ドラクエのトラップとして有名なのは「毒の沼地」だろう。
この「毒の沼地」、一体なんなのか。どういうものなのか。
ドラクエ世界の毒の沼地
毒の沼地はドラクエ1の時代からすでに存在しており、シリーズほぼすべてに登場しているいわゆるダメージ床だ。
ドラクエ5までは深緑色をしていたが、リメイク版のドラクエ1・2からは紫色になった。そのため、毒の沼地といえば紫を思い浮かべる人も多いだろう。
紫はいまや毒のイメージ色になっている。これも何故なんだろうか。ドラクエの毒の沼地が紫だったからという意見がネット上に散見されるが、先述した通り最初は深緑だ。数年経ってからようやく紫になったのだ。なんなら毒持ちモンスターであるバブルスライムも緑。ではなぜ毒といえば紫なのだろうか。
恐らくは、自然界にある毒を持つ植物などが紫っぽいものが多かったからじゃないか。しかし具体例が思いつかない、情報求む。
話を毒の沼地に戻そう。
毒の沼地は、その上を歩くとダメージを受ける。作品によってダメージ量は異なるが、一歩で一ダメージもしくは一定距離で一ダメージの場合が多い。
一体どういう原理でダメージを喰らっているのだろうか。
毒の沼地の上を歩くことでダメージを受けるということは、毒の沼地に足を踏み入れるとダメージを受けるということだろうか。ならば、足元から毒が侵入してきてダメージを受ける?外的なダメージ?
しかし鎧を着ていてもダメージを受ける。布の服でも同等のダメージを受ける。外的なダメージであれば着ているものによってダメージ量が変わってもいいのではないだろうか。
また、作品によっては一歩ずつではなく、一定距離歩くことでダメージを受ける沼地もある。足を踏み入れたことでダメージを受けるならば、一歩ずつダメージを喰らう仕様のままでもいいと思うが。
さらに、ちょっと宙に浮いてるキャラクター(ドラキーなど)も毒の沼地でダメージを受ける。どうやら単純に足元からダメージを喰らうわけではないようだ。
となると、解として浮かび上がるのは、毒の沼地から瘴気のようなガスのようなものが立ち上っているというものだろう。それを吸い込むことによってダメージを受けているということだ。現にドラクエ8などでは沼地から泡が出るような演出がある。ガス的なものが出ているのは間違いないはずだ。
これならば、着ているものに依存せず全員が一定のダメージを喰らっていてもおかしくない。また、一定距離を歩いてダメージを喰らうというのも、毒の沼地を歩いてある程度呼吸を我慢しながらも、息継ぎのタイミングでガスを吸い込んでいるためであると説明できる。当然空を飛んでいる仲間についても、超低空飛行であればガスを吸いこんでしまうということだろう。
そうなると、山や森を超えられない魔法のじゅうたんなどの乗り物も毒の沼地でダメージを受けそうだが、魔物とエンカウントしないくらいには高い位置を飛べるので問題ないのかもしれない。
毒の沼地からは瘴気なりガスなりがあがっていることがわかった。
だがそんな沼地が本当に存在するのだろうか?
リメイク版のドラクエ1ではりゅうおうを倒すと毒の沼地はなくなり花畑に代わる。
これは毒の沼地というのがりゅうおうと彼が率いるモンスターたちによって作られた地形であるということではないだろうか。
滅ぼされた町ドムドーラに沼地が広がっていたり、ドラゴンのいる洞窟の入り口付近やロトのしるしが置かれている場所に沼地が広がっている点からも説得力がある。
モンスターたちが作り出した産物である毒の沼地。ではもしかしたら、毒の沼地というのは自然界には存在しない地形なのかもしれない。
現実世界の毒の沼地
ということで現実世界にも毒の沼地はあるのか調べてみた。
足を踏み入れずともダメージを受けるガスがのぼる沼地は存在するのか。
あった。
足を踏み入れなくてもダメージを受けてしまう沼地。
正確には湖。
それが、カメルーンにあるニオス湖だ。
ニオス湖(ニオスこ、英語: Lake Nyos)は、カメルーンの北西州に所在する火口湖。カメルーン火山列上の活火山であるオク山の頂上に位置し、火山岩が形成した天然ダムが湖水を堰きとめている。
湖底の地下にはマグマ溜まりがあり、湖水中に二酸化炭素 (CO2) を放出している。このような形で二酸化炭素を含有する湖は、ニオス湖のほかには、同じくカメルーンのマヌーン湖(英語版)とルワンダのキブ湖の2例しかない。
注目すべきは、二酸化炭素を含有しているという点。
二酸化炭素は空気中にも含まれている、我々にとってはごく当たり前にそばに存在しているものだ。しかしその濃度があがることにより、生き物を死に至らしめる猛毒でもある(HUNTER×HUNTERで履修済み)。
ニオス湖は1986年に二酸化炭素、つまりは有毒なガスを放出させる、いわゆる湖水爆発を起こしている。これにより、湖から流れだした炭酸ガスによって多くの人・家畜が死亡した。また、ガスが原因で火傷や麻痺などの重大なダメージを受けた人も多くいる。
現在は二酸化炭素の放出を防ぐために、パイプを通してガス抜きを行う対応策が実施されている。が、今はまだ危険であることには変わりない。
これが現実世界にある毒の沼地だ。
もしかしたら、ドラクエにある毒の沼地も二酸化炭素を発しているのかもしれない。初期のドラクエは、毒の沼地を歩き続ければHPが0、すなわち死ぬことになる。二酸化炭素であればそれは可能だ。だとすれば、沼地のダメージを無効化するトラマナやロトのよろいは、炭酸ガスを中和させる物質をだしている可能性がある。
ちなみに現実世界にある毒の沼地と言われるものには他にも、ガスの放出はしていないが強酸性のため生物が生きていくには過酷すぎる湖(蔵王の御釜など)がある。
りゅうおうを倒しても現実の毒の沼地は消えはしないが、ガス抜きのためのパイプや中性化させるための施設を作ることで毒の沼地を花畑、いや綺麗な湖に変えることはできるだろう。
(文・やなぎアキ)
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