仲間会話では、しばしば仲間が次に行くべき場所を示してくれたり、ヒントをくれたりする。
ドラクエ11では、仲間たちがそれぞれ自分の意見や感想を述べるなか、一人は必ず次の目的地について話してくれる。
そして、かなりの頻度でその役割を担うのが勇者の相棒、カミュだ。
勇者が故郷を焼き尽くされて悲しんでいるときも、次の目的地を促すその姿を見たとき、システムの犠牲者……と思ったものだ。
なんでそんなにも急かすん?カミュには情緒ってものがないのか?
そりゃ悲しんだりして足を止めることは、世界を救うことにはつながらないかもしれないけど、ちょっとくらいいいじゃない!人の心をなくしてしまったら、魔物たちと何も変わらないんだよ!
しかし、ゲームの都合上仕方ないだろう。
カミュは一番最初の仲間だし、真面目でしっかり者。ダーハルーネで船を出せないとわかったときに、ルンルンとショッピングに向かう女性陣たちに苦言を呈するのがカミュだ。
そんなカミュだからこそ、ナビゲーションなのだ。
そんなある日、急に思った。
カミュがあんなに急かすのは、彼の悲しい過去が起因では?と。
カミュが勇者の仲間になった理由は、自らの贖罪を果たすためには勇者の力になれという予言を、謎の予言者から受けたためだ。
そのため、カミュはなんの疑いもなく勇者の仲間になる。
そして彼の犯した罪というのが、彼の妹、マヤを助けてやることができなかったということ。
その罪を償うために、カミュは勇者に同行する。
そう、勇者の手助けをすることはカミュにとって、妹マヤを助けられなかったという罪から許されるということなのだ。
だからカミュは寄り道を嫌い、先へ先へと勇者を急かすのではないだろうか。
勇者を手助けしたいあまり、やるべきことやるべきこととどんどんどんどん先へ進めさせたい。そうすることで自分の罪は許される。マヤを助けることができるのかそうでないかは今はまだわからないけど、今一緒にいる勇者が、その使命を果たすことができれば、何か変化が訪れるかもしれない。
そういう人には言えない思いがカミュの中にはあったからこそ、次の目的地をいつも教えてくれ、寄り道をしたがる女性陣に苦言を呈し……。
カミュに急かされているような気持ちになったが、カミュ自身の気持ちがそもそも急いていたのかもしれない。
妹を思う気持ちから勇者に同行した彼だからこそ、ナビゲーションなのだ。
町々で聞く情報を全て漏らさず、もし勇者が忘れてしまっても聞き逃してしまってもすぐ自分が助けられるように。
そうして贖罪を果たすために、自分の役割を精いっぱいこなしていた彼は、勇者の力によって妹を助け出すことができた。
ああ、予言の通りだった、そして自分のやってきた行動は間違っていなかったのだ、と彼が感じたとき、今度は本当に心の底から勇者を手助けするために、再びナビゲーションの座に座ったのだろう。
自分にはこういう役割が似合っているのかもしれない、と。
システムに言わされているだけで、カミュが急かしているわけではないのだ……と自分で言い聞かせるよりも、妹を思う気持ちからカミュはあんなにも目的地に言及するのだ、と思っている方が、カミュというキャラクターに深みが出るように思う。
ありがとう、勇者のカーナビ、ナビュ。
(文・やなぎアキ)
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