ドラクエには2以降仲間キャラがいる。
それぞれに生まれがあり境遇があり、物語がある。
ごく普通の家の生まれだったり、実は特別な人だったりと色々だ。
中でもドラクエ7のガボは、他にはない設定を持っている。
ドラクエ7は過去に遡り魔物を退治することで、現代に大陸を復活させるというストーリーだ。
その内の一つ、オルフィーは白き狼の伝説が残る町。かつて白オオカミは魔を封じ町を救った、という伝説がある。
ガボはその白オオカミの最後の生き残りなのである。
つまりガボは人間ではないのだ。
主人公たちが過去を訪れた際に、封印から復活したデス・アミーゴによって人間の姿にされてしまい、その後かけられた呪いにより永遠に元の姿に戻れなくなってしまった。デス・アミーゴを封印から解いた黒幕を放っておくことはできないと考え、主人公たちの仲間になる。
PS版では普通に二足歩行しているし、世間知らずではあるが人間と同じように喋ることができるわけだが、中身は紛れもなくオオカミだ。
この設定はドラクエではなかなかめずらしい。
なんせ元が動物なのである。いくら白オオカミが特別な力を持った伝説の生き物だとしても、結局は動物である。
つまり動物が仲間になっているのだ。
ドラクエ5のような、モンスターを仲間にするのとはわけがちがう。そもそもガボはメインキャラだ。そして、モンスターではなく、あくまでも動物というのがいい。
犬だったのが人間の姿になり仲間になるという展開はドラクエ2にあるが、あくまでも彼女はそもそもが人間である。
ドラクエ5では人間ではない仲間に妖精がいるが、人種が違うレベルである。
ドラクエ8の主人公も半分は人間じゃないが、これも結局人種レベル。
ガボのように、まんまオオカミです、というキャラクターはいない。しかも伝説の白オオカミ。
正直めちゃくちゃかっこいい。見た目は人間だけど、中身は伝説の白オオカミ。メルビンは伝説の英雄だが、それよりもかっこいい。アイラは神の踊り手で、幼馴染のキーファの子孫という属性モリモリだが、それも見劣る。というか、こう見るとドラクエ7の仲間、初期メン(主人公を除く)以外肩書が強すぎる。
肩書と言えば、職業に就く前のガボの肩書は何なのかというと、
オオカミ少年
いや、設定を活かしきれていない!!!
それだと、オオカミに育てられた少年になってしまう。間違ってはいないのだが、間違っている。伝説の白オオカミぞ?神の使いぞ?こう、もっと、なんか、あるだろ。
そうなのだ。ガボはこのめちゃくちゃかっこいい設定を、なんとなく活かし切れていない。
仲間会話をすればたしかに世間知らずっぷりを発揮してくれる。結構な確率でマリベルにどつかれ怒られている。だがそれだけだ。
もっと伝説のオオカミ感を出してほしいものだが、伝説のオオカミ感が出ていたのはオルフィー編だけ。仲間になってからはそのなりを潜めている。
アイラはキーファの子孫として鮮烈なデビューを飾り、例のムービーで神の踊り手としての存在感を発揮。メルビンも、(ニセ)神が復活したあと聖騎士として色々活躍してくれたわけだが、ガボときたらフィッシュベルの魚を食べるばかり。とてももったいない。
せっかくドラクエの中でもめずらしい設定の仲間なのだが、最初以外はその特徴もむなしくただの世間知らずな少年がそこにいるだけだった……。白オオカミなのに。
小説版はそこをうまく補完していたようにも思う。魂が人間ではないから、職業はモンスター職しかつけないとか、ルーメンのイベントで主人公と喧嘩をするとか。職業縛りが実際にゲームにあるとそれはそれでめんどうだったとは思うが、ちょっとした工夫があっても良かったのかなと思う。
ガボ以降はその後も仲間は人間キャラばかりとなったが、そろそろここいらでガボのように完全に人間以外の仲間が出てきても面白いと思う。
ドラクエ12、まだかな~。
(文・やなぎアキ)
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