ダイの大冒険のアニメが始まり、昔からのファンもこれからのファンもおおいに盛り上がること間違いなしです。
ドラクエを題材にした漫画と言えばダイの大冒険、というほどの超大作、それほどの作品なのです。
が、同じくドラクエを題材にした漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』も忘れたくはない作品です。
作者は藤原カムイ先生。ロトの紋章のほかに、ドラクエ7原案の『エデンの戦士たち』、またエニックスのゲーム『46憶年物語』(SFC版)のキャラクターデザインも担当されています。ちなみに『46憶年物語』の音楽担当はすぎやまこういち先生ですよ!
ロト紋はダイ大同様少年漫画ですが、絵柄はどちらかというと素朴で同じドラクエ作品なのにダイ大とは随分違った印象を受ける作品です。
今回はロトの紋章の魅力をストーリーのネタバレはさけて紹介します。
あらすじ
大魔王ゾーマを勇者が倒した。勇者の子はそれぞれ自分たちの国を作り、ロトの紋章を代々受け継いできた。また勇者と旅を共にした3人のケンオウは、再び世界に闇が生まれたときに立ち向かえる力として、己の技を子孫に伝授した。
それから100年。
ロトの子孫が治める国に王子が生まれた。そして闇もまた世界にせまっていた。
ロトの子孫として生まれた二人の王子は、一人は聖の道へ、一人は邪の道へ。そして再び世界を闇から救うための戦いが始まる!
ドラクエ本編を色濃く投影!
ゾーマの名前がある通り、またロトの紋章のタイトルの通り、本作はドラクエのロトシリーズと関係している話です。
ドラクエ3とドラクエ1の間の物語になります。公式設定というわけではないですが、3と1の間にはなにがあったのかを考える一つの考察として楽しめる部分もあると思います。
なので出てくる地名には皆さんおなじみのアリアハンやジパング、当然アレフガルドも出てきます。ああ~、ゲームで出てきたやつ~とそれだけでも楽しい作品です。
また登場人物もルイーダや、バラモス、さらにはドラクエの超超超重要キャラクターも出てきたりと、ロトシリーズファンにはたまりません。
馴染みのある世界観から展開するオリジナルストーリーからは目が離せません。
ダークなストーリー展開
ロト紋もダイ大と同じく少年漫画なため、悪を正義が討つ!という王道ストーリーではありますが、ややストーリー展開は重めです。
そもそも第一話からして波乱万丈ですし。ドラクエの主人公のお約束をぶちかましてくれます。
キャラクターもよく退場します。重いなぁ。重い。こいつはいなくならないでくれって思っていてもいなくなったりする。
さらにはキャラクターたちが抱えている苦悩も重いです。こういうのはキャラクターたちが自身の悩みやコンプレックスを解決して前に進むぜ!みたいな痛快な展開が予想されますが(ドラクエならなおさら)、なんとなく始終陰鬱としています。これがいい。この雰囲気がいい。
主人公サイドの苦悩もかなりいい味を出しています(例えるなら終盤のハリーポッター)が、特筆すべきは敵サイドでしょう。ダイ大でも敵サイドの苦悩とそれを解決する姿というのは人気エピソードだと思います。それがあるからこそ「クロコダインはかっこいい」などの評価が出るのでしょう。しかしロト紋の場合は、敵サイドの苦悩と解決については、なんとなーく、煮え切らないです。でもそれがいいんです。ダイ大ではわくわくしたりかっこいい!と思ったり、でもそれがロト紋だと悶々としてこちらも苦しくなる、そういった違いも楽しめるのが魅力です。特にジャガンがよい。
ロト紋は派手な戦闘描写よりも、キャラクターの鬱屈としたメンタリティを楽しむ作品だと個人的に思います。
見どころ!合体魔法!
上で「派手な戦闘描写よりも」と書きましたが、もちろんドラクエですから戦闘の要素もたくさんあります。
おなじみの魔法も出てきますが、やはりオリジナルの技、魔法がかっこいい!
剣や拳の技は漢字がいっぱいでかっこいいです。頭の悪い感想になりましたが、そうなんですよ。
震空呀真一文字 しんくうがまいちもんじ。ほら。
狼星魄撃掌 ろうせいはくげきしょう。ほら。
ルビないと絶対読めない。
と、剣・拳の技は非常にカッコいいのですが、やはりロト紋の醍醐味は
合体魔法
でしょう。
賢者だけが使うことができる秘術であり、右手と左手別々に魔法を繰り出すことができるのです。賢者といえば二回同じ魔法を使うやまびこが本編にはありますが、それよりもさらに強力です。
メラゾーマをそれぞれ両手から出すことはもちろんのこと、別々の魔法を出すことができ、さらにそれについている魔法名がまた秀逸です。
メラゾーマとベギラゴンでメゾラゴン。
マヒャドとバギクロスでマヒアロス。
バギクロスとドラゴラムでバギグラム。
ちょっとゲームで実現させるのもありなほどいいネーミングです。あとは対象者のみをルーラさせるオクルーラなんてのもあります。いいぞ~。
ロトの紋章には前日譚を描いた『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章Returns』とロト紋のその後を描いた『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 〜紋章を継ぐ者達へ〜』(全34巻)があります。この二作品はロト紋よりもさらにダークで濃厚なストーリーが楽しめます。
ダイ大のアニメを見ながらロト紋制覇、どうですかね?
(文・鎖骨戦士ヤマネ)
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