ゲームの外伝作品というのは、本編のその後を描いていたり逆に前日譚を描いていたりと様々だ。
その後を描く場合は結末がどうなるか読めないが、前日譚の場合はどんなエンディングを迎えるかわかってしまうものもある。
これを経て、本編につながる。本編の始まりはこうで、そして今作の主人公はこいつ……ってことは道中はどうあれ最終的にはこうなるな……、と。
で、こういうのって個人的なイメージなんだが、完全なハッピーエンドにはならない気がする。
そして、わかってしまっているがゆえに終盤になると、「進めたくねぇ~」と思ってしまうのだ。
そして私が明確に二の足を踏んだ前日譚のゲーム。
それが、先日リメイク版も発売された『クライシスコア ファイナルファンタジー7』だ。
FF7の前日譚であり、ソルジャー2ndであるザックスを主人公とした物語。セフィロスをはじめとしたソルジャー1st3人とザックスに起きた悲劇を描いた、まさにFF7につながるストーリーだ。
FF7の主人公は言わずと知れたクラウド。終盤はともかく、クラウドの性格は基本根暗で他者に興味がなく物事を達観して見がちである。なんとなくストーリー自体も暗い。私はミッドガルが崩壊したところで一旦コントローラーを置いてしまったくらいだ。
CCFF7のザックスはというと、クラウドとは正反対で明るく真っすぐ、フレンドリーで熱血漢である。世界観、そしてストーリーは結局暗いが、主人公が前向きで明るい分楽しくプレイできた。断然ザックス派である。
ザックスめっちゃいいやつ~~!!エアリスともすごくいい感じだし、このまま上手くいって欲しい~~!!英雄になって、いろんな人に賞賛されてほしい~~!!
もうこのまま本編もザックスが主人公でいいんじゃないかな~~!!幸せになってくれ~~!!めちゃくちゃ気のいいジジイになってくれ~~~!!
否。
そんなことは思うだけ無駄である。
FF7を知っているものなら誰もが知っているのである。
ザックスに未来はない。ジジイにもならないし、英雄になって人々に賞賛されたりもしないし、エアリスとうまくいくこともない。
だってザックスは、本編開始時には帰らぬ人になっているのだから……。
いや、つら。
当然それを分かったうえで私はCCをプレイし始めた。ザックスがどのように生き、いかにして死んだのかを見るんだよな、と。
わかっていたのだが。
プレイしている内に当然ザックスのことが好きになる。本編では描かれきれなかったザックスの人柄がわかってくる。
わかればわかるほど、死んでほしくないと思う。
そして、最終的にザックスがどうなってしまうのかがわかっているからこそ、プレイしながら「あ、終わり近いわ」と気づいてしまう。
PSPを置く私。
このままクリアしなければザックスは死なねぇ!ザックスの死ぬところを見ないで済む!
一旦プレイを辞めてしまった。多分こういう人他にもいると思う。
が、最終的には、私がクリアしようとしまいとザックスの運命が変わるわけではないのでクリアした。
号泣しながら。
なんでこんな思いしなきゃいけないんだよ!!!!と思いながら。
前日譚は本当にこういうところがあるから難しい。
いっそドラクエのテリーのワンダーランドみたいであれば問題ないのだが……。
だが本編のストーリーと直接かかわりがある方がテンションは上がるのだ……。たとえその先に悲しみが待っていても……。
CCFF7はリメイクされ、買うか迷った。すごくやりたい。ザックスに会いたい。しかし思う。
「でも死ぬんだよな……」
今度は買う前から二の足を踏んでいる。
あと単純に積みゲーが多い。
そもそも仮に前日譚がハッピーエンドに終わったとしても、本編ではまた何かしらの問題が起きているわけなので「あんなに頑張ったけど結局またダメになっちゃうんだよね~」と思わなくもない。シリーズものの宿命。世知辛い。
そうは言っても、いつかはリメイクもやりたい。
ザックスに会いたいじゃないか。
(文・やなぎアキ)
※こちらは2023年のエイプリルフール企画で書かれた記事です。