リメイク版のドラクエ2で追加されたエピソードに、サマルトリアの王子の一時離脱がある。
ハーゴンの呪いによって、体が動かなくなってしまい、やむなくパーティーを離脱してしまう、というものだ。
破壊神の復活をもくろむ邪悪な神官を倒すための旅をしている王子たちの邪魔をする。それはハーゴンにとって至極当然なことである。
呪いで動けなくして足止めしてやろう、という作戦はなかなかのものだ。遠く離れた旅をしている王子たちの居所を突き止め的確に呪いをかけるなんて大したものだ。
が、ここでちょっとした疑問が。
なんでサマルトリアの王子だけだったのだろう?
懐かしきドラクエ4コマ劇場では3人がハーゴンというのは一体どんなやつか各々想像したときに、サマルトリアの王子だけめちゃくちゃ不細工なドラゴンの想像をしたから、というネタがある。懐かしい。
そんな理由もあり得るだろうが、せっかくなので他にも考えてみる。
ゲームの難易度的に
しょっぱなからメタ。
ドラクエ2のパーティーメンバーはダメージソースである戦士、補助的役割を担う魔法戦士、魔法のエキスパート賢者、というような構成になっている。
この3人のうち1人パーティー離脱させるなら誰か?となったときに、ローレシアの王子がいないとダメージを与えるのは厳しいし、ムーンブルクの王女がいないと複数モンスターが出てきたときに対応が難しくなる。
このような消去法からサマルトリアの王子が抜擢されたのかもしれない。というか多分そう。
だが、こんな結論は面白くないのでメタ的要素は抜いてもっと考えてみる。
ハーゴンがビビった
ハーゴンが一行に呪いをかけようとしたときに、当然誰に呪いをかけるか考えただろう。できるだけ彼らの戦力を削ぎ、恐れおののき、これ以上旅を続けることが無いようにする必要がある。
そうなったときに呪われて一番効果的なのはローレシアの王子だろう。3人の中で最も強いからだ。
しかし、ローレシアの王子に呪いをかけて、もし呪いを解かれてしまったら?絶対あの脳筋、拳で何倍返しにもしてくるだろ。こわすぎ。むしろ筋力で呪いも解決しそう。
ムーンブルクの王女もよくない。ただでさえ国を滅ぼし自身にも犬になる呪いをかけたのに、ここからさらに呪いの追い打ちをかけたらいよいよ許されない(もうすでに手遅れ)。
その点サマルトリアの王子なら問題なさそうだ。大して脅威でもないし因縁もない。せいぜい彼の妹がブチ切れるくらいだろう。
うん、そうだ、サマルトリアの王子にしよう!
実は一身に呪いを請け負った
身体が動かない!と判明したときに、サマルトリアの王子はすぐさまにハーゴンの呪いによるものだと感知した。これよく考えたらすごい*1。サマルトリアの王子はもしかしたら呪いにすごい精通しているすごいやつなのかもしれない(語彙力)。
そんなすごいサマルトリアの王子、もしかしたらハーゴンがパーティー全員にかけてきた呪いを人知れず一身に受けたのでは……?そう、ハーゴンは別にサマルトリアの王子1人に呪いをかけたわけではなく、全員にかけていたのだ。
ベラヌールの宿屋での夜、それをただ一人察知したサマルトリアの王子が、なんかなんらかのなにかの術を使ってローレシアの王子とムーンブルクの王女の分の呪いも引き受けたのかもしれない。サマルトリアの王族はそういった秘術を持っているのだろう。
そして次の日の朝、仲間に心配をかけぬよう、そして自分の呪いをサマルトリアの王子に意図的ではないにせよ押し付けた形になったことを悟られぬよう、「僕にかまわず行ってくれ!」と声をかける……。
え?めちゃくちゃかっこよくない?サマルトリアの王子。
メガンテとかいう自己犠牲魔法を覚えるくらいだし、これはあり得るのでは。
サマルトリアの王子が雑魚かった
先ほどの説同様、本当はハーゴンは3人全員に呪いをかけていた。
しかし、なんということでしょう、ローレシアの王子とムーンブルクの王女は呪いに対して耐性つよつよだったのである!
それに比べてサマルトリアの王子の呪い耐性よわよわ。そのため、他の2人はハーゴンの呪いを気づかないうちに跳ね返しており、彼だけ呪いにかかってしまったのだった。
これにはハーゴンも、逆に申し訳ない気持ちになったことだろう……。
個人的には、サマルトリアの王子が人知れず全員分の呪いを受けた説を推したい。サマルトリアの王子を見る目がかわりそう。
(文・やなぎアキ)
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*1:いや厳密にはハーゴンの呪いじゃないのかも、もしそうだとしたらそれはそれで別記事に書きたい。