ドラクエには数々のトラウマイベントが存在する。
一度体験すればその強烈さに決して忘れることはないイベントたち。
夢を扱ったいかにもファンタジックなドラクエ6にだってトラウマイベントは存在する。
アモール血の川事件
いきなり本命のトラウマイベントである。
そして、上の世界と下の世界の関係性がうっすらとわかってくる、ストーリー中でもかなり重要なイベントだ。
アモールを流れる美しい川、その川の水を求めて遠方から人が来るほどの町の名所となっている。
そんな川が、なぜか真っ赤に染まる!そして街中で流れる洞窟のBGM!これだけでも十分恐ろしい。
しかし本当の恐怖はここから。なぜこうなったのかの発生源を見つけるため、町の北の洞窟に入ると、血の付いた剣をひたすら洗う女戦士の姿が……。
どれだけ洗ってもとめどなく流れる血……。そんな常軌を逸した光景。
「落ちない……落ちない……」
わしがムドーだったのじゃ事件
初めてこれを見たときは、鳥肌が立った。
上の世界の地底魔城でムドーを倒したはずが、なぜか王様だった!しかもその王様は、下の世界のレイドック王だというのだ!
というのはこの時点ではただ驚きなだけで怖くもなんともない。
問題は、王がムドーになった経緯。
ムドーを倒すため、船に乗りムドーの島を目指す王と兵士たち。しかし王は何者かの攻撃を受ける!
そして、気づいたとき、わしは……わしは……魔王ムドーだったのじゃ!!(デーデッデッデー)
突然の魔王ムドー化。それだけでも恐ろしいのに、デーデッデッデーがそれを加速させる。ムドーを倒さんとする王が、ムドーになる。その衝撃を音と共に伝えてきやがった。ドラクエの嫌なSEと言えば呪いの音楽だが、デーデッデッデーも嫌である。
それはそうと、地底魔城自体がトラウマというのもある。嫌い。
悪魔を呼び出しちゃった事件
なんでこんなものを見せるんだ、と思わずにはいられないイベント。
グレイス城で起こった壮絶なイベントである。
魔王を倒すためには、悪魔を呼び出せばいい!というあまりにも短絡的なアイデアを実行してしまったがゆえに、滅びてしまった国だ。
国が滅びるありさまというのはドラクエでは幾度となく見てきたが、このグレイス城は人間が自ら招いた結果滅びるというのが趣味が悪い。王の断末魔が耳に残る、ぎょえーーーー!
こちらとしては、オルゴーの鎧がどこにあるのかを知りたいだけなのに、一方的な殺戮ショーを見なければいけない。いじわる。あまりにもいじわるである。
鎧を守るために、一人地下にこもり衰弱死した兵士長のことを思うと、なんともつらい。
そしてこのイベントの真に恐ろしいところは、この悪夢が永遠に繰り返されていることである。人間ごときが悪魔を呼び出してしまった、その罰として、城の者たちは終わりのない地獄をさまよっているのだ……。いや、きっつ。
宴で無音事件
はざまの世界での出来事は基本的にどれもしんどい。人間の愚かさと無力さをまざまざと見せつけられるからだ。しかしそんな中でも、主人公たちのおかげで皆前を向くようになっていく。
それは牢獄の町でも同じこと。
一念発起した人々は自由を得ることに成功する。人々は歌い笑い飲み食い、大いに自由を謳歌するのだ。
しかぁし!そこは大魔王のおひざ元も同然!当然大魔王が黙って見ているわけがない!
大魔王が指を一振りすれば(イメージです)、あるものは石化し、あるものは動物となり、そしてBGMは止む!!
ドラクエでBGMなしは本当に怖い。一番怖い。しかも嬉しくて浮かれているところにこれである。
せめてBGMがあればマシだっただろうに。と思ったが、ドラクエ5にはBGMありで恐ろしいイベントが存在するので一概にも言えない。
なげきのきょじん、好きだったのになぁ。
他にもうっかり雪女のことを話してしまい、時が凍ってしまったマウントスノーや、鏡に囚われた美しい姫の背後に潜む怪しい影など、ドラクエ6には怖い、下手すればトラウマになるイベントが多い。
それはプレイヤーの心に色濃く残る。だからこそ、ドラクエ6は面白いのかもしれない。
(文・やなぎアキ)
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