勇者とは勇気あるもの!
これはまぞっほがポップに言ったセリフです。
勇気とは打算なきもの、相手の強さによって出したり引っ込めたりするのは本当の勇気ではない!と。
この言葉を受け、ポップはダイとマァムを助けるためにクロコダインのもとへ戦いに向かいます。2020年放送のアニメ版ではこのときポップのアバンのしるしが光る演出が。
これがのちのちの伏線になっていました。
アバンの使徒はそれぞれが魂の力を持っています。それがアバンのしるしを光らせ、終盤のミナカトールの発動に一役買っていました。
五つの魂の力はフローラの持つ古文書に記されていました。
慈愛はマァム。
闘志はヒュンケル。
正義はレオナ。
あと残っている二つですが、一つは勇気、もう一つは古文書の文字がかすれておりわかりませんでした。
ここで当然勇気はダイの力だろうと誰もが思います。勇者なのだから、魂の力も勇気だろうと。
そして残されたポップは、自身だけがその力を発揮できず人知れず悩みます。
しかしポップこそが勇気の力の持ち主でした。
あ、熱い~~~~!!!
勇気がポップの力なの熱い~~~~!!!
ダイ大の話づくりがうますぎる!
ポップの力はなんなんだろう?と思わせておいてからの、勇気こそが彼の力なんですよ。
そしてこれが判明してからこれまでの話を振り返ってみると、なるほどたしかにここぞというときに勇気を発揮して戦況を変えてきたのはポップだよな~!となります。
クロコダインに挑んだ時、バランにメガンテを仕掛けた時……あの大魔王バーンを前にダイが諦めかけていた時も、ポップだけは自らを奮い立たせ決して戦うことを諦めませんでした。まぞっほの言った通り、相手の強さなんて関係なくいつだって勇気を振り絞って戦ってきました。
生まれながらに不思議な力を持ち、まさに主人公といったダイとは違って、臆病でお調子者だったポップ。その成長を読者及び視聴者はずっと見守ってきました。あんなだったポップがこんなにまでなって……とどの戦いでも思ってきたはずです。
だからこそポップの力が勇気だと判明したとき、たしかにそうだそれしかない!と納得感がありました。
勇気は勇者の専売特許じゃないです。むしろ、ポップのように何者でもないからこそその力は輝くのかもしれません。
しるしを光らせられなかった時、ポップは自分だけが普通の人だからと悩んでいました。
ダイは竜の騎士、マァムは両親が勇者アバンの仲間、ヒュンケルは魔王軍の元で育てられており、レオナは王族です。こうして並べると、たしかに武器屋の息子であるポップは普通かもしれません。でも普通だからこそ、戦場に立って戦えている姿は勇気のたまものです。それだけで特別なことです。
臆病だった彼が、気づけばパーティーを引っ張る重要なキャラクターになっていたのは、全部自身が勇気の力で切り開いた道のおかげです。
そういった経緯を全て見てきているからこそ、読者は勇気の力がダイではなくポップであることにより納得できたんだと思います。
ちなみにダイの力は何かというと、レオナによれば「純粋さ」。パーフェクトブックでは「純真」とされています。
竜の騎士という特別な存在に生まれ、モンスターの元で育ったダイは、偏見のない目で世界を見つめ、自分の信じる道を進みます。そんなダイの純粋さが、魔王軍だったクロコダインやヒュンケルの心を溶かし、地上の人々を太陽として照らしました。
ダイが「純真」であるならば、やはりポップは「勇気」だと思えますし、逆もまたしかりです。
やっぱりダイの大冒険はこの二人が主人公なんだと思います。
(文・やなぎアキ)
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