ドラクエビルダーズ2のオープニングは魔物たちが乗っている船の上から始まる。
世界中から疎まれているビルダーたちを捕まえて処刑してやろうという魂胆だ。こわ。
主人公はその船の上でいいようにこき使われてしまう。ひど。
何を言いつけられるのだろう、死ぬまでこき使われるのはいやだ。魔物なんてやっぱり残虐非道なんだ。せっかくビルダーになったのにこの仕打ちだ。メタ的に言うとゲームを始めたばかりでこの仕打ちだ。
あーやだやだ。それにしても……
おなか減ったな。
お腹と背中がくっつきそうだ。ひもじい。
はっ、あまりにもお腹が減っていたので船長にばれてしまった。恥ずかしい。
しかし残虐非道な魔物の事だ、そのまま飢えてしまえとでも言うのだろうな。一人飢えたらまた補充すればいいんだもんな。ビルダーは絶滅する運命なんだもんな、こいつらからすれば。
というかむしろ、自分たち人間が魔物の食事になるということもあり得るわけだしな。
ああ、お腹が減った。
ええっ、せ、船長からの餞別ですか?
自分、しがないビルダーですけど、そんな特別待遇を受けてもいいんですか?
こ、こんぶだぁぁぁぁー!船長がわたくしめに、わざわざこんぶをーーーー!
や、優しい。航海はまだ長いなんてそんな……自分、この航海の途中で過労でそのまま倒れてしまうのも覚悟していたんすけど……この航海の終わりまで連れて行ってくれるんすね。
腹ごしらえ、させてくれるなんて。思わず男泣きっす……。
存分に食べさせていただきます!船長からもらったこんぶ、味わって食べるっす!
それにしても、ちゃんと食べ終わったかどうかの確認もしてくれるなんて、船長は船員の体調管理もしっかりしているんだなぁ。船での力仕事では、食事をしっかりして体力づくりをしなければいけないものなぁ。船長自ら、船員の食事の管理をしているとは。疲れていると食事ものどを通らない時があるけど、それでも食べないと体が回復しないからな、食事完了の点呼を取るのは大事なんすよね。
じゃあさっそく船長からのこんぶ、いただきまーす!
はいっ、最高でした!最高でしたよ、船長のこんぶ!
自分、今日のこのこんぶの味、忘れないっす。
憎いはずのビルダーにも、自分のこんぶを分け与えるその慈悲の心、まじ尊いっす。人の、いや、魔物の上に立つっていうのはこういうことなんですね。偉そうにふんぞり返っているだけではなくて、上に立つからこそ、手を差し伸べる……。
船長!自分感動っす!人間たちも、その船長の心意気を大事にしていきます!
黙れ女ぁぁぁ!!
船長の骨の垢でも煎じて飲め、きさまはぁ!!
あれ、もしかして魔物の方が優しい?
(文・やなぎアキ)
↓第2話です