キルバーン。
物語の中盤から参戦し、殺し屋として魔王軍を暗躍するミステリアスなキャラクター。
いつの間にか現れ、いつの間にか消え、死神の笛で相手を恐怖のどん底に陥れる。
謎多きキャラクターですが、ミステリアスかつスタイリッシュな見た目と飄々と余裕のある言動から、かっこいいキャラクターだなと当初は思っていた。
が、こやつ、汚い。
汚いぞキルバーン。
そもそもの彼の役割が、大魔王バーンにとって邪魔となる者や、組織内で不手際を起こした不届き物を始末するという暗殺者。
ベンガーナ王国襲撃
ダイたちがベンガーナを訪れた際、ドラゴンたちが襲撃してくる！それはキルバーンがバランの超竜軍団から借りてきたドラゴンだったわけだが、竜の紋章の力を発揮させたダイによって撃退される。だが助けられた人々は、超人的な力を持つダイを化け物扱いしてしまった。
このドラゴン襲撃作戦についてキルバーンは、ダイの実力を確かめたかったと言っているが、恐らく違う。これによってダイは人間に恐れられる存在と自身のことを認識してしまい、迷いが生じることとなった。メンタル面に的確にダメージを与えたのだ。陰湿である。きったね～。
ポップ暗殺
彼の役目はバーンにとって邪魔となるものの暗殺。当然ダイたちもそれに入るわけだが、彼が特に固執したのはポップ。パーティーのムードメーカーとして厄介だと目を付け、まんまと死の大地へとポップを呼び寄せる。
そして死神の笛でじわじわとポップを追い詰めた。キルバーンはけっこうな実力者のため、あの時点のポップ相手であれば真正面から戦ったとしても勝てたはずなのに、そこをじわじわと笛の音で追い詰める。これぞキルバーン。蜘蛛の巣にはまってもがく昆虫のように死んでいく様を楽しんでいるだけある。
が、笛なんかでのんきに遊んでいたがゆえにこの暗殺は失敗に終わる。やーいやーい。もしここで彼がポップの暗殺に成功していれば、たとえダイがいたとしても世界はバーンによって滅ぼされていたに違いない。
バランの暗殺
その後、魔王軍を離反したバランの暗殺命令を出されたキルバーン。
相変わらず死神の笛で相手の自由を奪おうとするが、竜の騎士バランにそんなものは効かない！あっという間に胴体真っ二つに。
あれ？全然暗殺できてないけど？死神さん、実は意外と大したことない～？死神の笛、大したことない～？
しかし彼の真の怖さはここから。魔界のマグマが体内に流れるキルバーンを斬ってしまったことで、バランの真魔剛竜剣の切れ味が鈍ってしまった。それがバランVSハドラーでバランが死んでしまった原因の一つとなっている。
バランに真っ二つにされてしまったのは予想外のことだったとは思うが、それをあたかも計算通り、みたいな感じでハドラーに教えるキルバーン。ほんとお前さぁ～～。
ハドラー戦後のデストラップ
キルバーンの汚さはバーンパレス突入から加速していく。
そう、ダイヤ9である。
ダイとハドラーのあの熱い戦い。それの決着がようやくつき気持ちのいい終わりを迎えようとしたそのとき、トラップは発現する！
不可避のトラップ！業火に包まれるダイとハドラー、そして間一髪助けに入ったポップ！
汚い！キルバーンさすが汚い！
正々堂々と戦った戦士たちの決着のときに、自身ならまだしもトラップを仕掛けて分け入るだなんて！
しかもバーンパレスに仕掛けられた罠はこれだけではなく、トランプの数だけあるという徹底っぷり！ダイたちはろくに戦うこともできないままトラップの餌食になってしまう！まぁアバン先生とレオナがほとんど解除しちゃったからどんな罠があったのかわからないけど。
ここまでの私はバーンの所業に怒りを覚えていたが、さすがにキルバーンへの怒りの方が勝ったものである。
アバン戦での約束反故
先述のキルトラップの際に、アバン先生によって仮面を斬られたキルバーンは標的をアバン先生に絞り込む。
ジャッジとかいう古代兵器を持ち出して正々堂々戦おうとか言っておきながら、そのジャッジを使ってアバン先生を仕留めようとする始末。何が正々堂々だよ。ちょっとでも信じた私がバカだったよ。あ～恥ずかしい。
しかしその策略もまんまとアバン先生に抜け出され、さらに切り札であるバーニングクリメイションも、ハドラーの灰によって防がれアバンストラッシュを決められてしまう。
卑劣な罠によって陥れたハドラーに足元をすくわれる形となったキルバーン。しかしまだアバン先生を罠に賭けようとすることを諦めない！もういっそあっぱれだよ、その罠への固執っぷり。
が、それも先生には看過され、逆に利用される形となりとうとう死神はその首をはねられた。正々堂々と戦おうとしないものが、勇者の太刀筋に勝てるわけねぇだろうが！
あの世で反省しろ！
最後のあがき
しかし！キルバーンは生きていた！
正確には、キルバーンと思われていたのはただの人形で、その実本体はキルバーンの使い魔だと思われたピロロだったのだ！
きたねぇ～～～～！！ひとつめピエロという弱そうなモンスターを演じる（いや多分本当にひとつめピエロなんだろうけど）ことで相手を油断させ、自分は死なないポジションにいたんだ！実際、キルバーンが攻撃されることはあってもピロロは攻撃されない。それどころかアバン先生は見逃してすらいる！
というわけで、ダイはいなくなってしまう。んだよてめぇ～～～！！正体を隠し高みの見物を決めてその上我々から勇者も奪いやがって！
最後はアバン先生とマァムのコンビネーションで倒されたが、腹の虫がおさまらねぇ！
しかも！彼はまだ生きている！アニメ版ではそれを示唆するような演出がなされ、実際に生きているとの公式の言葉もあったようだ。
わざわざそんな演出を入れたということは、魔界編があるのでは！？と放送終了後にファンたちはざわめきたった。が今に至るまで特に何の続報もない。
もしも魔界編が作られるのであれば、またキルバーンの活躍が見られるのかもしれない。別に見たくもないけど！あんな汚いやつ！しかし、ポップを仕留めることもできずアバン先生に打ちのめされた彼が、どのようにパワーアップして帰ってくるのかは気になる。
もっと汚くなるのか、それとも今度こそ正々堂々と戦うのか……。また私を絶望させてくれ、キルバーン。
（文・やなぎアキ）
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