ドラクエはグラフィックの進化が遅めで、キャラクターが3Dの8頭身のグラフィックになったのは2004年発売のドラクエ8から。
前作のドラクエ7は、フィールドは3Dではあるがキャラクターや戦闘は2Dのままであり、うまいこと3Dと2Dが融合している。
それゆえに町やダンジョンのグラフィックは他のドラクエにはない味わいがある。
今回は、PS版ドラクエ7の、個人的に景観がいいと思った町やダンジョンを紹介します、
ギュイオンヌ修道院
山の上に建つ修道院で、かなりの歴史があると思われる。
山の上に建っているだけあって景色が非常によく、眼下を見渡すと雄大な山々が見える。女性ばかりの由緒正しい修道院のため、気軽に訪れられるような場所ではないが、観光地としてのポテンシャルをなみなみと秘めている。
さらに素晴らしいのは、山のふもとにあるメモリアリーフが見えるところ。この奥行が、3Dの良さである。ここまで登ってきたのだという高揚感をそこで感じることができる。ドラクエ5のチゾットの橋でグランバニアを見たときのそれよりも、当然だが美しい。
そして、眼下にメモリアリーフが見えるという意味が、ある悲恋の物語の情緒をより一層引き立たせる。風景をストーリーに盛り込んだ素晴らしい修道院だ。
時の狭間の洞窟
ドラクエシリーズの中でも一ニを争う不気味なダンジョンではないか、と思うほど不気味。過去のリートルードの時計塔を止めると出現するダンジョンで、その演出がまたしても不気味。
異空間というだけあって、空間に家や柱が浮いており、それらがふわふわと上下しているのが印象的。場所によっては浮遊物が目の前をふわふわする場合もあり、3D~~~!!と感動する。洞窟や塔の立体感もいいのだが、こういう非現実的な表現を思う存分できるのは3Dのいいところ。
グラフィック的にすごい!というのは間違いないが、いかんせん不気味すぎるのでできれば周回プレイをするとしてもスキップしたいダンジョンである。
聖風の谷
川を挟んだ谷の中にある集落であり、翼を持つリファ族が住んでいる。
集落の入口から階段、つまり谷を下りていく構造になっている。入口からは谷の岸壁に家が作られているのが見られ、「死ぬまでに見たい世界の絶景たち」みたいなガイドブックに載るような景色が楽しめる。
ドラクエ7は3Dマップなので、視点を回転させることができるのだが、この聖風の谷は屋外にいるときはそれができない。それはこの集落が川を挟んだ谷にあることを演出するためだろう。川にかかった橋を渡る際に勝手に視点がぐるっと反転し、反対側の集落を見る視点になる。この仕掛けがなかなかに面白い。視点を制御することで、この集落は谷に作られたのだということを表現している。グラフィックとはまた別かもしれないが、良い表現のため紹介した。
地底ピラミッド
物語も終盤になるとダンジョンのグラフィックも一筋縄ではいかない。4人の精霊を目覚めさせるために攻略するダンジョンの一つ、地底ピラミッドもそうだ。
大地の精霊像の奥深くにあるダンジョンで、なんと逆ピラミッドの形をしている。大きな滝、そしてつり橋を渡った先にある逆ピラミッド。なんとも不思議な構造である。
つり橋を渡ると徐々に近づいてくる逆ピラミッド。終盤のダンジョンにふさわしい威圧感だ。3Dのいいところは、この進むと奥にあったものが迫ってくる演出にあると思う。めちゃくちゃワクワクさせてくれる。
同時期に訪れるダンジョンだと、風の迷宮も面白い。これこそまさに3Dマップならではの構造だ。床が壁に、壁が床に、パズルを解くように頭をひねらなければならない。このダンジョンがあればこそ、ドラクエ7が3Dになった甲斐がある。すごい迷うからダンジョンとしてはあまり好きではないけど。
他にも主人公の故郷フィッシュベルや、バロックが建築した橋など、魅力的な町やダンジョンはたくさんある。
グラフィックが向上した現代において、ドラクエ7の技術では物足りないことも確かだが、初の3Dであることに思いを馳せて今一度プレイしてみると、新たな発見があるかもしれない。
(文・やなぎアキ)
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