本当に本当に幼かったあの頃、まだRPGをろくにプレイできるような年齢ではなかったあの頃。
それでもゲームに興味を持ち、誰かがRPGをプレイしている背中を見ていた私は、どんなものなのかなぁと、ちょっとやってみたくなった。
セーブデータの中の一番進んでいるデータを選んで(大体あとはラスボスを倒すだけというデータ)、すでに完成されているキャラクターを見て、世界を歩き回ったりした。
今思えばよくセーブデータを消さなかったなと思うほどひやひやする行動だが。
スーファミのゲームが多かったため、ドット絵二頭身のものばかりで、その可愛らしい世界観にワクワクしたものだ。
こうして私はRPG好きになったのだが、ソフトをほぼ同数所持していたFFとドラクエでいえば、どちらかというとドラクエの方が好きになった理由は恐らくこの頃の経験が元である。
一番進んでいるデータをロードしてみると、FFは大体ラストダンジョンからのスタートになるのである。
デーッデー!デデデデー!デデデ デーッデーッ!という勇ましい音楽と、小部屋でポツンとたたずんでいるセシルの姿から始まるのである(FF4の場合)。
幼い私はもうびっくり。どこ、ここ?
これがドラクエだと、大体どこかの町である。教会からスタートし、町の人々に話しかけ、ルーラで他の町も行ってみるということをしていた。
本当に最初の最初はバトルには興味がなく、キャラクターを歩かせて誰かとしゃべってという、ロールプレイ部分を楽しんでいたので(ままごとの延長線的な)、そこへきてのFFには面食らった。
ダ、ダンジョンでセーブができるのか!!と驚くとともに、たった一人(パーティーメンバーはいるんだけど)という孤独感が当時は恐ろしかった。
それならばと頑張ってダンジョンの外に出てみようとするのだが、まず外に出れない。FFのラストダンジョンは難しすぎた。仕掛けが多すぎる。そもそも前後関係もわからずのスタートなので、ダンジョンのどっちを進めば出口なのかがわからない。
モンスターもドラクエに比べると緻密でなんかリアルで怖い。
攻略本を見てみたけど天野絵の美しさが幼少期には恐怖でしかなくて読めない。
結局ダンジョンの中でちょっとウロウロしてモンスターとちょっと戦ってみて終わるのであった。
求めていることができないのだから、ちょっと不満である。子供は理不尽である。
しかしデータの中にはまれにフィールドでセーブしたものもある。
なのでそっちをロードしてみる。
しかし!そこで私は知る!
FFにルーラはない!
まぁそうだ、ドラクエはセーブをできるのが教会なのでルーラのような呪文がないと不便だが、FFはフィールド上であればどこでもセーブができる。前行ったところに戻ったりする必要もないのだから、別にルーラなんてなくてもいいのだ。
広大な土地で、飛空艇に乗ってみるもどこに何があるかもわからず、FF難しいと嘆く私。
あと、そこはかとなく感じる世界観の暗さ。FF6とか特に。
まぁドラクエも、7の過去世界の暗さにおびえたりはしたが。
こうして私はFFではなくドラクエ派になってしまった。
しかし実際にどちらもプレイしてみると、ダンジョン内でセーブできてしかもテントやコテージなどで回復できるFFの方がシステム的には助かるなということがわかった。フィールド上であればどこでもセーブできるという点もまたしかり。途中でやめたくなってもやめやすい、楽である。
FFすごい、楽しい!と考えを改めるのであった。
それと同時に、ジョブや魔石やマテリアやG.F.という、同じFFなのに全く違うシステムを全く理解できずに、結局難しいと感じるのであった。
(文・やなぎアキ)