ドラクエ2はムーンブルクがハーゴンの軍勢に敗北するところから始まる。
オープニングで早々に滅ぼされてしまうムーンブルク。
ロトの子孫が治める三国
ローレシア・サマルトリア・ムーンブルクはロトの子孫が治める国だ。
竜王を倒した伝説の勇者（ドラクエ1）が自ら建国したローレシア。そして彼の息子ないし娘がそれぞれ土地をもらって独立し建国したのがサマルトリア・ムーンブルクだ（公式ガイドブックより）。初代ローレシア王の長男がローレシアを継ぎ、次男がサマルトリアを建国し、末の娘がムーンブルクを建国したといわれている。
三国は姉妹都市ならぬ姉妹国として、ローレシア大陸に位置している。そしておよそ100年もの間*1、平和な世を築いてきたのだ。
ムーンブルクの位置がおかしい
ローレシアとサマルトリアは同じ大陸にそれぞれ領土を持っているだけではなく、非常に近い位置に城が建っている。さすが同じロトの子孫が治めているだけあって、困ったことがあればいつでも協力しあえる距離にある。現に、ローレシアの王子が旅立つ際もサマルトリアに協力を仰いでいる。
陸続きで、その気になればすぐにでもたどり着くことができる位置関係にあるローレシアとサマルトリア。
しかしムーンブルクだけ随分と遠くに追いやられているではないか。海を隔てた別大陸にあり、道中にムーンペタの町はあれどさらに橋を渡らなければいけないなど、城への道のりは長く険しい。
ハーゴン軍にやられ負傷した兵士は、よくぞローレシアまでたどり着いたものだ。
なぜローレシアとサマルトリアはあんなにも仲良しな位置にあるのに、ムーンブルクだけ追いやられているのだろう。
日本的に言うと外様*2だ。
ムーンブルクは追いやられている
ムーンブルクは確実に他の二国とは扱いが違う。なぜこの国だけ遠く離れた場所にあるのだ。なにか問題が起きても、他の二国にそれを伝えるのは非常に時間がかかってしまう。だからこそハーゴンに真っ先に狙われたのだ。戦いで重要視されるのは情報だ。
情報の伝達が遅ければ、刻一刻と負けに近づく。
これがもしムーンブルクではなく、ローレシアもしくはサマルトリアであれば、もう少し違う戦い方ができただろう。
「なんだか西（東）の空に異変が！何かあったのかもしれない、よーし助太刀だぁ！何も起こっていなかったらすぐ帰ってこーい」
となったかもしれない。これがムーンブルクだと、
「なんだか南の空に異変が！ムーンブルクに何かあったのかもしれない！でも遠い！何が起こっているのか定かでもないし、やばかったらムーンブルクから使いの者がくるかもしれないし、一旦保留で！」
と、ちょっとめんどくさくなって、問題が確定するまで待機してしまう*3。そして滅びた。
ムーンブルクの城がもっと近くにあれば、ローレシアが加勢することができたかもしれない。いや、もっといえば、ハーゴンたちも警戒してそもそもムーンブルクを襲わなかったかもしれない。
なぜこのような悲劇が起きたのか？それは
初代ローレシア王の子供たちのなかで末の娘だけ仲が悪かったんだと思う*4。
父親からそれぞれ土地を与えられた兄弟たち。2代目ローレシア王は当然、父親が建てた城にそのまま住まうだろう。サマルトリアを建国した次男は、兄と仲が良かったのでローレシア城にほど近い位置に城を立てる。
そして、末の娘はというと、ムサい兄貴たちの近くになんかいてられるかい、ということで海を渡った先に城を立ててしまう。そういう理由でもない限り、ムーンブルクだけあんな辺境に追いやられている理屈が通らない。
ローラの門を渡らなければいけないだけではなく、さらに橋まで渡らなければいけない、そんな場所に居座るなんて。よほど仲が悪かったのだろう*5。もしかしたらプリンを勝手に食べた食べないの喧嘩中に、土地の分配が始まったのかもしれない。父親、空気読まず。そんな喧嘩の最中だからこその、あの立地なのかもしれない。
その仲の悪さは100年たっても変わらず、ドラクエ2のオープニングのような悲劇を生んでしまった。まさか兄妹間の諍いで国が滅びることになるとは。
しかし奇しくも、兄妹たちの子孫はお互いを支えあって世界に平和を取り戻す旅にでることになった。100年の時を経て、兄妹喧嘩は収束したのだ。
何が言いたいかというと、万が一ということもあるので兄弟でそれぞれ建国する時は近場に城を建てなさい、ということだ。あなたも気を付けて。
※まじめな考察だと思って読み進めてしまった方、ごめんなさい。
（文・やなぎアキ）
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