突然の訃報に驚きました。
作曲家のすぎやまこういち先生が2021年9月30日、敗血症性ショックのため亡くなりました。
すぎやまこういち先生は数々のゲーム音楽を手掛けており、またゲームだけではなく最ボーグ009などアニメ音楽も多数手がけてきました。
その中でもやはり一番最初に思い浮かぶのはドラゴンクエストでしょう。
1986年発売のドラゴンクエストの作曲を担当してから、実に35年間もの間ドラクエを数多の名曲で彩ってくれました。
たとえドラクエをプレイしたことがなくても序曲を聞けば「ドラクエだ」とわかる人が多いはずです。
あのファンファーレから始まる音楽。OPではこれから冒険が始まるワクワク感を高めてくれ、エンディングではこれまでの旅路を高らかに称えてくれました。ドラクエはどれだけ時代が変わろうとも王道RPGであり続けましたが、それはこの偉大な音楽のおかげでもあると思います。あの序曲が5分でできたというエピソードはあまりにも有名です。しかしそれは、「54年と5分でできた曲」とご自身が仰る通り、それまでの人生があってこその曲です。
ドラクエの音楽はどれだけ聞いても飽きることがありません。あくまでBGMとして、ストーリーを、戦闘を、バックアップするような形で流れる音楽は、日常生活でもつい聞きたくなるものばかりです。
ドラクエの音楽はクラシック音楽を基として作られているために、聞き飽きるということがないのでしょう。どこか荘厳で、それでいて耳馴染みのいい、そんな音楽でした。
ドラクエはナンバリング作品だけでも11、スピンオフを入れるとかなりの数あります。そのほぼすべてのBGMを担当したすぎやまこういち先生。
どのドラクエ作品をプレイしても、「ドラクエだ」と安心感を覚えることができるほど、BGMの力は偉大です。
たとえ新曲だったとしても、「ああドラクエの世界にいる」と思えました。新作に昔の作品の曲が使われると、「あああの場面の曲だ」とすぐ思い浮かぶほど、印象に残る曲でした。
「ドラクエでどの音楽が一番好きか」という話をしはじめれば、終わることがありません。しかしどの曲を選んでも、すぎやまこういち先生を称えることには変わりないのです。それほどまでに、ドラクエはすぎやまこういち先生の作品でもあったのです。
今年開催された東京オリンピック開会式の選手入場時に序曲が流れ、思わぬサプライズにテレビの前で鳥肌が立った方は多いはず。
勇者が入場してくると、ここまで直感的に思わせることができる曲が他にあるでしょうか。
その後にループして流れる数々の名作ゲームの曲たち。
しかしドラクエの音楽だけが、最初と最後だけに流れたのです。
ああ、ドラクエの音楽は、こんなにも高潔だったのだと、そう感じました。
ただの一プレイヤーなのに、なんだか誇らしげな気持ちになりました。
最初この訃報を聞いたときは、あまりにも突然すぎたこともあり、ただただ受け止めることしかできませんでした。
しかし、今この記事を書いていると、本当にいなくなってしまったのだという実感がふつふつと湧いてきて、涙を禁じ得ませんでした。
しかし、私は感謝を述べたいです。
ドラクエに出会えたことは、すぎやまこういち先生に出会えたということでもあります。
RPGは出会いと別れの物語でもあります。
すぎやまこういち先生の音楽に出会えてよかったです。
私たちは、これからもすぎやまこういち先生の音楽を聴きながら、一生ドラクエをプレイし続けるでしょう。
ありがとうございました。
私たちはずっとすぎやまこういち先生のファンです。
(文・DQフリ編集部)
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