら、親しみやすさも感じます。このあたりはクロコダインとは違うところです。新しい獣王の風を感じる！
そしてここから獣王遊撃隊がはじまります。
パピィが獣王遊撃隊の隊員番号1号です。そしてここにゴメちゃんが名乗り出たことでゴメちゃんが2号になります。意外や意外、ゴメちゃんは1号ではなく2号なんですね。ゴメちゃんは他の隊員とは違って志願して遊撃隊に入っています。神の涙自らが慕うなんて、チウってやっぱりすげーや！
その後はマリンスライムのマリべぇも仲間になります。空の仲間の次は海の仲間！索敵の布陣をしっかりそろえた無駄のない陣営！チウも偵察の役に立つかなと思って仲間にしていますから偶然ではありません！現にマリべぇは海底にあるバーンパレスへの扉を見つけています。
獣王遊撃隊！すごいぞ！
その後フェンブレンの襲撃を食らいますが、ここでのチウ隊長の活躍はすさまじかった！隊員3匹を守るため己の身を挺して戦います。パピィとマリべぇを仲間にしたときのチウのケガの具合から言って、ぶっちゃけ彼らはそこまでの実力差はないと思うのですが、チウは隊員を守るべきものととらえ命を顧みず突っ込んでいくのです。
チ、チウ隊長！！
決して泣き言を言わない隊長！それどころか、隊員を安心させるために笑顔すら見せる隊長！同じことができますか！？私はできない！だからこそチウが隊長！次に来る獣王！その勇気ゆえにゴメちゃんは奇跡を起こし、さらにはバランという最強の助っ人を呼び寄せることができたのでしょう。あのあたりの話は涙なしには読めません。ギャグキャラだと思っていたチウに泣かされます。さらにはこんな隊長がいるなら獣王遊撃隊に入ってもいいかもしれない、隊員のために命を張れる隊長のために命張って戦いたい！とも思える始末です、怖いけど。
こんなお調子者がクロコダインに認められて、しかも大事な獣王の笛まであげるなんてな～と当初は思っていましたが、ここまでの一連の流れからチウこそが次代の獣王にふさわしい！と思いました。
圧倒的力でもって部下を引き連れるのではなく、近い目線で親しみやすさを感じさせ、一緒に切磋琢磨していける、そんなトップがこれからの時代にはむしろ必要なのではと感じます。
その後も隊員数は増えていき、10号まで増えました。つまりそれだけチウが買って来たということです。グリズリーまでいるんですから、大した実力です。でもそこまでめちゃくちゃ強いモンスターがいるわけではないというのもなんだかいいですね。この10匹が獣王遊撃隊最古参になるわけで、のちのち幹部になったりするんだろうなぁ……。
その後11号にビーストくん（ブロキーナ師匠）を加えます。師匠も従えるなんて、さすがチウ！（実際は弟子をかげながら助けたいブロキーナ師匠の酔狂でしょうけど）
最終決戦でもしっかりと遊撃隊は活躍を見せます。ザボエラが他の魔物を養分にして超魔ゾンビになるときには、なんとチウが敵であるおにこぞうをかばって助ける姿も！獣王～！熱いぜ獣王～！敵味方問わず助けられる命は助けちゃう、そんなチウの器のでかさ、だからこそクロコダインも認めているわけです。自分も大して強くないのに、臆さず誰かを守ろうとするその姿。やっぱりついていきたくなる隊長です。
そして最後には、皆さんご存知ヒムが遊撃隊入りします。ハドラーや親衛騎団の意思を受け継ぎ蘇ったヒムは、ヒュンケルとの戦いを経てこちら側の陣営に仲間入りします。このとき無理やり遊撃隊に入隊させられ、最初は不服そうだったヒム。しかし自身が本当にハドラーの魂を、闘気を受け継いでいるのか不安だったヒムに対して、「悪に奇跡は起こらない！君は正義の獣王遊撃隊第12号だからそれでいいのだ！」と言われ迷いが吹っ切れます。チウのまっすぐで嘘のない性格、それゆえにヒムはこの言葉を素直に受け取ることができ、チウを隊長と認めたのでした。慕うかどうかって、能力の上下じゃないんですよね。心意気が大事です。
かつてクロコダインはヒュンケルを、その人生経験の豊富さゆえに諭すことが出来ました。チウはただただ真っすぐ相手にぶつかっていきます。新しい世代には新しいやり方が必要です。クロコダインが先代と呼ばれてもさっぱりとしていたのはそれが分かっていたからでしょう。
マスコットキャラでギャグキャラの側面が強いチウですが、まさに縁の下の力持ち。ここぞというところで活躍してくれるすごいキャラでした。
特に身を挺して誰かを守る姿が印象的で涙を誘いますね。
彼を表す言葉は「弱きを助け強きを挫く」だろうなと思います。そして隊長のそれを実現するために、隊員たちが一緒に戦ってくれる。そんなそばにいたいと思わせてくれる獣王に彼はなるんだと思います。
（文・やなぎアキ）
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