FFの戦闘システムといえばATB(アクティブタイムバトル)のイメージが強い。
ATBとはFF4で誕生した、戦闘中常に時間が流れ続けており、敵味方それぞれ自身の持つゲージがたまったものから行動することができるバトル方式だ。
設定によってはアイテムや技の選択中は時間を止めることができるが、どちらにせよターン制に比べると緊張感のあるバトルを楽しむことができる。
各キャラの素早さによってゲージがたまる速さが変わり、それは敵も同じである。ただし敵のゲージは基本的に見えないものなので、敵がどれくらいのスパンで行動するのか、いつ攻撃してくるのかなどを読む楽しさもある。
攻撃されるる前に回復しなきゃ!と思ったら、敵に割り込まれて倒されてしまう、なんていう事故が起こるのも醍醐味。
FFが生み出したバトル方式なだけあって、とても印象深い。
だが、ATBではないバトルもFFにはある。
FF10がその一つだ。
FF10のバトルはCTB(カウントタイムバトル)。
画面上にあらかじめ行動順が表示される方式だ。味方だけではなく敵の行動順も表示されるのが非常に特徴的。
ティーダが行動したあとにユウナ、その次は敵、そのあとでワッカ、という風に見えるのだ。
ちょっとターン制っぽくも思えるが、ターン制ではない。素早さやそのときの行動によって順番が前後することがあるからだ。
これも素早さが重要であり、素早いキャラは遅いキャラを抜かして行動順が回ってくることがある。このあたりはATBにも通じるところがある。味方にヘイストを使って敵にスロウを使えば、ずらっと仲間の顔が並ぶなんてこともある。視覚的にわかりやすい。
また、強力な技を使うときには本来の行動順が後ろに下がることもある。ATBでも、強力な技であるほど発動まで時間がかかる、というのがあったが、CTBでもそれが採用されている。これにより、強い技をぶっぱなしたいけど、行動順で考えると今はこの技を使って強力な技は後に回した方がいいか?など考えることが出来るのだ。
そう、CTBはATBと違ってコマンド選択時の時間は止まっているので、じっくりと戦略を立てられるのも特徴。
ATBの緊迫感が好きな方には物足りないかもしれないが、そういった戦略を楽しむバトルなのだと思えばかなり面白いと思う。
FF10は戦闘中に仲間を入れ替えて戦うのも醍醐味の一つではないだろうか。各キャラは育てれば皆スタメンを張れるほど強くなるが、得意不得意が当然ある。この敵にはワッカ、この敵にはアーロンと、雑魚敵であっても入れ替えながら戦うのが効果的だ。
この味方の入れ替えと、入れ替えた後どういう行動順なのかが見えるCTBはとても相性がいいと思う。
とりあえず行動順が早いティーダ・ワッカ・リュックをスタメンにして、出てきた雑魚敵に合わせて仲間を入れ替えたりしたものだ。
あらかじめ全員の行動順が見えるなんてちょっとぬるくない?とも思うのだが、そうでもない。
中には行動順を強制的に変えてしまう技もあるし、そもそもFF10のボスたちは行動順が見えたからってぬるくなるような半端な強さではない。なぁ、ユウナレスカさんよ。
敵によってはなかなかこちらの行動順が回ってこなくなることだってある。それがあらかじめわかるからこその絶望もあるだろう。これはCTBならではだ。
そして、むしろ行動順が見えるからこそ、相手の強力な攻撃をどう耐えるか、どうかわすかを考えることが出来る。
行動順は随分あとになってしまうが強力な技を使うか、それとも行動順を優先して軽めの技を使うか、色々と試行錯誤するのは楽しい。
結局その後CTBは長らく登場せず、そもそもナンバリング作品に採用されることはなかった。
だが、あのシステムは個人的に好きだ。あれのおかげで、FF10の戦闘の思い出はFFの中でも唯一無二になっている。
(文・やなぎアキ)