※『ドラゴンクエストダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王』8巻までのネタバレを多分に含みます。まだ読んでいない方、いずれ読もうと思っている方は回れ右をした方が無難です。
※また、筆者は単行本派ですので、単行本化されていない部分については全く分からないのでそのあたりもご了承ください。
獄炎の8巻が発売されてからだいぶ経ったので、そろそろネタバレを書いてもいいかなと思いまして、嘘です、買ってあったくせにようやく読んだのがつい先日だったからです。
今回もめちゃくちゃに面白く、最高に盛り上がりを見せてくれました。感極まって泣きながら、表題のことを思いましたので書きなぐっていきます。
凍れる時間の秘法が解け、元に戻ったアバンとハドラー。ハドラーを倒すべく一同は再び集結し、地底魔城に乗り込むぞ!というところから8巻は始まります。
真っ向から殴り込むぜ!というアバンたちに対し、数にものを言わせた闇討ちを仕掛ける魔王軍。こちらの力を大幅に削る作戦ですが、アバン側にも強力な援軍が!
というここだけでもう最高に感涙だったわけですが、今回そこは置いておきましょう。
早速地底魔城内部に突入するアバンたち。
そこにロカが、自分に戦闘を任せてくれと進言します。ある一言と共に
「すべての戦いを勇者のためにせよ!」
ああああああああああああああああああ!!!!
こ、この言葉はぁああああああ!!
ダイ大最終決戦目前において、勇者であるダイを大魔王バーンの元へ行かせるため、勇者の一太刀を大魔王に浴びせるために、レオナが仲間たちに言った言葉ぁああああああ。そしてそれは、アバン先生がレオナに教えた言葉ぁああああ。
まさかそれがここで、ロカの口から聞けるだなんてぇえええ。
実際はロカとレイラが、ブロキーナ老師から教えられた言葉です。魔王ハドラーの天才的な戦闘センス、そして驚異的な回復力。一筋縄ではいかない相手を倒すには、勇者の強力な一撃が必要。それはつまり、勇者アバンが編み出した超必殺技、アバンストラッシュです。その一撃をハドラーに届かせるために、いかにアバンのダメージを少なくするか。そのための一言が、「すべての戦いを勇者のためにせよ!」。
おお~ん。この言葉があったから勇者アバンは魔王ハドラーに打ち勝てた!その歴史的瞬間を拝めるだなんてぇ~~。
そしてロカはてきぱきと指揮を執ります。一人一人の役割を冷静に分析し、自身が戦闘、アバンが二番手で、三番手のレイラが回復やサポートを。そして強力な魔法が使える大魔道士マトリフをしんがりに置くことで、挟み撃ちを防ごうというのです。ここで、強い奴をしんがりに置いた方がいいというロカの言葉で、そういえばバーンパレスでも長兄のヒュンケルがしんがりを務めたなと思いだしました。一々感動させてくるじゃん……。
この見事なまでの指揮官っぷり、否が応でも思い出しますね。
いつの間にか立派にパーティーの参謀役を務めていたポップのことを。
そして思いました。パーティーのムードメーカーというのはこういうことかと!キルバーンが言っていましたね。
「こういう弱いヤツが成長したようなタイプはチームのムードメーカーになるからね」
ロカは別に弱かったわけではありませんが、勇者としてめきめきと頭角と表すアバン、攻守に優れたレイラに比べて自身の力にやや自信のない部分がありました。そこを大魔道士マトリフがうまいこと導いたという点で、ポップと通ずるところがあります。
そして今や、勇者の盾として絶対的な信頼感が置ける戦士にまで成長しました。
ポップは魔法使い、ロカは戦士と、職業としては正反対なのですが、そういったところで共通点が見られます。
そもそも、マトリフがロカのことを気に入っているのって、マトリフがポップのことを気に入っている構図となんとなく似ているんですよね。マトリフ、めちゃくちゃ人を見る目があります。
ロカが指揮を執ったとき、マトリフがそういうのは自分の役だと言っていましたが、絶対ロカが言った方がいいですし、マトリフも内心はそう思っていたはずです。これからいよいよ敵の本拠地で戦うぞ!というときに大事なのは闘志!勢い!鼓舞!まずは気持ちで勝つことが大事です。そうやって皆を引っ張って行くのに最適なのはマトリフではなくやっぱりロカなんですよね。親友であるロカが引っ張ってくれた方が、アバンとしても気持ちが盛り上がるはず。ずっと一緒に戦ってきたからこそ、その言葉が身に染み入ります。
もしこの場にキルバーンがいたとしたら、やっぱりロカを狙うと思います。ひたすら前進し、迎え撃つ魔物をバッタバッタと蹴散らしていくロカは邪魔でしかありません。それは単純な強さによるところだけじゃないです。難しいことを考えず前に進むことしか考えないそのまっすぐさが、ロカの、ひいては勇者パーティーの厄介なところです。このロカの前進をくじくことで得られるものが必ずあるはずです。
これぞムードメーカーですね。
勇者アバンのパーティーに受け継がれる意思は、このようなところでも現れているのです。随所随所でダイ大に通じる部分が出てくるのが、獄炎の素晴らしいところですね。
さぁ、勇者パーティーは前進し続けますが、魔王軍も黙って見ているだけではありません。魔王に勇者の一太刀を浴びせるため、ロカは、仲間たちはアバンを先に進ませるために戦います。9巻は年明けすぐ発売!楽しみです!
(文・やなぎアキ)
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