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【ドラクエ11】ホメロスの一生、彼はどうやって許されたのか

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ドラクエ界にイケメンコンテストがあれば、絶対にエントリーされるであろうドラクエ11きってのイケメン、軍師ホメロス。

しかし、彼は光のイケメンではなく闇のイケメンである。

志を持って生きてきたはずなのに、いつからか闇落ちしていたホメロス、その人生を振り返ってみよう。

 

ちなみに、ドラクエ11Sで追加されたイベントも加味して振り返っていく。

 

友と目指す未来の姿

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子どもの頃のホメロスは、グレイグと日々切磋琢磨するごく普通の少年だった。しかしこの頃からすでにグレイグに剣技では勝てず、少しずつ劣等感を募らせていたのかもしれない。デルカダール王が生まれたばかりのマルティナを二人に見せたときも、ホメロスの反応はグレイグに比べて薄い。

しかしここで二人は王からペンダントを受け取ることになる。そして彼らは、お互いの力が合わされば王国最強の騎士になれるだろう、そしてこの国を共に守っていくんだと誓いを立てることになる。王国最強の騎士に送られる盾は、二人一緒に手にするんだと。汚れを知らないホメロスのその想いに暗雲さしこめるのにはそう時間はかからなかった。

 

グレイグはさらにソルティコのジエーゴのもとで剣の修行を積み、ますますホメロスとの差を広げていった。日々研鑽を重ねていた自身の努力を無駄にされた気がしただろう。幼き日の約束を覚えているのは自分だけではないのか、と思い出にすら影を落とすことになってしまう。それでもホメロスは、親友と一緒に国を守る騎士になるのだと、その決意が揺らがないように日々を過ごすことになる。

 

 

焦りと甘言

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魔物たちがユグノア城を急襲したあの日、ホメロスはグレイグと共に隊を引き連れてデルカダール王を救出することに成功する。

しかし王から賞賛され褒美を受け取ったのはグレイグだけだった。ホメロスもいたからこそ王を助けることができたというのに、王はホメロスには異常に冷たかったという。この時点で王はウルノーガに取って代わられていたのだ。これを機にホメロスの心には闇が巣くい始める。グレイグのみに光が当たり、常に彼の影でいたホメロスは、友に対して嫉妬し焦りを募らせたことだろう。二人で国を守ると約束したあの日のことは遠く色褪せ、先を歩くグレイグとの差は開くばかり。そして、いつしかウルノーガの甘言に乗せられ彼の手先になってしまったのだ。

 

デルカダールに勇者がやってきたときは、彼の故郷を躊躇なく焼き払い村人も皆殺しにしようとする。もう彼には慈悲の心なんて全くないのだ。罪なき子供の声を奪うことも躊躇しない、そんな氷のように冷たい男になってしまった。かつての彼は、冷たいところがあったとしても、真面目で誇り高い人間だったというのに。

その後もウルノーガに言われるがままに勇者たちを執拗に追い立てていく。

少しずつグレイグもホメロスに疑念を抱いていくが、二人が誓いを立てた大事なペンダントをだしに親友の命を奪おうとしていることを知った彼は、いよいよホメロスと道を違えてしまったことを確信しただろう。

 

 

友との決別

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命の大樹にて、勇者を追い詰めたホメロスの目の前に現れたのはグレイグだった。魔に染まってしまったホメロスと話すこともできぬまま、世界はその後崩壊してしまう。

その後ホメロスはグレイグと再会するが、もうかつてのように友人として接することはお互いできなかった。いや、とっくの昔からできなかっただろう。完全に魔物に魂を売ってしまったホメロスは、グレイグにどれだけの憎しみを抱いていたかを吐露する。

 

かつての友に並々ならぬ思いを募らせたグレイグは、旅の末にとうとうホメロスと戦うことになる。彼は人間としての姿すら捨てグレイグに襲いかかるが、彼らの力の差はついに埋まることはなかった。

魔物に魂を売ってまで手に入れたその力でさえグレイグにかなうことはできず、ホメロスはそれまで抱いていた本当の気持ちを漏らす。

グレイグが賞賛され光を浴びるたびに、自分は影になっていた。自分も同じように努力をしてきたはずなのに、グレイグだけがいつも光のもとにある。ホメロスは、ただ、グレイグのようになりたかっただけなのだ。その想いを告げると、彼は消え去ってしまった。

 

しかし、長年積もった劣等感がそう簡単に消えるわけはない。どんな手を使ってでも勇者に、そしてグレイグに勝ちたいホメロスはあくまでも姑息な手段を取る。だがそんな手に屈するグレイグ、そして勇者たちではない。再び敗れもがくホメロスに対して、グレイグもまた、彼に対して抱いていた本当の気持ちを伝える。ホメロスがグレイグの背中を追い続けたように、グレイグにとってはホメロスこそが光であり憧れる存在だったのだ。それを聞いたホメロスは、今度こそ本当に跡形もなく消えてしまうのだった。幼き頃、二人の少年が約束を交わした、誓いのペンダントだけを残して。

 

もしも二人がもっと早く、お互いに抱いている想いを伝えあうことができれば、もっと違う結末があったはずだろう。

親友として手を取り合い、デルカダールを守る最強の騎士になれたはずだ。

 

だがもう遅い。

 

 

勇者を守る盾、双頭の鷲

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世界に真の平和を取り戻すため、勇者は時を遡る。

次に起こる悲劇を知っている勇者の手によって、命の大樹でのホメロスの奇襲は失敗に終わってしまう。そしてデルカダール王に化けたウルノーガの策略により、ホメロスはそのまま命を落としてしまう。

ホメロスがなぜそんな凶行に走ってしまったのか、この世界のグレイグは一切知ることもないまま……。

 

そして、無念の内に死んだホメロスの魂は、グレイグにその心の内を見せる。やはり光の中にいるグレイグを妬み、彼の後ろを歩きたくないがために闇に魂を売ったことを訴えかける。しかし、それ以前はグレイグと同じように、グレイグと共にデルカダールを守りたかったという気持ちは間違いなかったのだ。プライドの高いホメロスの心中を知ったグレイグは、なぜ友とすれちがうことになったのか理解していく。

死してなお消えないホメロスの心の闇を、全力を持って払うグレイグ。

お互いがお互いに光を見出し、救われていたことを確かめ合うと、ようやくホメロスは自身を取り戻す。

犯した罪を償うことはできないと思いながらも、ホメロスはグレイグに問う。

 

お前はまだ……オレを友と……呼んでくれるのか?

 

もちろんだ。我が友よ。

 

ずっと求めていたその答えを聞くと、ホメロスは幼き日の誓いを果たすため、その魂をグレイグの鎧に宿す。唯一無二の友と共に、勇者を守る盾となる。二人が一つになったその姿は、まさしくデルカダール最強の騎士といえるだろう。一人ではなし得なかった、子どもの頃の夢を、今度こそ叶えることができたのだ。二人は本当の友となることができた。

 

ホメロスが残したプラチナソードにグレイグは誓いのペンダントを立てる。

ホメロスがそこにたしかにいたという証を残して……。

 

 

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(文・やなぎアキ)

 

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