私だったらそんな大役命じられたくないね。
だって封印して穴と化した地、どこもかしくも重要地点だもの。
その管理を任されるなんて責任重大すぎる。毎日びくびくしちゃう。
ダーマ神殿(ムドー)
勇者という明確な血が存在しないドラクエ6において、条件さえ満たせば誰でも勇者になることができるダーマ神殿、あまりにも脅威すぎる。ここを封印したデスタムーア様の判断は間違いなく正しい。実際ここがなければ主人公が覚えられる回復呪文はホイミだけなのだから。
だからこそ、この穴を管理するのは恐ろしい。一番の要ともいえる。ここが突破されたら、デスタムーア様に歯向かうものがどんどん強くなっていってしまう。そうすると他の穴が突破される可能性も高くなってしまう。絶対に死守しなければならない穴である。
そりゃムドーも「我こそが魔王!我がラスボス!世界は我のもの!」ムーブするわ。なるべく乗り込んでくるやつを少なくしたいから、自分を大きく見せるってもんよ。神の船でなければたどり着くのが難しい島に居住区を構えたのも納得。
でも私だったら「魔王です!」なんて言わずにひっそりと暮らすよ。結果主人公たちみたいなマジもんの強者現れちゃってるし。
カルベローナ(グラコス)
大魔女バーバレラの血を引くもののみが習得することができる、代々受け継がれてきた究極にして最強の呪文マダンテ。当然デスタムーア様にとっては邪魔でしかないため、マダンテが生まれた魔法都市カルベローナごと封印してしまった。
いやこわ~。そんな危ない町の封印の穴を管理するのこわ~。究極呪文て。
ここを突破されてしまうと、デスタムーア様の脅威が間違いなく一個増えることになってしまう。実際マダンテは、よりによって主人公パーティーにいるバーバラに継承されてしまった。なんで主人公とバーバラは出会ってしまったんだ!マダンテの前任者であるブボールをすぐさま殺した点はさすがデスタムーア様なのだが。
この封印の管理者であるグラコスも、ムドー同様海を支配するものとしてかなり派手に海を荒らしており、ポセイドン王が主人公らに討伐依頼をしている。なんでそんなに派手に動き回るのか。聞いてもいないことをべらべら喋ったりもしちゃうし、もっと他に適任はいなかったのですかデスタムーア様。まぁ私は絶対やりたくないけど。
ゼニスの城(デュラン)
はざまの世界に行くための重要アイテム、てんまのたづな。それに至る道が用意されているゼニスの城。当然デスタムーア様にとって脅威であり、封印対象である。それでなくとも夢の世界をたばねる王がいるのだから厄介だ。
ここの封印がとかれれば、いよいよ主人公たちはデスタムーア様の場所まで手が届いてしまう。まさに最後の砦。こんな場所の管理をまかされてしまっては毎日胃が痛い思いをするに違いない。カルベローナまで乗っ取られた日には、戦々恐々である。
だがデュラン氏は主人公たちの活躍を知っていたにもかかわらず、あえて見過ごしていた。伝説の装備を集められないようなら別に放っておいても良くない?で、もし集めたとしてもオレが相手すれば良くない?とかのたまって「こいつどんだけ自分に自信あるんだ!?私だったら波風立てずに日々を過ごしたい……」と今なら思ってしまう。
強者と戦いたかったってのはわかるけど、仕事に私情を挟んではいけないよ君ィ……・
メダル王の城(ジャミラス)
どれか一つ、管理する穴を選べと言われたらここにする。
他三つに比べたらまだデスタムーア様の脅威に直接はならなさそうだから。メダル王の持つ品々が危険ということで封印されたらしいが、言うてそんなにか?という感じ。確かに便利だし強力だが、ダーマ・マダンテ・てんまのたづなに比べるとそんなに怖くないのでは?エッチな下着か?エッチな下着が怖いのか?そんなバカな。
だからジャミラスもちょっと調子乗って、「我々はしもふり肉を要求する!」とかいうふざけたことを言い出し……違うわこれはモンスターズでの話だわ。でもこんなネタキャラみたいな扱いをされる程度には余裕ぶっこいていたわけだ。どう考えたってやたら口の軽いグラコスの方がネタにされそうなのに。
ムドーやグラコスと違って、ジャミラスの活動はあまり大々的に知られていない。せいぜい眠り病という奇病が流行っていることと、しあわせの国の噂くらいである。立ち回りがうまい。私もジャミラスのやり方を参考にさせてもらおう。ジャミラス!ジャミラス!
と、穴の管理について考えてみたわけだが……まぁぶっちゃけ封印が破られる時って自分が死ぬときなわけで、自分が死んだらその後に起きることへの責任もくそもない。そう考えれば、案外楽な仕事なのかもしれない。だからデュランもあんな挑戦者求む!な態度でいられたのかも。
とはいえ、夢の世界なんてあるくらいだし、自分が死んでもデスタムーア様の力によって精神だけは残されて夢の世界(もしくははざまの世界)でいたぶられるかもしれない。そう考えるとやはり無責任なことはできないし、こんな仕事はしたくない。
仕事で怖いのは、何かをしでかしたときに、その後の対応をどうするかだ。とりあえずデュランは、倒そうと思えば倒せたくせに、わざわざ主人公たちを泳がせた責任を取るべきだと思う。
(文・やなぎアキ)
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