ドラクエ1というドラクエの偉大なる歴史の第一歩を踏んだ作品に登場した攻撃呪文は「ギラ」と「ベギラマ」、この二つである。
つまりギラ系というのはドラクエの数多ある攻撃呪文の中でも最古参であり大先輩、レジェンドオブ攻撃呪文。
なのになんか不遇。
なんか不遇だなーと思ってしまう点は3つ。
どんな呪文なのかブレブレ
あなたはギラに対してどんなイメージを持っているだろうか?
筆者はギラは閃光呪文だと思っている。炎が横に走る呪文なのは認識しているのだが、閃光呪文だと未だに思っている。同じように思っている人はいるだろう。
しかしそうではなくギラは火炎の呪文だと思っている人もいるだろう。
どちらも間違いではない。どちらも正しい。
そもそもギラは初出では火の玉を敵に飛ばす、どちらかというとメラっぽい呪文であるとされた。これはドラクエ2でも同様であり、ドラクエ1は当然ながらもドラクエ2でも対象は一匹だった。
そしてベギラマはまさかの雷系の呪文になっている。デイン系……?
そうかぁギラとベギラマでは系統が違うのかぁ。
と思っているとドラクエ3ではギラすらも雷系の呪文になっている。さすがに統一したようだ。
つまりギラ系は雷系の呪文なのである。
と思ったらドラクエ3の公式ガイドブックにすでに違うことが書いてある。
なんと、<閃光・ギラ系>火の呪文と書いてあるではないか!もうめちゃくちゃである。
そしてドラクエ4やドラクエSFC時代ではギラはいつのまにか閃光の呪文ということになっている。見た目、どう考えても火ですけど?
じゃあ閃光呪文なんだね、というとそうではない。ドラクエ5の公式ガイドブックには閃光の呪文と書いてあるが、それはSFC版の場合。PS2版の公式ガイドブックにはしっかりと火炎呪文と書いてある。
火炎呪文なのである。PS時代からはどうやらギラは火炎呪文にジョブチェンジしたらしい。忙しいやつめ。
こうしてギラは火の玉・雷・閃光・火炎と様々な属性を持つ呪文になったのだ。ある意味かっこいいが、他の呪文に居場所を取って代わられた属性もあるので普通にかわいそう。
使い勝手がいまいち
不遇点その2、それはギラ系の使い勝手がいまいちということである。
ギラと言えばグループ攻撃である。単体攻撃のメラよりも複数の敵に攻撃できる分便利である。
というわけでもない。
グループ攻撃自体が、そんなに使い勝手がいいものではない。同じモンスターのくせにグループが違うことなんてざらである。グループが違うのでメラを使うことなんてざらである。
しかもなまじグループ攻撃なせいで威力が他の呪文よりいまいちだったりする。ベギラマ使うなら同じグループ攻撃であるヒャダルコを使ってしまう、あるあるである。
イオを覚えたらいよいよお払い箱感。使う場面がまったくないわけではないが、特にドラクエ6以降は特技が充実してしまいわざわざギラ系を使う場面、まじでない。
極めつけはベギラゴン。グループ攻撃仲間であるヒャドさんがマヒャドで全体攻撃になっているのに対し、ベギラゴンさん、まさかの未だグループ攻撃。なんでだよ。
満を持して登場したギラグレイド。こちらもまさかのグループ攻撃。だからなんでだよ。
まさかのリストラ
そうはいっても最古参攻撃呪文ギラ。当然全作品に登場……してない!!!
なんとギラ系呪文、まさかのドラクエ9にて突然のリストラ!!
スピンオフならまだしも、ナンバリング作品でのリストラ!
なぁんでぇ。
なぁんでさぁ。
違うのよ、いくら使わないっていっても、ないとさみしいのよ。
いっつも使い勝手悪いなぁって思ってたけど、実は好きだったのよ。いて当たり前だと思っていたから、照れくさくて言えなかったけど、ずっと好きだったのよ。
無くても平気なんて思ってごめんよ。だからお願い、帰ってきてくれよ。
という声が届いたのかどうかは知らないが、無事ドラクエ10からは再び復活した。
しかし一度ナンバリング作品からリストラされたという深い心の傷はなかなか癒えるものではないだろう。ケアしていきたい。
と、さんざんな扱いを受けているギラ先輩だが、ドラクエ1・3と勇者が覚える攻撃呪文であり、それに沿ってかドラクエ8・11でも主人公が覚える攻撃呪文に選ばれている。魔法使い系のキャラも覚えるとはいえ、これはなかなかの待遇。
デイン系の影に隠れてしまいがちだが、なんだかんだギラ系は勇者の呪文なのである。
(文・やなぎアキ)
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