FF7のキャッチコピー。
「君はもうクラウドになったかい?」
わかっている。わかっているんだ。
ゲームをプレイすれば、このキャッチコピーには表層的な意味だけではなく、もっと深い意味での「クラウドになったか」という問いがふくまれていることは。
しかしあえて言おう。
急にどうした。
急にFFっぽくないな?
もっとファイナルファンタジーだな!みたいな世界観を表現してくれよ。ファイナルなファンタジーを見せてくれよ!と言いたくなる。
このキャッチコピーじゃ、足りないよ!!
ちなみにそれまでのFFのキャッチコピーは
FF 見つからないものを、見つけるために。
FF2 この悲劇、忘れない。
FF3 最期の壮大なドラマ
FF4 「光」と「闇」の物語
FF5 風が、変わる。
FF6 近づく、予感。
どれもこれから始まる物語の壮大さを感じる。どこか硬い印象も受ける。重くないとはお世辞にも言えない、そんな世界を巻き込んだ人間ドラマが始まりそうな印象だ。
そこにきて
君はもうクラウドになったかい?
だ。
これまでは「忘れない」とか「予感」とか言いきっているものが多いのに、急に疑問形だ。急に語り掛けてきている。
歴代キャッチコピーがずらっと並んでいるときに急に調子が外れてくる。どうしたよお前と言いたくなる。
さらに、このキャッチコピー、
君はもうクラウドになったか?
ではないのだ。
君はもうクラウドになったかい?
なのだ。
この「かい?」がでかい。
「なったか?」と言われると、「まーだお前はなっていないのか」と急かされるような感じがするが、「なったかい?」だと「早くこっちにおいでよ」と手を伸ばされている感じがする。あくまで個人的主観だが。
これが、歴代キャッチコピーとの違いか。
FF7のキャッチコピーがフランクだな!と思ったその次の作品からは、またそのフランクさは消える。
FF8 愛を、感じてほしい。
FF9 クリスタル、再び
FF10 世界一ピュアなキス。
FF11 誰かが待っている。誰かを待っている。
FF12 若き空賊は、大空の彼方へ
FF13 双対する世界の真実に触れた時、人は定められし宿命と対峙する
FF14 『ファイナルファンタジー』が、ここにある。
FF15 ディティールに神が宿る。それって、本当のことかもしれない
ん?
FF15もなんか毛色違うな?
「それって、本当のことかもしれない」ってどうした急に。数十年の時を経て、またキャッチコピーに親しみを込めてきたぞ。
いや、それでもやはり
君はもうクラウドになったかい?
にはかなわない。なんて言ったって「かい?」だから。
そういえばドラクエ7のキャッチコピーは「人は誰かになれる」だ。方や誰か、方やクラウド。発売年にそれなりの乖離があるため単なる偶然だろうが、何か親和性を感じる。
ちなみに、FF7Rのキャッチコピーは
生まれる前から伝説
だ。
そうだろうけど、自分で言っちゃうのかと思ってしまった。でも本当その通りなんだよなぁ。リメイクの話なんてかけらもなかったころから、FF7のリメイクへの期待度っていうのはすさまじかったからな……。
(文・リモート侍)