ドラクエのHPを回復させるための消費アイテムといえばやくそう。
長らくやくそうしかなかった。
一応アモールの水やらアミットせんべいやらの存在もあったが、前者は回復効果のわりには値段が高いし、後者は一定期間もしくはツボの中などからしか手に入れることができない。
お手軽に手に入る回復アイテムはやくそうだった。
回復量が約30とホイミを覚えたらお役御免になり、ふくろのこやしになるアイテムであった。せいぜいボス戦前にMPを消費せずにHPを回復させるための手段としてしか使われなかったのだ。
ポーション、ハイポーション、エクスポーションなど、他RPGでは上位アイテムが用意されているのが当然であるが、かたくなにやくそうしかなかったドラクエ。国民的RPGなのに、なぜかそこだけ異質だった。
それが、なんと、ドラクエ8にて、上やくそうという存在が登場した!
そう、今でこそ上やくそうは当たり前のアイテムになったが、当時はめちゃくちゃに画期的だったのだ。やくそうしかないと思われたときに上やくそう。HPが80を超えたあたりになると回復量が物足りなくてとてもじゃないが実戦には耐えられないやくそう……それを超える存在が現われたのだ!
もう一同(私)大歓喜!
60~回復できるアイテムはものすごくありがたい!しかも何がありがたいかというと、アモールの水のように高いわけではなく、やくそう×2、つまり16Gで手に入るということである。価格崩壊。
唯一の難点は拾う以外には錬金釜で作るしかないということだったが……。PS2版のドラクエ8だと錬金が終わるには一定歩数歩かなければいけなかったので、すぐに手に入るわけではなかった。
しかし、その欠点を補って余りある魅力!
錬金釜がパワーアップして3つのアイテムを入れられるようになったとき、
やくそう2つで上やくそうなら、やくそうを3つ入れたらもっと回復効果の高いアイテムができるはず!
と嬉々として3つのやくそうを錬金したものだ。
そうしてできたのはいやし草だった。これもまたすごい。ほぼベホイミである。上やくそう2つで特やくそうができるということに気づくのに当時めちゃくちゃ時間がかかったので、いやし草にはとてもお世話になった。やくそうを3つ入れるといやし草ができることを自分で発見したことにめちゃくちゃ興奮した。
じきに特やくそうという存在知り、やくそうというホイミを覚えたらすぐにお役御免になる存在が、最終的にHPを100以上回復できるようになるとは。大出世。もっと言えばHP全回復のうえに状態異常まで回復させる万能ぐすりや、超万能ぐすりも作れてしまうわけだが。
しかし、結局よく使ったのは上やくそうである。それだけ上やくそうという存在に救われたのである。特やくそうを使うタイミングというのはない、それを使う頃には回復手段は多彩にそろっている。万能ぐすりもまたしかりである。状態異常にはそもそもかからないようにすることが鉄則である。
上やくそうの登場こそが最高にありがたかった。ベホイミにはいまいち届かないあの回復量が絶妙だった。たまらん。
とりあえず持ち物を上やくそうでいっぱいにすれば安心である。
暇さえあれば上やくそうを作りまくった。武器や防具などを作っていない時間がもったいなくて、常にやくそうをコトコトコトコト。パルミドでミーティア姫がさらわれたときも、姫よりもまず錬金釜使えないことに憤った。一体今この時にどれだけの上やくそうが作れただろう、と。
ちなみに上やくそうは金策に役に立つ。元が16Gだが、売値は88G。錬金釜がある身からすると簡単に作れるが、普通の人はおいそれと手に入れることができない品物なのだろう。優越感。しかも途中264Gに値上がったりもする。(PS2版の場合)
その後も上やくそうは常連入りし、ホイミじゃ足りないんだよなぁという絶妙な時に役に立ってくれた。
かゆいところに手が届くような、本当にちょうどいいアイテムだった。
まぁ、一番使ったのはドラクエ8で、それ以降の作品では多彩な回復手段によって結局袋のこやしになっていたが。
(文・やなぎアキ)
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