ドラクエのサブタイトルってかっこいい。『そして伝説へ…』とか『エデンの戦士たち』とか『過ぎ去りし時を求めて』とか。
ドラクエのサブタイトルのことを考えながら「だはぁ、かっこいいなぁ」とニヤニヤする時間は至福だ。
ニヤニヤしながら思うのだ。
「よーし、今日は「空」を「津飯」に置き換えちゃうぞ☆」
意味がわからないか。そんなことはないはずだ。「空」を「津飯」に置き換える、そのままの意味だ。人生で一回は思うか思わないかの、そう、「空」を「津飯」に置き換える、今日は記念すべき日だ。思いついてよかった。
『ドラゴンクエストV 天津飯の花嫁』
なにこれ。なにこのゲーム。
ドラゴンクエストなのかドラゴンボールなのかはっきりしてくれ。
天津飯の花嫁って誰だよ。ランチさんか、ランチさんなのか。くしゃみで人格が入れ替わるあのランチさんか。
ランチさんを旅の途中で嫁に迎えるのか。
ランチさんは金髪でもあり青髪(アニメやカラー絵になると青かったり紺だったりする)でもあり漫画では黒髪でもある。一人で花嫁候補全部やってのける。
原作のランチさんは途中から全く出番がなくなる。このゲームもそうか。途中から全く出番がなくなるのか。そうに違いない。そしてそのままパーティーメンバーに復帰することもない。ランチさんというのはそういうものだ。
というか天津飯が主人公でいいのか。そうなると仲間はほとんどの場合、餃子だけだ。しかも戦いが激化してくると
「餃子はオレがおいてきた」
とか言われて終盤ずっとルイーダの酒場にいるんだ。
「ハッキリいってボブルの塔のエンカウントにはついていけない」
天津飯が使える技は気功砲・太陽拳・排球拳その他もろもろ。舞空術を使えるから船とかいらない。
餃子が使える技はメガンテ。
「さようなら天さん……どうか死なないで」
餃子がメガンテしたとしても大丈夫。
「でぇじょうぶだ、教会で生き返る」
誰だ急に出しゃばってきて悟空みたいなこと言いやがって、こいつ。
あとあれ、伝説の武器防具。
「天津飯の剣」「天津飯の鎧」「天津飯の盾」「天津飯の兜」
多分名前シールが貼ってある。これじゃあただ所有者が判明しているだけで、別に伝説って感じもしない。しかも天津飯は武闘家だから全部いらない。自分の名前ついてるのにいらない。なんだ生意気だな。持っているだけで使わないとかアンジールのバスターソードかよ。
「天津飯への塔」とかすごい。「天津飯への塔」ってどういうこと?
Tower to Tenshinhan.
ってこと?それとも
Tower Present for Tenshinhan.
ってこと?ないよそんな英文。文法どうなってんだよ。
あと「天津飯城」もある。その城に住んでいるのは大体みんな「天津飯人」。なに「天津飯人」て。クローンかよ。天津飯のクローン。めっちゃいる、城に、天津飯のクローン。マスタードラゴンの両脇に、天津飯。
四身の拳とかやっている場合ではない。全員が、天津飯!一人一人が、意思を持ち、力を持つ!さぁ!俺を倒しても、また次の天津飯が天津飯城からやってくるだけだ!天津飯人は、不滅だ!ふはははははははは…………
至れり尽くせり、天津飯だらけ。
出来心で「空」を「津飯」に変えたら思いのほか混沌としたゲームが出来上がってしまった。思いついた時にはこんなことになるとは思わなかったんだ。
あと原作通りこの記事でも、途中からランチさんの出番がなくなっている。どんなカルマ背負ってるの、彼女。
(文・やなぎアキ)