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【ダイの大冒険】魔王、魔軍司令、超魔生物、ハドラー。


経歴がすごい。

よく考えたら経歴がすごい。

 

しかも魔族は寿命が長くて100年単位で生きていると思うのだが、これらがものすごい期間で切り替わっているのもすさまじい。

 

まず魔王ハドラー。

魔王の状態のハドラーである。ばか丸出しの紹介。

本編より15年も前に、地上を征服するために現れた魔王。

自身の軍を率いて地上を侵略していく。

残忍で好戦的ゆえに、魔王のくせにすぐ最前線に出てくる。しかしそれは自らの強さの自信の表れに違いない。

多分、この時期が一番自信に満ち溢れていたと思う。負ける気がしねぇなぁ状態だったと思う。ハドラーにとっての我が世の春である。そりゃ魔王になって地上に侵略してくるわ。

まぁぶっちゃけ魔界にはバーン様が潜んでいるので、ハドラーは完全に井の中の蛙なのだが。ハドラーをラスボスとするなら、バーンは裏ボス。

デスタムーアVSダークドレアムよろしく、ハドラーVSバーンを想像してみると、ハドラーのベギラゴンに涼しい顔をしているバーン様の顔がいともたやすく浮かぶ。

まぁそんなことは言っても魔王は魔王。

まだ未熟なアバン先生を前に、大口開けて笑うハドラーのなんて愛らしいことか。

ところでハドラーが魔王だった期間はどれくらいなのだろうか。カール王国に攻め入った時を基点とすると2年ほどだが、そのうち1年は凍れる時間の秘法で動けなくなっていたと思われるので意外と短いのか。それとも侵略前から魔王を名乗っていたのか。ちょっと気になる。

 

 

続いて魔軍司令ハドラー。

ハドラーの長い人生(長いかは憶測)の中での一番の黒歴史に違いない。いや、魔王になる前にさんざんおいたをした可能性はあるが。しかし魔軍司令のときが黒歴史だったことには間違いないだろう。

アバン先生が魔王だったハドラーを倒して13年後、彼は魔軍司令としてバーンの手により復活する。いや、性格には倒された直後に復活し、13年間魔力を蓄えるために潜んでいたわけだが。13年……魔王を倒したというのに再び世界に脅威が訪れる期間として考えると十分短い。当然魔族であるハドラーにとっても短いと思う。ジョブチェンジが早い。しかもこの間まで魔王としてブイブイ言わせていたというのに。その魔王だった期間も短かったかもしれないが。

しかしまぁ、魔王軍のやろうどもを束ねる魔軍司令という役職は悪くない。

と思いきや、中間管理職として胃の痛い毎日を送っていたりする。

我が強すぎる軍団長との会議とか絶対嫌だったと思う。仲悪いし。一人一人は話して見ればそんなに悪いやつではないのに集まるとめちゃくちゃ。それを束ねるのは一苦労。

そんな部下の管理に奔走している場合でもない。自分も手柄を立てなければいつ寝首をかかれるかわからない。せっかくバーン様に生き返らせてもらったのに、失態ばっかりでは身の安全は保障できない!

そう焦った魔軍司令ハドラーは卑劣な行動に出たりなんかしちゃったりして。魔王やっていたときは圧倒的強さで他者をねじふせていたのに、今は姑息な策をめぐらせてコツコツと陰湿な手を使う毎日だよ。それがうまくいかないとなると鼻水なんてたらしちゃったりして。

これがあの勇者アバンにメガンテまで使わせた男なのか……。アバンも草葉の陰で泣いておる。

「ハドラーさん!魔軍司令だった頃の話聞かせてくださいよ!」って言っても何も答えてくれない可能性がある。思い出したくないなら忘れてしまえハドラーよ。

 

そして超魔生物ハドラー。

ザボエラの長年の研究の末に生まれたすべての生物を超越した存在。その圧倒的パワー!そしてかっこいい見た目!名実ともにハドラーは生まれ変わった!

魔王から魔軍司令へのジョブチェンジは13年だったが、魔軍司令から超魔生物へのジョブチェンジはわずか数か月ほど。早い。ダイ大はそもそもあの一連の冒険が数か月の間の出来事なので、ハドラーの移り変わりも当然早い。

ここでハドラーは残りの短い命を華々しく輝かせることになる。

鼻水を吹かせて右往左往していただらしないハドラーはもういない。頼もしい部下を引き連れ、最大のライバルであるダイを倒すためだけに戦うハドラー!かっこいい!

魔王をしていたときよりも誇り高く崇高で、強い!

仕えていたバーン様を裏切り、自身の目的のために生きることに決めたハドラーには文字通り失うものはない!

最終的には敵だったダイたちとも分かり合え、草葉の陰で泣いていたアバン先生とも和解することになる。

しかしこの気持ちのいい期間はハドラーの人生の中で最も短い……。せっかく自身の生き方について一つ指針が定まったというのに、すぐ終わるには可哀そうである。

でもきっと絶頂だった頃は魔王だと思うから、ぜひ獄炎で大暴れしまくってほしい。

 

魔王から魔軍司令へ、そして超魔生物へ。短いスパンで波乱のジョブチェンジをしていったハドラー。

彼の長い人生の中で最も濃い期間だっただろう。

いやぁお疲れ様です、ハドラーさん。

 

(文・やなぎアキ)

 

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