大人気漫画「ダイの大冒険」の序章となる読み切り「デルパ!イルイル!」。
この短編が好評で、読み切り第2弾「ダイ大爆発」そして「ダイの大冒険」へと繋がるわけですが、「デルパ!イルイル!」を単なる前日譚として侮ってはいけません。
本作も、本編に負けず劣らず名言の宝庫なのです。
今一度この読み切りに散りばめられた名言たちを読み返し、心のビタミン剤としましょう!
名言1「なんたって勇者は1番カッコイイもんな」
これは、この読み切りの冒頭に出てくるセリフになります。
ダイには立派な魔法使いになって欲しいブラスじいさんの想いを汲み取りつつも、やはり勇者への憧れが諦めきれない……というシーン。
結局ダイの原点は、ここにあるのかもしれません。
物語後半は激動に巻き込まれていき、正真正銘の勇者になる一方で、こうした幼さを垣間見る機会も少なくなっていきます。
時には「ダイはどうしてこういう運命なのだろう」と考えてしまう本編ですが、彼の原点にはこうした純粋な勇者への憧れがあったという点を忘れずにいたいですね。
最初に抱いた夢を、しっかり見続ける──とても大切な事ではないでしょうか?
そして心から湧き出てくる夢って、カッコいいからとか、そんなシンプルな理由だったりするものですよね!
名言2「勇者さま…!?い いや…違う。本当の勇者さまはもっと澄んだ目をしておられる…!」
ニセ勇者たちが乗り込んできた時の、ブラスじいさんのセリフ。
装備などをみて「勇者さま…!?」と一度は叫ぶものの、すぐに違うと察するあたり、ブラスじいさんの経験の豊かさが伺えます。
本当の勇者とは、澄んだ目をしているもの。
これは現代社会でもそうかもしれません。
素晴らしい肩書きや高級なファッションに身を包むだけではなく、目の奥の輝きを失わないで生きることこそが、そうした「真の勇者=素敵な大人」になる近道とも言えるでしょう。
名言3「さあ一気にかたづけて引き上げだっ!!」
ニセ勇者がデルムリン島を去る時の一言。
島のモンスターを集め、お目当のゴールデンメタルスライムを捕まえ、イオラをお見舞いして船へと乗り込む……。
鮮やかです。
五流の悪役ならここで島のモンスターたちをいたぶろうとしてダイの逆鱗に触れ、島を出ることなくしてやられてしまっていたかも知れません。ある程度までことを運べたのは、そうしたシンプルなビジネスへの姿勢が理由でしょう。
そう、仕事なんてアッサリと終わらせる方がいいのです。
残業が片付きそうな時に使いたい一言ですね。
名言4「うるさいっ!!おまえらの弱点なんかちゃ〜〜〜〜んとわかってるんだからな」
城に侵入し、ニセ勇者たちに反撃を開始する際のダイの叫びです。
勇者に憧れながらも、育ての親からは魔法使いになることを望まれているダイ。様々な可能性を秘めている少年であることは間違いありません。
しかし今はまだ、あくまで子供です。そうした正攻法では、ニセ勇者たちには勝てません。
そういう時には、しっかりと相手を観察し、弱点をつくのが1番です。自分の憧れた方法や、やりたい方法に固執してはいけません。
「敵を知り己を知れば百戦殆からず」という故事に通じるセリフではないでしょうか?
名言5「汝ら集結せよ。秘められたる力に目覚めよ。目覚めよ…目覚めよ…!!」
捕らえられたスライムたちがキングスライムに返信する時に登場するフレーズです。
ニセ勇者の仲間である僧侶・ずるぼんの誘惑に負け縄をほどき、一時期は人質(モンスター質?)になったスライムたちですが、ここで「秘められたる力」に目覚めて一気に逆転。
何かに負けそうな時、くじけそうな時に思い出したいフレーズです。
あとは、二度寝したいときにも思い出してみると良いかもしれません!?
名言6「いかに強く外見が立派でも、子供を殺そうとしたり人質をとったりする男が勇者であるはずがない」
冒頭にあったブラスじいちゃんのセリフを引き継ぐようなセリフ。こちらは、ニセ勇者一行の戦いぶりを見た王様が呟いた名言です。
勝負ごとですから、工夫や計算はもちろん必要です。しかし自分自身の中にある良心・ポリシーを曲げるようなことはあってはいけないはずです。勇者であるために、良い大人であるために……これを機会に私たちも日々を省みるのも良いかもしれませんね。
あなたは、誇れるような戦い方をしているでしょうか?
ちなみに直前に王様が言った「…どうやらわしの目がくもっておったようじゃ」も、立場がある人がすぐに非を認めるという意味で、とても素敵な一言だと思います。
名言7「冠なんかなくたってダイは、本物の勇者さ!!」
物語のラスト、王様から功績を認められて贈られた勇者のアイテム「覇者の冠」をなくしてしまうダイ。どうやら、ブラスじいさんが怪しいようです。ブラスじいさんとしてみれば「魔法使いになるはずのお前が、勇者さまの持ち物を持ってどうする!」というところなのでしょう。
そうした場面でこの読み切りは幕を下ろすわけですが、最後に登場したセリフが、このセリフでした。
ダイは勇者になった時のために「覇者の冠」を必死になって探していましたが、実はその冠は、彼には必要ないものなのです。
ニセ勇者たちが立派なアイテムを持っていながら「本当の勇者」ではなかったように、本当の澄んだ目を持っているダイは、十分に勇者なのですから。
この読み切りのテーマとも呼べる一言で、この物語は締めくくられます。
さて、いかがだったでしょうか?
意外にも、今の私たちを元気付けてくれるようなセリフが多いことに驚かされます。
こんな密度の濃い読み切りから、名作「ダイの大冒険」は幕を開けていくのですね!
(文・OGTキシン)
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