昔のRPGをやっていると色々と不便なことってあるじゃないですか。
移動が不便、戦闘が不便、ヒントが不便。
その不便さを楽しむのもレトロゲームの醍醐味だと思うのですが、その不便さの中でも個人的にひときわ苦渋を飲ませてくるのが、アイテム。
そう、アイテム欄が限られているのが不便。
ドラクエは6から「ふくろ」という、同一アイテムをたくさん持てるシステムが登場し、アイテムの管理が非常に楽になりました。
それ以前は各キャラクターが持てるアイテム数が、持ち運べる限度でした。3~5には預かり所が存在しますが、1と2にはそれすらありません*1。
これがも~~大変だったわけじゃないですか。仲間がある程度多い4や5はまだいいですけど、2とか絶妙にめんどくさいわけですよ。3人いるのでそこそこアイテムが持てる、と思いきや、すぐいっぱいになるという罠です。
リメイク版だと預かり所がありますが、預かり所があるからと言って別に安心はできません。だって結局大事なのは手持ちのアイテムだから。
ネックなのはやはり鍵です。ある種の扉は対応する鍵をアイテム欄に入れていないと開けることはできないので、どうしても残しがちです。何かしらの重要アイテムも、いつ使うかわからなければ下手に預けることはできず、不安に思って手元に残しがちです。
そして、MPの節約やもしものためと考えてやくそうやキメラのつばさなど持とうものなら、もうアイテム欄はありません。木の実や種などの強化アイテムを、後になるまで残しておこ~なんてことはできないわけですよ。手に入れたら即食え!
鍵なんて、もう開ける扉ないなと思ったらバイオハザードみたいに「この鍵はもう使わないようだ、捨てますか?」とか言ってくれればいいんですけどね。攻略でも知らない限りはそんなことわかりようがないので、「ダンジョンでもしこの扉が出てきたらどうしよう……」とか考えちゃって捨てるに捨てられません。
そこに来てのふくろの登場。
鍵?ふくろに入れっぱなしでいいんだぜ!重要アイテム?必要な時までふくろに入れておけ!やくそう?買いだめしてそのうちふくろの肥やしになるぜ!ちょっと待った、その木の実、あとから仲間になるキャラに食べさせた方がよくない?
なんて便利なんでしょう!
これは革命です。
初めて見た時は、ええ~、こんな小さなふくろに物が何でも入ってしまうの~?と驚いたものです。むやみやたらにやくそうを買ったものです。ダンジョン内の回復なんて呪文を使えばいいものを、やくそうがやたらあるしMPケチりたいしで、ちまちまやくそうを使っていました。
最初の一回二回くらいしか使わないくせに、キメラのつばさをいくつか入れたりなんかして。
そして最後まで結局使わない木の実と種の山ですよ。
これらすべてふくろがあったから実現したことです!
持ち物欄を気にすることが一切なくなり、なんなら手に入れたものを整理せず、お前なんでうまのふんなんて持ってるの?なんてことも発生する始末。ふくろがなかった時代には考えれません。6にうまのふんはないけど。
使わなくなった装備品なども、もしや今度仲間になる人が使えるのでは?と無駄に取っておいたり……。そしてふくろに残ったままのとがったほね。アイテム欄の無駄遣いとはまさにこのことです。ふくろがなかったら、売る……いえ、道具屋に行く時間も持ったないので捨てるであろうアイテムたちが、ふくろの中で息づいているのが手に取るようにわかります。
ありがとうふくろ。いつも無駄にアイテムを持たせてくれて。これからもふくろの活躍を願っています。
ただふくろがなかった時代は、やくそうの買いだめなどもできなかったわけなので、不便さゆえの頭の使い方をできたなとも思います。
ダンジョン内のMP管理に目を配らせ、もしもボス戦があるなら、もうすこし回復は我慢するか……?など昔は頭を働かせていたんだろうなぁと思います。
というかたまに昔のRPGをやると、そこのところにめちゃくちゃ頭を使うので、やたら新鮮で楽しいです。
便利になるのはうれしいですが、こういう遊び方もあったんだよなぁと不便さをまた楽しむのもありですよね。
(文・やなぎアキ)
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*1:それぞれリメイク版には預かり所やふくろが実装されました