ドラクエ8が発売されたのは2004年。もう20年も前です(え!?)。
その頃に比べるとゲームも色々と進化しており、先日発売されたHD-2D版ドラクエ3は、3Dとドットが融合した美しいグラフィックに仕上がっていました。美しすぎて思わず立ち止まってしまうくらいです。
それと比べるとドラクエ8はどうしても見劣りします。それはそう、20年も前なのですから。
しかしあの頃はあのグラフィックがとても美しいもので、なんでもない森の中や海岸沿いをぼーっと眺めていました。
一番好きだったのはサザンビーク南にあるビーチでぼんやりすることでしたが、もう一つお気に入りがありました。
空を見上げると太陽とか月がゆっくりと動いているんですよね。太陽が空を横切っていくと夜になり、次は月が空を横切っていく。それをただひたすら眺めているのが好きでした。
初めてドラクエ8をプレイしたときは「町の中でも日が暮れる!?早い!?なぜ!?」と驚きました。何かをしていると、すぐ日は暮れるし夜は明けます。
ある程度プレイしてから、ある日なんとなく空を見上げると、月がゆーっくり動いていることに気づきました。一瞬見ただけだと気付かない程度でしたが、ちょっと注視すれば余裕でわかる程度のゆっくりさで。これに気づいたとき、「そんな仕組みで朝と夜が切り替わっていたの!?」と驚きました。太陽が昇ると昼で、月がのぼると夜で、空を横切ったらそれぞれが入れ替わる。めちゃくちゃ自然の摂理なのですが、そのときはそんな風に!?とびっくりしました。単純に時間経過で切り替えていると思ったからです。いや時間経過で切り替わってはいるんですが、それに太陽と月の動きという地球の自転を取り入れているとは思わず……。
「すごい、月が動いてる、え、これ端っこまで行ったらどうなるの……」と思い、そこからぼんやりと月と太陽を眺めることが好きになりました。
オリジナルのドラクエ8はランダムエンカウントなので、立ち止まっている限りは敵に会うことはありません。なので突っ立ってひたすらにぼーっと、「月が動いているなぁ」と眺めていたのです。ちょっと立ち止まるとかそんなレべルではなく、ずーっと見ている時間でした。
ドラクエ8には色々な思い出がありますが、これもまた大事な思い出の一つです。
昼夜の概念があったのはドラクエ8より前の作品だと、3・4・5。どれも平面ドットの作品で、これはリメイクされても同じでした。ドラクエ8で、久々の昼夜の概念が登場しました。初の完全3Dグラフィックとなった本作で、昼と夜の表現のために動く太陽と月を用意してくれたことに感謝です。あれを眺めると、たしかに時間が流れているんだなぁとリアリティを感じて好きでした。単純に画面が暗くなる明るくなるだけではない、実際にその世界にいるような没入感。それを感じたくて、ぼーっと空を眺めていました。一つのゲームとじっくりと向き合う、唯一無二の時間だったと今では思います。
今ではすっかりそんな楽しみ方はせず、先へ先へと進める遊び方をしてしまいます。なんせあの頃よりも時間がないくせして、、他にもやることがいっぱいあるからです。あと、ネットのあらゆるものが普及してネタバレが怖いというのもあります。先へ先へ進めて早くクリアしないと、いつどこでネタバレを踏んでしまうかわからないからです。もう20年前のように、ゆっくりと月を眺めることはなかなかできません。
しかしたまに情景が素敵なゲームに出会うと、それこそHD-2Dドラクエ3のような、そんなときはふと手を止めて景色と、そこに存在しているであろう空気をゆっくりと感じるようにしています。
そして、ああ、ドラクエ8を遊んでいた時はこういう時間を大事にしていたんだよなぁと思い出します。あんなふうにゲームをしている自分の時間とゆっくりと向き合う、そんなゲームとこれからも出会っていきたいです。
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