仮面武闘会(のちにカジノ)の町グロッタ。
世界でも有数のビッグイベントを保有するゆえに、町もきっと裕福なのだろう。
それなのにそれなのに!
孤児院を運営する教会の神父が!
資金に困って!
魔物に手を貸してしまっている!
これは由々しき事態。ハンフリーから、孤児院を経営していくためには金が必要だったんだ……!と言われても、いや許されねぇよ?という気持ちが出てくる。子供たちはたしかにすくすく育って欲しい。でもだからって、何の罪もない選手たちをとらえ、自分はドーピングをするだなんて。それで町人はハンフリーを祭り上げている。町全てをだましていたのだ、ハンフリーは。とうてい許される行為ではない。
しかし、ここで責めるべきはハンフリーだけではない。
町長!
町長なにやってんすか!!
神父一人に孤児院すべてを背負わせてんじゃないよ!
町の子供たちを立派に育て上げるためなら、町が立ち上がるべきなんじゃないのか!
特に財政面で、バックアップすべきではないのか!
グロッタの教会はデカイ。孤児たちがみんなあそこにいるだけあってデカイ。
武闘会やカジノに隠れて、かつ町に一番奥にあるから目立っていないだけで、あの協会は十分に文化的価値がある。
そしてあのでかさだと、建物の維持費だけでもとんでもない。
それらの管理すらも、どうせ町長はハンフリーに任せていたのだろう。
町長!町の予算をもっと教会に回してあげればいいじゃないですか!武闘会やらカジノやらで、観光客も多いであろうこの町がそこまで困窮しているわけがないのだから!
町長「いやいや、ちゃんと町からもお金出してたよ」
でもハンフリーは魔物の悪事に手を貸していたんだが!?
そんな悲劇を招いてしまっている時点で、町からの資金が足りていないってことで、福祉としてそれはどうなんですかね!ね!
あれだけ多くの孤児を抱えている教会に対して、感謝の気持ちとかある?あるならハンフリーにもっと手を貸してあげなさいよ!
あんた、結局ユグノア先王であるロウから言われて、そこでようやく孤児院がひっ迫していたことに気づいたんだろう?
おせぇよ!
気づけよ!
把握しろよ町を!
ユグノア先王から言われてようやく動くとかなんだよ!その様子だと、ハンフリーが直談判しにいったけど「いや詰めるとこ詰めればまだいけるでしょ?」とか言ったんじゃないだろうな、お前!権威に弱いやつめ!
というか、グロッタはなぜそんなに孤児が多いのだ。
町長!
町長なにやってんすか!!
ハンフリーが孤児院やってくれてるからってあぐらかいてんじゃないよ!
根本からどうにかしようっていう、そういう気概が感じられないよ町長!
グロッタに孤児が多いのは何が原因なのか……。微妙に辺境の地にあるから、外との交易の際に魔物に襲われる人が多いのか。それとも仮面武闘会では実は不慮の事故が多いのか。カジノができてからは絶対身を持ち崩す大人が増えたからだろうというのは想像にかたくない。怖い、ドラクエの世界怖い。
なにはともあれ何かしらの原因はあるはず。そこをどうにかすることが、ハンフリーの孤児院の経営難を救うことになるのではないのか。
そういうことから手をつけるべきではないのか、町長よ。
町長と言うか、もう町全体が悪いよ。孤児が多い状況をどうにかしようとか、誰も思わないのか。カジノがあるのに、いや、カジノがあるからか闇が深いぞグロッタよ。
だからあいつら、ハンフリーが到底許されないことをしたのにあっさり許したのか。
後ろ暗いところがなんとなくあったんだろうな……。
ハンフリーのことを手放しで許してはいけないと思うが、グロッタの町にも原因があった。
町の子供たちなんだから、これからはみんなで孤児院を守っていこうな。
(文・やなぎアキ)
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