ここ最近のダイの大冒険は、ダイの出自に関わる話が多くてまったくもって目が離せませんね。
そして作画が相変わらずいいですね。
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アニメ『ダイの大冒険』各話感想 - DQフリ ドラクエファンサイト
さぁ、バラン編の核心に迫るであろう第二十八話「ダイの秘密」感想行ってみましょう!
届かないレオナの想い
ポップとヒュンケルの足止めもむなしく、刻一刻とダイの元へ近づくバラン。
それを察知したメルルの言葉によって、警戒を強めるレオナとクロコダイン。
なんとしてでもダイとバランを会わせてはいけない!
クロコダインと共に前線に出ようとするレオナ。クロコダインは一時は止めようとしますが、彼女の強い意思を秘めた瞳に見つめられ考えをあらためます。レオナは姫であると同時に、一人の立派な戦士なのです。それをクロコダインも感じ取ったのでしょうか。
バランとダイ、二人を会わせてしまったが最後、ダイは恐らく何の疑いもなくバランについていくことでしょう。同じ竜の騎士であり、親子であることは紛れもない事実なのですから。ダイの記憶がない今、それを止めることは非常に難しいです。
レオナは、パプニカのナイフをダイに半ば無理やり託します。そう、それは物語の本当に最初の方で、魔法が使えないと落ち込むダイにレオナが与えた思い出の武器です。
このナイフを使い、自分の身を守るよう、戦うようレオナは言います。
しかし、記憶のないダイにとって、戦うということは恐ろしいこと。戦いのための武器を持つことは、怖いことなのです。
ナイフを持ちたがらず泣いてしまうダイを、レオナはそっと抱き寄せます。
そして口づけをかわすのです……。はっきりとは映っていませんが、恐らくそうでしょう。
ここでいつもの私であれば、きゃーーー、すてきーーー!とか言ったりするのですが、場面が場面なので切なくて苦しかったです。
薄々感じてはいましたが、レオナはダイに対して、好意とかそれ以上の想いを持っているんですよね。かつて自分を助けてくれた、勇敢なダイが大好きなんですよ。勇者としてのダイを、ポップよりもマァムよりも先に見てきたんですよ。小さな勇者の成長を、誰よりも望んて来たのは、きっとレオナなんですよ。
そのダイが今、こんなにも弱弱しくなっている。そんなの本当のダイじゃない。勇者じゃない。
レオナは必死に訴えかけますが、ダイには自身が勇者であることは信じられません。
さらにダイは、もう少しで自分を守ってくれる誰かが来てくれているんだと晴れやかな顔を見せます。
それは敵だと、自分たちとのかけがえのない思い出を奪った敵なんだとレオナは言います。
だから戦って、その思い出と、勇気を取り戻すんだとダイに力強く投げかけますが、彼は戸惑うばかりでした。
そしてレオナとクロコダインは、バランを食い止めるため城をあとにします。
レオナの想いが少しでも届いたのか、かすかに、ダイはレオナとパプニカのナイフについて、思い出したようです……。
バランとソアラの真実
前回ラーハルトに完膚なきまでにやられたヒュンケル。しかし、ダイは地上の人間すべての希望であると、ヒュンケルはなお立ち上がろうとします。
その言葉をラーハルトは一笑に付します。ゴミの人間どもにそんなものを抱く権利はない、と。
そして語りだします。なぜバランは、人間をあれほどまでに憎むのか……。
バランが愛した女性、ダイの母親は人間に殺されたという衝撃の事実を持って、その物語の幕は開けます。
そうだろうなとは思っていましたが、実際に聞くと重いですね……。
しかし、なぜそうなったのでしょうか。
竜の騎士は本来であれば世界でただ一人しかいないはず。竜の騎士が死ぬとき、マザードラゴンが騎士に寄り添い、役目を終えた紋章は新しい生命に宿るというのです。そうしてまたマザードラゴンから新しい竜の騎士が生まれ、成人すれば己の宿命のため戦います。
このため、竜の騎士は親の顔も子供の顔も見ることはかなわず、戦いに明け暮れる人生を送ることになります。とりあえず、マスタードラゴンみたいだなと思いました(小並感)。
そして15年前、魔王ハドラーが世界を恐怖に陥れたとき、それを打ち破ったのは竜の騎士ではありませんでした。そう、我らが勇者アバンです。
ではそのときバランは何をしていたのか?ここ、ラーハルトがばちぼこにヒュンケルに背を向けて話していて、油断~~~ってなりました。
彼はさらに強大な悪と戦っていたのです。それが冥竜王ヴェルザー。ハドラーを無視しておくのも仕方ないと思えるほどの悪が、実は裏にいたのです。それを倒すために、バランは命を懸けて戦ってしました。人知れずバランは人間を救っていたというわけです。バラン……勇者なんじゃん……。
そして、その戦いで傷ついた体を泉で癒そうとしたときに、ソアラと出会ったのでした。竜の騎士と人間、二人が出会い、そして互いに惹かれあっていく……。バランは彼女の中に、太陽を見たのです。それは、仲間たちがダイの中に太陽を見たのと同じでしょう。
ソアラはアルキード王国の王女であり、最初はバランも快く迎え入れられていたのですが、それをよく思わない勢力も確実にありました。
その連中の策略により人間ではないバランは城を追い出されることになりました。しかしソアラは、たとえ人間じゃなくてもバランを愛する気持ちを諦めることはできませんでした。彼女のお腹の中には、子供が宿っていました。それが、ダイです。
二人、いえ、三人はテランの森の奥深くで静かに暮らすことになりました。
生まれた子供にディーノと名付けるソアラ。ダイの本当の名前、ディーノはソアラが名付けた者だったわけですね。そうなると、バランが執拗にダイのことをディーノと呼ぶのもうなづけます。愛する亡き妻が残した、たった一人の子供、その名前がディーノなのですから。
そんな二人の平和な生活も、人間の手によって打ち壊されます。
アルキード王国の兵に囲まれた3人でしたが、人間を殺すわけにはいかないと考えたバランは、ソアラと子供の命を守るために投降しました。そして、ディーノは遠く異国の地に送られることになってしまいました。
バランは極刑になります。しかし彼が死を覚悟したそのとき、バランの死を黙って見過ごすことなどできなかったソアラが身代わりになってしまいます。
父親がこれ以上ひどいことをするのを見ていられなかった……でも人間を恨まないで、みんな臆病なだけだから……。絞り出すような声でそう伝えるソアラ。
そして、ディーノを探しだして二人で平和に…………最後の言葉を言い切ることもできず、ソアラは息絶えました。
バランに、その最後の言葉は、届いてはいませんでした。残ったのは、愛する人を人間に奪われたその憎しみだけ。竜の騎士の力を使い、アルキード王国を消し去ったバラン。自分勝手な人間どもを守るために命がけで戦った、そんなかつての自分すらも愚かに思えるほど、バランの中には憎しみが渦巻いてしまったのです。
バランの流す涙がソアラの頬を伝い、ソアラの真意が届かなかった無念さを物語っているようです。
人間を恨まず、ただ息子と平和に暮らしてほしかっただけなのに。バランは今や、ただひたすら人間を憎み、人間を根絶やしにするために息子を奪い返そうとしているだけです。
ディーノを乗せた船は途中で難破しており、そのせいでバランはディーノを探し出すことができませんでした。そんなバランに、大魔王バーンはつけこんだのです。まずは人間を滅ぼすべきだと。
ラーハルトだけにそれを打ち明けたバランの心中……。竜騎衆の中でもラーハルトがとりわけ信頼されていたということでしょう。彼だけが、バランの気持ちに寄り添えたのかもしれません。そう考えると、他の二人よりも人間的な感情を持っているのでしょうか。
この話を聞くと、バランは必死にダイを取り戻そうとする気持ちがわかります。
ヒュンケルの熱い一撃!
ラーハルトの話を聞いたヒュンケルは、ダイと、そしてバランのために立ち上がります。
ヒュンケルもまた、人間を恨み、魔王軍の一員として戦っていたものでした。
しかし、彼に仲間たちは、人間も捨てたものではないと教えてくれました。そして、そんなヒュンケルだからこそ、バランのことを救えるのかもしれないのです。
バランの心の痛みをよく知るラーハルトは激怒し、ついにとどめを刺そうとします。それを、ヒュンケルはなんとよけます!
これまでは余力を残すために、間合いを取って戦っていたヒュンケルでしたが、それはむしろラーハルトの得意な間合い。しかし命を賭して距離を詰めれば、ヒュンケルにとってラーハルトの攻撃をかわすことは造作ありません!
この辺の作画、かっこえええええええええええええええええええええ!!!!!!
近距離戦であれば、槍よりも剣の方が強い!
これが命をかけた人間の力だぁぁぁぁあああああ!!
でもだめでした。
やっぱりラーハルトの方が強いです。
とんでもないスピード感です。
ひとたび間合いを取られてしまえば、槍の方が強い!!
ハーケンディストールを決められるぞ、ヒュンケル!
うわぁああああああああああああああああああああ!!!!!!
刹那!!
ヒュンケルの命を囮とした罠!
十字を描くその技はあぁあああああああああああああ!!!
グランドクルス!!!!!!
闘気を込めたその武器は一体!!!
その何の変哲もなさそうな鎖が、なぜラーハルトの技で断ち切れぬ!!
それもそのはず!!
それは!誰にも切れない、アバンの使徒の、絆の証!
それに込められた闘気は、誰にも負けない!!!!!!!
これが人間の力!
やったぜヒュンケル!!!
と思う間もなく、前回何の出番もなく退場したと思われたボラホーンさん登場。
しかも、卑劣なことに戦う力が残っていないポップを人質に取るという始末。
くそぉおおおお!名乗りの最中に攻撃をしかけたヒュンケルの卑劣さに勝るとも劣らないボラホーンの卑劣さ!
ここが戦場だ!!!!
シリアスな回想シーンからの激アツな戦い。
これが30分足らずに収まっているというんだから驚きです。
一国の姫と恋に落ち、しかしその身分違いと竜の騎士であるがゆえに悲恋に終わってしまったバランとソアラ。
ダイとレオナは同じ道を歩まぬよう、守るべきものと戦うべき相手を見誤らないでほしいところです。
そして、人間と竜の騎士の間に生まれて、魔物に育てられたダイ=ディーノには、全ての生き物の架け橋になってほしいです。
さらに言うならば、ダイにはディーノという名前も大切にしてほしいです。両親がダイのためを思って名付けた、愛情のこもった名前なのですから。
(文・やなぎアキ)
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