悪いやつって大体世界征服をしようとしていて、悪いやつに世界征服なんてされたら平和に暮らせないだろうからそいつを倒すんだ!という認識が昔はあった。ドラクエもそんな感じかと思っていた。
が、そもそも世界征服ってなんだ?
世界征服して何をしたいんだ?自分が好き勝手出来る世界を作りたいということだろうか?
そもそも世界征服をしようとしていたラスボスってドラクエにどれくらいいたっけ?
竜王→アレフガルドを闇の世界にしたから(DQB)、世界征服
ハーゴン→邪神を復活させて世界征服
ゾーマ→世界征服
デスピサロ→人間が嫌いだから滅ぼす
ミルドラース→世界征服
デスタムーア→世界征服
オルゴ・デミーラ→世界征服
ラプソーン→世界征服
エルギオス→自暴自棄になって世界破壊
ニズゼルファ→世界を闇に包もうとするし多分世界征服
解釈による部分も多いが、大きな意味で世界征服ととらえられるものが多く、まさかのほとんどのボスが世界征服をもくろんでいた。色恋が絡むと世界征服はしないらしい。
デスピサロについては、人間を滅ぼして地上を魔族のものにしようとしていたのかもしれないと考えると、世界征服と言えなくもない。
で、こいつらはその目的を達成したあと何をしたかったのだろう。
人間は基本滅ぼすのだろう。生かすとしても、家畜扱いに違いない。
が、人間を滅ぼして、もしくは家畜にしてはい終わりというわけにもいかないだろう。配下の魔物たちがいくらでもいるのだ。それらの扱いはどうするのだろうか。ただ無秩序にあたりを破壊して食い尽くしていっては、せっかく征服した世界があっという間に滅んでいってしまうだろう。
まぁ滅んでも別にいいでーすっていうボスもいるとは思う。ニズゼルファのような邪神はそのタイプかもしれない。
だが、ミルドラースみたいな自己顕示欲の塊はそうはいかないだろう。せっかく征服したのだから、自分の好き勝手出来る世界を維持したいはず。
しかし、維持や保守というのは大変だ。大変なのだ。どう頑張ってもどこかで問題が発生する。いくら人間を滅ぼしたところで、たくさんいる魔物たちがどこかで仲たがいしないとも限らない。
その仲裁をしなければ、世界はどんどん混沌に包まれていくだろう。混沌に包まれるのが目的だとしても、それによる不都合が自分に及ばないとは限らない。心地よい混沌は、混沌を制御するための秩序によって生まれるものだ。何を言っているかわからないと思うが、そうは思わないだろうか。混沌を好むであろう魔王たちも、世界を手に入れるためにしっかり計画を立て部下を動かしているのだから。何かを成し遂げるにはどうしても秩序が必要なのだ。
そう考えると、世界を征服するというのはけっこうめんどくさそうだ。
誰がどこにいるのか、不穏分子はいないか、もちろん自身が快適に暮らすためには魔物たちにしっかり働いてもらってその成果を献上してもらう必要もあるだろう。年貢か?年貢が発生するのか?さらに、統治者というのはいつだってみんなに賛同されているとは限らない。不信感や反逆心を抱いた不穏分子が必ずいる。そんなやつは近くに置くわけにはいかないのだから、恐らくは自身の居城よりも遠くに配置するだろう。外様だ、外様。そして、ずっと会わないでいるとそのまま不信感や反逆心は育っていってしまうので、一年に一回程度大魔王に謁見するイベントを作った方がいいだろう。参勤交代だ。
江戸時代じゃねーか。
江戸時代だと考えると世界征服めちゃくちゃ大変じゃねーか。
なんでそんなことを魔王たちはしたがるのだろうか。
もしかして世界征服したいというのは私の勘違いで、彼らがしたいのは世界征服ではないのかもしれない。
むしろ、世界掌握の方がしっくりきそうだ。全世界のすべてが私の手の平で意のままよぉ!みたいな優越感、それを得るために色々画策しているわけで、掌握したあとは何も考えていない可能性がある。
しかし、何か大きなことを成し遂げたい場合は、そこをゴールとするのではなくその後のこともよ~く考えるべきだ。
そのへんのことを、特に世界掌握にほぼ成功していたオルゴ・デミーラさんやウルノーガさんにはご教授いただければ幸いである。
まあ勇者が倒すんだけどさ。
(文・やなぎアキ)
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